ミーアキャット ~群れの仲間意識が生んだ、独特の教育方法と子育て~

2017.06.07

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立ち姿には目的がある

前足をあげ、後ろ足と尾で身体を支えるユニークな立ち姿で知られるミーアキャット。野生の彼らがこのポーズをしているときは、主にふたつの目的があります。


まずひとつは日光浴です。ミーアキャットが住んでいる砂漠地帯は夜の気温が零下に下がるので、冷えた体を温めるために、太陽に向かって立ち上がって日光浴をするのを朝の日課としているのです。


ふたつめの目的は、見張りをするためです。日中にエサを探すミーアキャットは、ヘビや鷹などの外敵から身を守るため、仲間同士で見張り役を決めます。見張り役は立ち上がって周りを監視し、外敵が来たら警戒声をあげて仲間に知らせるのです。


段階を踏んだ驚くべき教育方法

ミーアキャットの群れには上位に位置する雄と雌がおり、群れの子どもの約8割はこの雌が産んだ子どもたちです。群れの他のメンバーは基本的に繁殖はせず、子育て要員として子守りや授乳を行います。他のミーアキャットが獲物を探しに行っている間も、必ず交代制で子守りを行うのです。


そして、驚くべきことは、子どもたちの成長や能力に合わせた教育を行う点です。たとえば、サソリの捕らえ方を教える場合は、(1)子どもに危険がないように死んだサソリを与える、(2)生きているサソリで毒針を抜いたものを与える、(3)毒針のある生きたサソリを与える、と段階を追って教育していくのです。


このように、ミーアキャットは交代制で行う子育てやきめ細かい教育方法によって、群れの生活をより良くし、生き延びてきました。人以外の哺乳類がこうした積極的な教育をすることは珍しいと言われています。核家族化が進み、地域のコミュニティーも減ってきている人の社会では、ミーアキャットに学ぶことが多いかもしれませんね。


【ミーアキャット】
Suricata suricatta 食肉目 マングース科 ミーアキャット属
アフリカ南部のサバンナに生息する。体長は25~30cm、体重は0.6~1.0㎏。
地面に巣穴を掘り、昼行性で群れをなして生活する。最大約40頭ほどの群れを作る。
主にサソリのような虫が主食だが、その他にもトカゲ、ヘビなどの小動物や卵、植物なども食べ、
その食性や気質から「砂漠のギャング」と呼ばれることもある。


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