2017.08.18
鵜飼(うかい)は日本古来の鵜を使った伝統的な漁法で、現在はその数も減少していることから、地方によっては観光名物にもなっています。先日、この鵜(う)に感染症が発生し、夏祭りの目玉であった鵜飼の実演イベントを中止したというニュースが報道されました。
鵜に感染したことが疑われているウイルスは「鳥ポックスウイルス」。家庭で飼われる鳥たちは感染しないのでしょうか? 今回は、「鳥ポックスウイルス感染症」について、紹介していきます。
特徴は「ぶつぶつができる」こと
鳥ポックスウイルスは、鳥に感染症を引き起こします。症状は皮膚に異常が出る「皮膚型」と、粘膜に異常が出る「粘膜型」に大きく分けられます。「皮膚型」では、鳥の顔(口のわき、まぶた等)、脚、翼の内側の皮膚など羽毛がない場所に「ぶつぶつ」ができます。「粘膜型」では、気管や口腔などの粘膜に「ぶつぶつ」ができることで、呼吸困難や食欲低下などの症状を起こし、重篤になると死亡することもあります。
蚊、キズ、エサなどから感染する
鳥ポックスウイルスは、健康な皮膚や粘膜からは感染しにくいと言われています。そのため、蚊などの昆虫の吸血や、傷口などを狙って鳥の体内に侵入します。また、糞やフケを吸ったり、汚染された餌などを食べることによっても、ウイルスが入り込んでくることがあります。
ヒトには感染しない?
ポックスウイルスの中にも色々な種類のポックスウイルスがいて、それぞれ感染する生き物の種類がある程度決まっています。鳥に感染するものは「鳥ポックスウイルス」であり、ヒトへ感染するものとは種類が異なるため、ヒトへ感染することはないと言われています。
鳥の種類によっても、感染するウイルス種が違う
鳥ポックスウイルスの中にも色々な種類がいるため、鳥の種類によっても感染する鳥ポックスウイルスの種類が違います。例えば、鶏痘(けいとう)ウイルスは鶏や七面鳥に感染し、カナリア痘ウイルスはカナリアに感染することが知られています。そのため、ある1種の鳥ポックスウイルスが、全ての鳥種に感染する可能性は低いと考えられます。
家庭で飼われている鳥には感染する?
家庭で飼われている鳥での詳しい発生状況は分かっていませんが、海外ではカナリアやボウシインコなどで発症したという報告もあります。過剰に心配する必要はありませんが、日本でも感染する可能性は、ゼロとは言えないかもしれません。
わが子の感染を防ぐために
普段から屋内、屋外を問わず野鳥が入り込まないような飼育環境とすることで、わが子と野鳥の接触を避けるように気を付けること、飼い主さんが野鳥と触れ合った場合は帰宅時にきちんと手洗いを行い、アルコールなどの消毒薬を手に塗布するなどして消毒を心掛けることが大切です。