コウノトリ ~再び空を舞う日まで~

2017.04.07

鳴かない鳥、コウノトリ

赤ちゃんを運んでくるといわれるコウノトリ。もともとはドイツの伝承で、家の煙突などに巣を作り、夫婦で仲良く子育てをする姿が見られたことから伝わった話です。ただこの伝承に登場する鳥は、日本に生息するコウノトリではなく、同じコウノトリ科の「シュバシコウ」というくちばしが赤い鳥です。コウノトリはその姿がタンチョウツルともよく似ているので、昔から混同されることが多いのですが、生態等はまったく違います。


まず飛び立ち方。ツルは滑走して飛び立ちますが、コウノトリはヘリコプターのようにふわりと上に飛び上がります。また、ツルは大きな声で鳴きますが、コウノトリは成長につれて発声器官が退化するので、大人になると鳴きません。そのかわり、くちばしをカタカタ鳴らしコミュニケーションをとっています。巣の作り方にも違いがあり、ツルは地上に巣を作りますが、コウノトリは樹の上など高いところに作ります。


豊かな自然の象徴

かつては日本にも多くの野生のコウノトリが生息していましたが、1971 年に兵庫県豊岡盆地で絶滅しました。原因のひとつは環境破壊です。コウノトリは主に田んぼに棲むドジョウやカエルなどを食べますが、人間が農薬を使うようになり、その残留農薬の影響で中毒になったり、営巣木である松の伐採などで生息地が激減していったのです。絶滅の事態を受けて、日本では保護増殖活動が始まりました。現在、兵庫・千葉・福井の3県が野生のコウノトリ復活を目指し、人工飼育で育った個体を自然に返す取り組みをしています。


2015年7月には千葉県野田市が3羽、10月には福井県越前市が2羽のコウノトリを放鳥しました。この2県に先立ってコウノトリ復活に取り組んできているのが兵庫県豊岡市で、2015年は同市が放鳥して10年目の節目の年にあたります。そんな年に相次ぐ放鳥が見られるのは喜ばしいことです。田んぼの食物連鎖の頂点に立つ彼らが生息できる環境は、人間にとっても安心安全な環境です。かつての日本のように、たくさんの野生のコウノトリが空を舞う日が待ち遠しいですね。再び空を舞う日まで。


【コウノトリ】
Ciconia boycianaコウノトリ コウノトリ目 コウノトリ科 コウノトリ属
国の特別天然記念物。全長約1m、翼を広げると2m 前後になる。
ヒナが生まれると親鳥はずっとそばにいて、父鳥・母鳥が交代で協力して子育てをする。
その仲睦まじい姿が幸福を運ぶ鳥と呼ばれる所以といわれている。


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