フラミンゴってどんな鳥? 特徴とピンク色の理由、鳥言葉も紹介

by 佐藤華奈子 2023.05.23

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フラミンゴといえば、鮮やかな羽に細長い首と脚、少し曲がったクチバシ。誰もがその姿を思い浮かべることができる世界中でよく知られた鳥です。でもよく見ると鳥の仲間としては独特の姿で、ユニークな生態もあります。フラミンゴは一体どんな鳥なのか、特徴や色のヒミツなどを紹介します。

そもそもフラミンゴって?

フラミンゴはおもに熱帯に生息する水鳥。フラミンゴ目フラミンゴ科に属し、6種に分けられます。長距離を移動する渡り鳥で、ツルに姿が似ていることから和名は「紅鶴(べにつる)」ですが、ツルの仲間ではありません。分類上はカイツブリ科と近縁になります。アフリカ、南アメリカ、南ヨーロッパ、南アジアの海水や汽水の水辺に広く分布しています。
クチバシには「ラメラ」と呼ばれるクシのような器官があり、ここで水中の小さな藻や甲殻類を濾し取って食べています。
群れで行動する鳥で、たいていは数十羽の群れですが、数十万~百万羽の大規模な群れになることも。春に繁殖のシーズンを迎え、頭を伸ばして旗のように振る「フラッギング」と呼ばれる行動が見られるようになります。産卵の時期になると土を盛り上げて巣を作り、1個の卵を産みます。子育ては母親と父親のペアで協力して行います。交代で卵を温め、孵化したら食事も交代で与えます。
寿命は野生下では20〜30年ほど。飼育下では50年くらい生きる長寿の鳥です。

片足立ちをしているのはなぜ?

フラミンゴは片側の足だけで立っている姿がよく見られます。それも長時間片足で立ったまま。そのまま眠ってしまうこともあります。一体なぜこのポーズでいるのでしょうか。一説には、足を長時間水に浸けていることで体温が下がってしまうのを防ぐためといわれています。片足を水から出してお腹の羽の中に入れて温めているのだそうです。これを交互に行うことで、体温を調節しているといわれています。また、両足で立っている方が筋力を使うため、片脚で立つ方が疲れにくいからという説もあります。

羽がピンク色の理由

フラミンゴのトレードマークとなっている鮮やかなピンク色。この色は実は遺伝ではなく、食べているものの色素からきています。フラミンゴが食べている藻や小さな甲殻類に含まれるカロテノイドという色素によって、羽がピンクになっているのです。色の濃淡は種類によって異なりますが、色素が含まれるものを摂らないでいるとだんだんと色あせて、やがて白い羽になってしまうのだそう。異性からパートナーとして選ばれる条件は羽がピンクであることなので、白いフラミンゴはつがいになれません。野生と同じものが食べられない動物園のフラミンゴたちは、色素を補うためにカロテノイドが添加されたフラミンゴフードを食べています。 ちなみに産まれたてのフラミンゴのヒナはグレーや白色。親鳥が体内で栄養を濃縮して作った赤いフラミンゴミルクを与えられ、3年くらいかけて大人と同じ色に変わっていきます。

赤い湖に飛来するフラミンゴもいる

地球上には湖面が赤く見える奇妙な湖が存在します。例えばボリビアのラグナ・コロラダ。海抜約4000mにある塩湖で、水中の藻が分泌する色素とプランクトンの死骸の堆積によって湖が赤く染まります。ここはフラミンゴの繁殖地としても知られ、コバシフラミンゴ(ジェームスフラミンゴ)やアンデスフラミンゴ、チリーフラミンゴが繁殖のために飛来します。
タンザニア北部にも赤いナトロン湖があります。「炎の湖」「死の湖」とも呼ばれ、乾季になると藻が一気に繁殖して色素を分泌し、赤く染まります。こちらはオオフラミンゴとコフラミンゴの繁殖地です。
これらの湖は高濃度の炭酸塩が含まれた強アルカリの水質のため、たいていの生き物はその中で生きていくことができません。水に触れただけで火傷をしてしまうこともあれば、水に触れたところから石灰化が始まって身動きが取れなくなってしまい、全身が石になってしまうことさえあります。こんな過酷な環境でフラミンゴが生きられるのは、足の皮膚が丈夫でアルカリに強いためと考えられています。天敵も食事を巡って争う相手もいない赤い湖は、フラミンゴにとって快適な繁殖地になっています。

最大のフラミンゴはオオフラミンゴ

フラミンゴの中で最も大きいのはオオフラミンゴ。アフリカや南西アジア、南アジア、南ヨーロッパで見られ、ヨーロッパフラミンゴとも呼ばれます。羽を広げたときの長さは約140~170cm。全長約145cm、体重2.5~4kgほどの大きなフラミンゴです。日本の動物園でも広く飼育されています。ちなみに最小のフラミンゴはコフラミンゴで、全長はおよそ80~90㎝、体重は2~2.5㎏ほどになります。

1番色が濃いのはベニイロフラミンゴ

フラミンゴの中で最もピンク色が濃く、赤やオレンジに近い色をしているのはベニイロフラミンゴ。フロリダや南アメリカ、西インド諸島、カリブ海周辺やガラパゴス諸島に生息しています。オオフラミンゴに匹敵する大型のフラミンゴで、こちらも国内の動物園で見ることができます。

フラミンゴは何の象徴?

フラミンゴが2匹で向き合うと、頭から首にかけてハート型に見えることがあります。こうした様子から、幸福や恋愛の象徴とされています。また片足で立つ姿がよく見られることから、バランスや心の安定の象徴であることも。さらに社会性があり、つがいになって育児をする姿から家族関係や人間関係の重要性を象徴することもあります。国や地域、文化圏によって多少は変わってきますが、人生のあらゆる分野でバランスを保つこと、家族や周囲の人に心を開いて関わっていくこと、新しいことへの挑戦など、前向きで調和がとれた状態を象徴することが多くなっています。

フラミンゴの誕生鳥と鳥言葉

誕生石や誕生花と同じように、誕生日にあてられた誕生鳥があります。2月5日の誕生鳥はベニイロフラミンゴで鳥言葉は「優雅」。5月26日の誕生鳥がチリーフラミンゴで鳥言葉は「必要は発明の母」となっています。

まとめ

フラミンゴについて特徴やピンク色、片足立ちの理由などを紹介しました。日本に野生のフラミンゴはいませんが、動物園ではよくその姿を見ることができます。オオフラミンゴ、ベニイロフラミンゴ、チリーフラミンゴの3種が一緒に飼育されているケースも多く見られます。色や大きさのちがいに注目して種類を見分けながら、優美な姿を楽しんでみてください。

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