【矢カモメ事件】後を絶たない動物虐待

by 小川篤志 2018.04.04

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©Cyndi Monaghan/Moment Open/Getty Images

※これは実際の矢カモメの写真ではありません


宮城県石巻市で、カモメの頭部に矢が刺さったカモメが見つかったというショッキングなニュースが話題になっています。幸い、元気に動き回っていたということから保護活動は見送られたそうですが、このような「動物虐待」の痛ましい事件が後を絶ちません。


過去には「矢ガモ」事件も

1993年に東京都の石神井川で、ボウガンの矢が刺さったままのカモが見つかったという事件は、当時一斉にマスコミで報道され、記憶に残っている方も多いと思います。それ以降も、2015年には兵庫県伊丹市の公園でカモの頭部に矢が刺さった状態で見つかるなどの虐待事件もありました。


犬や猫も標的に…

©Huntstock/Getty Images


時には、犬や猫もその標的となります。2014年に起きた、盲導犬であるラブラドール・レトリバーが何者かによってフォークで刺されていた事件や、2013年の高知県で猫がボーガンで射殺された事件、同年には東京都で生きたまま猫が燃やされて亡くなったショッキングな事件もありました。少し調べるだけでも、目を覆いたくなる痛ましい事件がいくつも見つかります。


海外でも後を絶たない動物虐待

©@ Mariano Sayno / husayno.com/Moment/Getty Images


日本より動物愛護や動物福祉が進んでいるとされる海外でも、残念ながら数多くの動物虐待事件が起きています。その凄惨さは度を超えるようなものもあり、とてもここで紹介するに堪えません。特に最近では、自己顕示欲からかSNSで虐待中の写真や動画を投稿するケースも見られます。


たとえば先月も、スペインで女性が生きた猫を洗濯機でまわし殺傷する様子を、インスタグラムに公開するという事件が起きています。


なぜ、動物虐待が起きるのか(動物虐待と犯罪傾向)

©danishkhan/E+/Getty Images


なぜ、虐待が起きてしまうのでしょうか。その答えは単純に出せるものではありません。ただ、ひとつ言えるのは「『動物虐待』は大罪の予兆となりうる」ということです。元FBIの、ロバート・K・レスラー氏は「殺人者の始まりは、ほぼ動物の殺害や拷問に端を発している」と述べています。


実際、マサチューセッツ動物虐待防止協会が行った研究によると、動物虐待者は、人に対する暴力犯罪を起こす確率が5倍高いと言われています。


アメリカでは動物虐待を非常に重くとらえており、アメリカ連邦捜査局(FBI)は2016年より、動物虐待を軽犯罪から重犯罪へ引き上げ、犯罪データベースでも扱うようになりました。


単に「動物がかわいそう」だけでなく、「犯罪」との関わりが深いのだということを、心に留めておきたいものです。


【参考リンク】
JAVA 「<米国>動物虐待と児童虐待の関連」


動物虐待事件の犯人に科せられる罰則は

動物虐待の事件を起こした場合、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。


たとえばペットが犠牲になった場合は、いわゆる動物愛護法では「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」と規定されています(同法の対象となるのは、犬や猫、産業動物(牛や豚etc)である「愛護動物」です)。


また、法律上は物と規定される動物は、前述の動物愛護法とあわせて、刑法第261条で「他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定されている器物損壊罪も適用される場合があります。


では、今回の矢カモメのケースはどうでしょう。野生動物であるカモメへの虐待は、上記いずれの対象にもなりません。


野鳥の場合は、いわゆる「鳥獣保護法」が適用されます。この法律では「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等をしてはならない」と定められており、「捕獲等」には「殺傷」も含まれます。これに違反した場合は「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が科せられることになります。


【参考リンク】
・動物の愛護及び管理に関する法律
・鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律


動物のためにできること

©María Clara Carbajal / EyeEm/EyeEm/Getty Images


アニコムグループでは「動物の尊厳に関する宣言」を社内で掲げており、そのひとつに

“すべての動物は、いかなる例外もなく虐待の対象とはなりません”

といった項目も設けています。


こうした事件を目にするたびに、動物に関する会社としてだけでなく、一社員としても心がひどく痛みます。しかし、こうした現実から目をそらさず、企業、そしてひとりひとりが動物のために何ができるかを考え、たとえ小さくてもなにかアクションを起こしていけば、少しずつ世界は変わっていくかもしれません。

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コメント1

–さん

-可哀想ですね?
参考になります( ; ; )

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