by 佐藤華奈子 2022.07.11
フクロウは静かなイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまな声で鳴きます。種類によって鳴き声が異なるだけでなく、鳴く理由によっても鳴き声が変わってきます。ここでは一般的にいわれている鳴き声とそのように鳴く理由をまとめました。
「ホー、ホー」「ホッホッ」と鳴くとき
フクロウといえば「ホー、ホー」という声ですね。「ゴロスケホーホー」と表現される鳴き声もあります。これらの鳴き声はオスのさえずりです。さえずりとは、求愛や縄張りを主張するときに出す鳥の鳴き声のこと。フクロウのオスもメスを呼ぶためや、縄張りを主張するためにこのように鳴いているのです。
オスにはのど袋と呼ばれる器官があり、ここを使うことで大きくホーホーと伸ばして鳴くことができます。その声は数キロ離れたところまで届くこともあるのだとか。一方、メスはのど袋がないためオスのように長く大きく鳴くことはありません。メスがオスに応える際は、短く「ホッホッ」と地鳴きをします。
地鳴きとはさえずり以外の声を指し、主に仲間の呼びかけに答えたり、自分の居場所を知らせたりするときの鳴き声です。フクロウは夜行性のため、鳴き声は夜間に聞こえてきます。
野生のフクロウでは上記の理由になりますが、ペットのフクロウの場合は事情が少し異なります。家庭で暮らすフクロウはお腹が空いても自分で獲物を探して捕えることができないため、飼い主に空腹を訴えてこのように鳴くことがあるそうです。
「ギャー」と鳴くとき
フクロウはとても大きな声で「ギャー」「ギャアアアアアア」と鳴くことも。夜の森で聞こえてくると逃げ出したくなるような恐ろしい声ですね。それもそのはず、これは威嚇をするときの鳴き方です。しかもかなり怒って興奮している段階。
もしペットのフクロウや近くにいるフクロウがこのような鳴き方をしたら、極力離れて落ち着くのを待ちましょう。フクロウの警告を聞かずに近づくと、鋭い爪やクチバシで攻撃されてケガをする恐れがあります。
クチバシをカチカチ鳴らすとき
鳥がクチバシをカチカチと鳴らすことを「クラッタリング」といいます。威嚇や求愛のためにするもので、フクロウの場合は威嚇で行います。特に雛が行うことが多いといわれています。大人のフクロウがする場合は、上で紹介した「ギャー」などと鳴く前の段階。これ以上近づいて怒らせることがないよう、やはりそっと離れたほうがよいでしょう。
「ピィー」と鳴くとき
フクロウが心地よさそうに「ピィー」と鳴くのはうれしいとき。よく慣れた飼い主になでられて気持ちがいいときなどにこのような鳴き方をします。かわいい声ですし、馴れてくれている証拠なのでこのような声が聞けるとうれしいですね。ただフクロウの種類や個体差によって鳴き方が異なり、気持ちがいいときに「ギャー」と鳴く子もいます。威嚇との見分け方は、声だけでなくフクロウの様子から判断することになります。
種類によって鳴き声はさまざま
フクロウは種類によっても鳴き声が異なります。ペットとして飼われることが多いフクロウの鳴き声を紹介します。
アフリカオオコノハズク
比較的こもった声で、短くリズミカルに「ホッホッ」と鳴いたり、「ホー」と伸ばしたりします。また「ニャーオ」と猫のような声で鳴くこともあります。体を膨らませて威嚇をする際は、クチバシを大きくカチッと鳴らしたり、くぐもった声で「グ―」と鳴いたりします。
コキンメフクロウ
「ホーホー」と鳴くことはなく「ピュー」「ピョロロ」などと高めの音で鳴きます。ニワトリのように「コッ、コッ、コケ―」と鳴くことも。威嚇も高めの声で「ギャー、ギャー」と繰り返します。ごきげんなときは「キューキュー」ととてもかわいらしい声になります。
メンフクロウ
メンフクロウも「ホー、ホー」ではなく、クセが強い独特の鳴き方をします。その声は甲高く大きめで「人が叫んでいるよう」といわれることも。周囲に自分の存在を知らせるとき、また警告をするときにも「シュー」という独特の声を出します。求愛のために低い声で喉を鳴らしながら鳴くこともあります。
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まとめ
フクロウの代表的な鳴き方とその意味を紹介しました。種類や個体差により、実際の聞こえ方は異なることがあります。フクロウを飼っていると、徐々にそのフクロウの鳴き声を聞くだけでなぜ鳴いているのかわかるようになるそうです。フクロウと暮らしている場合は、声だけにとらわれず、その様子もよく見ながら鳴く意味を判断しましょう。