by 佐藤華奈子 2025.06.20

クチバシがあって鳥のようにも見える不思議な姿のカモノハシ。地球上のどこにいて、どんな風に生きているのでしょうか?謎が多くなかなか知る機会のないカモノハシの生態や特徴を、クイズを交えてお届けします。
カモノハシってどんなどうぶつ?
名前の由来でもあるカモのようなクチバシに、水かきがついた足、カワウソのような流線型の体、そしてビーバーのような平らなしっぽ。奇妙な姿のカモノハシは、わたしたちと同じほ乳類です。ほ乳類でも卵を産むという特徴から「単孔類(総排泄口を持つ、原始的な哺乳類の総称)」という仲間に分類されました。現存する単孔類はカモノハシとハリモグラのみです。
カモノハシが世界に知られるようになったのは、18世紀末のこと。イギリスで初めて剥製を見た学者は、ほ乳類の体に鳥のクチバシが縫いつけられたフェイクだと思ったといいます。その後、19世紀にかけてカモノハシの分類は大論争になりました。
実際、カモノハシは鳥類やは虫類の特徴も持ち合わせています。鳥やは虫類と同じ総排泄孔を持っていて、排泄物だけでなく、同じ場所から卵を産みます。骨格はは虫類に似て、足は体の下ではなく側面についている形で、歩き方もは虫類に似ています。それでも体毛があること、授乳をして子どもを育てることから、ほ乳類に分類されました。
一体なぜ、分類を超えていろいろなどうぶつの特徴が混ざっているのでしょうか?カモノハシはほ乳類の中で最も原始的な形を残すどうぶつです。今は胎生(母体内で成長させ、親に似た姿になって産むこと)である私たちほ乳類も、祖先は卵を産んでいました。それが3億年以上前に鳥類・は虫類の祖先から別れ、およそ1億年以上前に単孔類から別れて進化したと推定されています。カモノハシは今のどうぶつの進化を知るうえで、重要な手がかりとなる存在なのです。
体の大きさと特徴
大きさは全長50㎝前後、体重1~3㎏ほど。身近などうぶつに例えるとチワワくらいです。クチバシは黒く、毛は茶色。クチバシのような形になっている口は、皮膚に覆われてやわらかくなっています。体は水中で泳ぐことに適した形で、平たいしっぽを舵として使用します。しっぽにはさらに、ラクダのコブのように脂肪を貯蓄する役割もあります。
カモノハシがすむところ
地球上でカモノハシが生息しているのはオーストラリアだけ。オーストラリアの熱帯雨林から寒い山岳地帯まで、幅広い気候に適応しています。淡水で巣穴作りに適した土手があり、潜って水底の生き物を食べられる浅い水辺に住んでいます。海に近い汽水域で発見されることもありますが、巣を作るのは淡水の水辺だけです。
カモノハシが食べるもの
カモノハシの食事は水中にいる昆虫の幼虫、エビ、ザリガニ、小魚やミミズなど。潜水してクチバシを使って獲物を捕まえ、ほお袋に貯めます。そして水面に上がってゆっくり食べます。
注目したいのは、その食事量。毎日、体重のおよそ20%の量を食べる大食漢という説があります。60㎏の大人に例えると、1日に12㎏を食べている計算に!たくさん食べるために、起きている時間のほとんどを食べ物探しに費やしています。
カモノハシの寿命と一生

寿命は野生下で約7~14年といわれています。飼育下で20年ほど生きた記録もあります。
繁殖の時期は8~9月。お母さんは土手の巣穴の奥で2個前後の卵を産みます。卵の大きさは2㎝にも満たないほど。鳥の卵よりも丸く、殻はやわらかくなっています。産卵のあと、お母さんは巣の中で抱卵し、10日ほどで卵が孵ります。赤ちゃんは生後3~6ヶ月ほどで離乳し、10ヶ月ほどで独り立ち。その後2歳半くらいで大人になります。
カモノハシのマメ知識クイズ
カモノハシにはまだまだ驚きの特徴があります。クイズ形式で紹介します。ぜひ挑戦してみてください!
赤ちゃんにはあるけど、大人にはないものは?
後足は危険!その理由は?

大ピンチ!?授乳するのに〇〇がない!
水中では目も鼻も閉じている!どうやって獲物を見つける?
カモノハシは日本の動物園で会える?
カモノハシは絶滅危惧種

カモノハシは生息地の減少や狩猟などによって数が減少しています。国際自然保護連合のレッドリストではNT(準絶滅危惧)に分類されています。
生息地が限られているため、オーストラリアのカモノハシが守られなければ絶滅してしまいます。オーストラリア政府は、一般の人にもできることとして、ゴミのポイ捨てをしないこと、犬のうんちを必ず拾うこと、車のオイル漏れがないか確認することなどを周知しています。これらは川の汚染に関係することです。また地面に落ちたゴミが水路へ流れ込むと、ゴムやプラスチック片がカモノハシの首に巻きついたり、割れたガラスがクチバシを傷つけたりして、ケガを負わせてしまうこともあるといいます。
まとめ
知れば知るほど、不思議な一面が見えてくるカモノハシ。とてもユニークな仲間ですが、今、絶滅が危ぶまれています。直接できることは少ないかもしれませんが、同じように水の中で生きるどうぶつたちのために、わたしたちもゴミをポイ捨てしないなど、環境のことを考えて生活したいですね。