by アニコム 鳥ヲタクチーム 2018.09.13
フクロウカフェが増えたことで、まさに「会いに行ける猛禽類」となったフクロウ。ハウスメーカーのCMにも登場するなど、わざわざ会いに行かなくても目にする機会も増えてきました。
一口にフクロウといってもさまざまな種類があり、大きさや性格もいろいろです。
今回は、小型で愛らしいしぐさと比較的慣れやすいことからペットとして人気があるコキンメフクロウを例に、フクロウについてご紹介します!
コキンメフクロウって? そもそもフクロウって一般家庭でも飼えるの?
名前の通り美しい金色の目を持つコキンメフクロウは、ヨーロッパから北アフリカ、中東から中国に生息する小柄なフクロウです。
体長は20~25cm前後、体重150~200g。見た目の割にとっても軽いです。モルモットと同じくらいの大きさなのに体重はゴールデンハムスターより少し重いくらいです!
※参考までに…わが家のモルモットは体長22cm、体重800g、ハムスターは体長12cm、体重125gです。
ペットとして流通している猛禽類にはもともと野生で生きていた個体(ワイルド)と、人の手で育てられた個体(インプリント)がいて、一般的にはインプリントの方が慣れやすいといわれます。
そんな中でも、専門店のスタッフさん曰く、コキンメフクロウはまれに「ワイルドなのに意外と慣れてくれる」子がいるとのこと。そのあたりもペットとして迎える方が多い理由のひとつかもしれません。
未知の世界!フクロウとの生活って?
野生下での食性は肉食傾向の強い雑食で、主に小型の哺乳類や鳥類、昆虫、両生類、ミミズ等を食べています。
飼育下では寄生虫や衛生面も考慮し、餌用に繁殖・処理された冷凍のマウスやヒヨコ、コオロギなどを与えるのが一般的です。骨や内臓も大事な栄養ですので、人間の食用に処理された精肉では不十分なのです。
フクロウといえば夜行性というイメージが強いですが、夜に活動するのはタカなどの昼行性の猛禽類と競合しないためで、昼間でも目はきちんと見えています。
日中起きていることも多いので、「昼間は寝かせなければいけない!」とか「夜になるまでお世話をしてはいけない!」というように生活リズムを厳密に気にする必要はありません。
逆に、夜遅くなってからでもお世話ができるので、仕事などで日中のお世話に時間がかけられない人にはピッタリかもしれません。
フクロウを飼う場合、アンクレットとジェス(※1)でファルコンブロックやボウパーチ(※2)等に係留するのが一般的です。
用品の名前が聞き慣れないものばかりですね(笑)。飼育用品が特殊なので、扱い方や必要な設備についても相談できる専門店、そして継続的に餌を購入できる先を確保しておきましょう。
ケージで飼育する場合は、猛禽類専用の大きなケージを用意する必要があります。普通の鳥かごや動物用ケージだとフクロウにとっては狭く、また材質が硬いため翼を痛めたり羽が挟まったりしてしまいます。
(※1)アンクレットとジェス:アンクレットは足につける革製の足環、ジェスはアンクレットにつける紐で、犬でいう首輪とリードのようなもの
(※2)ファルコンブロックやボウパーチ:いずれも猛禽類を係留するための台(ほこ台)の名称
フクロウが家族になったら…
■ごはんがほしいとおねだりします
フクロウはあまり鳴かないイメージがありますが、お腹がすくとごはんをねだって「餌鳴き(えなき)」をします。体の大きさに比例して鳴き声の音量も大きくなりますが、コキンメなら隣近所にそこまで迷惑はかからないでしょう。
■フクロウの水について
他の生き物と比べてあまり水は飲みませんが、水浴びが好きな子が多いです。普段過ごす空間に、足からお腹ぐらいの深さの水を入れた器を置いてあげると、ときどき水浴びをしたり、喉が渇けばそこから水を飲んだりもします。
あまり水分を摂っていないようだったら、ごはんの時に解凍した餌を少し湿らせてあげましょう。
■“人を見る目”を持っています
フクロウは人を見分けることができるので、家族の中でお気に入りの相手がいたり、誰がごはんをくれる人なのかもきちんと覚えています。なかには、他の家族には何もいわないのにお気に入りの相手が帰宅した時だけ「おかえり」コールをしてくれる子も!
■緊張しているときに見せるコキンメフクロウならではの行動
ここまではフクロウ全般に共通していることですが、コキンメフクロウに特有の動作もあります。
コキンメフクロウは警戒している時、緊張している時に体を上下に揺らす動きをします。環境や飼い主に慣れて警戒や緊張をしなくなってくると、自然とこのしぐさもしなくなります。
可愛い動きが見られなくなるのは少し寂しいかもしれませんが、家族の一員になれた証です。一緒に喜んであげましょう。
可愛くても元野生動物。出来る限り本来の生活スタイルを尊重してあげましょう
猛禽類は愛玩動物のように品種改良されていないので、総じて神経質な面を持っています。
セキセイインコや文鳥のようにフレンドリーな鳥さんを見慣れている私たちには少し想像がつきにくいのですが、過度な馴れ合いを好まないところに気品のようなものも感じられます。
しかし、もともとは野生動物だけに、飼育はハードルが高いということも、事実です。
きちんと扱えるお店が限られること。
きちんと診療できる病院も限られること。
ネズミやヒヨコをそのまま食べさせなくてはいけないということ。
乗り越えなければいけない試練は他の鳥さんよりも多いでしょう。「かわいいから」「流行っているから」だけで飼える生き物ではありません。
さらに、“本来なら自然界で人と触れ合うことなく暮らしている野生動物を人の手で飼育する”ことに対する葛藤はどうしてもついて回ります。
それでも飼うと決めたのであれば「自分のため」ではなく「その子のため」に勉強や努力ができる方にこそおすすめしたい、とても魅力的で素敵な鳥さんです。
【鳥種データ】
体の大きさ:★★★☆☆
スキンシップ:★★☆☆☆
声の大きさ:★☆☆☆☆
※アニコムの鳥ヲタクによる設定です。