【ペット事故に詳しい弁護士にインタビュー】犬の事故でも刑罰があるの!?実例の紹介も。

by 編集部 2023.03.10

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飼い主にとっては想像もしたくない事態ですが、実際に飼い主に刑罰が科されることがあります。
その実態について、ペット事故の案件を多く取り扱ってきた仲 隆 弁護士(東京不二法律事務所)にインタビューしました。

愛犬が他人にケガをさせて告訴されたら・・・

Q:飼い犬が人に咬みついて、飼い主が刑罰を受けることがあると聞きました。それは、例えば咬まれた人がひどいケガをしたときに限られますか?
A:ひどいケガでなくとも、ケガをしているかぎり、被害者が警察に告訴をすれば、警察は受理するのが普通だと考えてください。検察官の判断にもよりますが、飼い主の管理が不適切であれば刑罰が科されることは少なくありません。


Q:被害者が警察に被害届を提出したり、告訴をしたりすると、飼い主にはどのような影響がありますか?
A:被害届が出されても警察は捜査する義務はありませんが、飼い主の管理が悪質だと考えれば捜査を開始することがあります。告訴がなされると警察は捜査する義務があります。捜査が開始されれば、飼い主は警察から呼び出されて長時間の事情聴取を受けることになります。管理が不適切であれば刑罰が科され前科が付く可能性がありますので、精神的な負担はかなり大きいです。

Q:最後に、刑罰を受けることのないよう、飼い主様へのアドバイスをお願いできますか?
A:自動車であれば、危険運転による事故で刑罰を受けることはよく知られていますが、
飼い犬の散歩では、他人に重大なケガをさせることをイメージしにくいので、事故防止の意識が薄くなりがちです。うちの愛犬は「小さいから」、「お利口さんだから」という理由で、散歩中にリードを長く持っていたり、公園でリードを離して遊ばせたりしていると、思わぬ大事故に遭ってしまう可能性があります。自動車と同様に、動物も法律上は危険なものとして取り扱われていますので、そういう意識が大事です。 また、お住まいの地域の条例により過料等を課せられる場合もありますので、チェックしておくのもよいでしょう。


犬の体格や咬む力の強さだけで刑の重さが決まるわけではない

実際、アニコムのご契約者からも、飼い犬が人に咬みついて「警察から呼び出された」、「罰金を支払うことになった」、というお話をお伺いすることがあります。


■警察に呼び出された例
・宅配の方が来られた時にドアの隙間から飛び出して咬みついた。
・散歩に出ようとしたときにドアの隙間から飛び出して隣人に咬みついた。
・ゴミ出しの際に玄関から脱走して隣人に咬みついた。


■罰金を支払うことになった例
・横断歩道で信号が変わった時に通行人に咬みついた。
・曲がり角で出くわした人に驚いて咬みついた。
・リードを切って飛び出し他人の顔に咬みついた。


アニコムのご契約者の例では、特に大型犬の場合に罰金を科される傾向が強いようですが、体格や咬む力の強さだけで刑の重さが決まるわけではありません。飼い犬の性格や周囲の状況に応じて、飼い主の注意義務が問われますので、小・中型犬であっても油断は禁物です。


飼い犬が人に咬みついてしまった際に科される可能性がある罪としては、主に過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)が挙げられます。気性の荒いワンちゃんを放し飼いにしたり、飼い主として果たすべき注意を著しく怠った場合などには重過失傷害罪(5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)が科されることもありえます。


咬みつき事故はふとした油断で発生します。
私たち飼い主が加害者とならないよう、また大切なワンちゃんを加害犬と呼ばせないよう、ワンちゃんとの暮らしに潜む危険を今一度チェックしてみましょう。


【お話をお伺いした弁護士】

東京不二法律事務所 仲 隆 弁護士
得意分野:企業法務全般、相続・遺言、不動産紛争、ペット事故など。
執筆活動:遺産相続事件処理マニュアル(新日本法規)、相続・遺言「判例ハンドブック」(青林書院)、他多数。
モットー:すぐ仕事に取りかかること、わかりやすく説明すること。

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