by 編集部 2022.07.20
4月29日にオープンした保護どうぶつシェルター「アニテラス」。施設で預かっていた “アニーちゃん”が、新しい家族に迎えられました。目の見えない“全盲”の猫である“アニーちゃん”は愛知県のご夫婦に迎えられ、“杏珠(あんじゅ)”という素敵な名前を付けてもらい、今はもともと家にいた先住猫2頭と一緒に暮らしています。
今回は里親さんに、“杏珠ちゃん”(文中では里親さんから“杏ちゃん”と呼ばれています)を迎えた経緯についてお話を伺いました!
▲アニテラスで遊ぶ杏珠ちゃん
Q.アニテラスに行くことになった「きっかけ」は?
実は、アニテラスに行く予定は元々なかったんです。GWに初めてVISONに行くことになったんですが、施設について調べている時に、アニテラスがあることを知り「行ってみたいね」くらいに考えていました。
VISONには車で行きましたが、行ってみるとGW中だったのですごく混んでいて…。でも、アニテラスの前の駐車場は比較的空いていたんです。それでアニテラスに行ってみることになりました。今考えると、駐車場が空いていなかったら杏ちゃんとは出会えていなかったかもしれませんね。
Q.アニテラスの印象はいかがでしたか?
それまで「保護施設」には行ったことがありませんでしたが、なんとなく犬や猫がケージに入れられているような、暗くて、悲しいイメージがありました。でもアニテラスの施設は明るくてキレイだったので、びっくりしました。どうぶつたちがのびのびと遊んでいたのも印象的でした。
▲アニテラスで食事をする杏珠ちゃん
Q.杏珠ちゃんの最初の印象はいかがでしたか?
我が家ではすでに猫を2頭飼っていましたが、今まで全盲の猫と触れ合ったことはありませんでした。杏ちゃんと触れ合った時、最初に思ったのは「可愛いな」ということでした。目がつぶれているのを気にする方もいると思いますが、私たちは全く気になりませんでした。
アニテラスで初めて会った時は、同じところをずっとくるくると回っていて「見えないから不安なのかな?」とも思いましたが、2回目に行った時にはキャットタワーに登ったりして活発に遊んでいて、「普通の子と変わらない」と実感しました。
Q.里親としてお迎えすることを考え始めたのはいつ頃ですか?
初めて会ってから、ずっと気になるようになってしまって…。家に帰ってから「目の見えない猫」のことをとにかく調べていました。アニテラスには、計4回、通いました。ほとんど毎週のように行っていましたね(笑)。
2回目はVISON目当てではなく、杏ちゃんに会いに行って、スタッフの方に「里親の条件」や「飼う上で大変なこと」を聞いていました。その時にはもう、お迎えを具体的にイメージしていたんだと思います。
▲転がる球を追いかける杏珠ちゃん
Q.お迎えに向けた1週間のトライアルをしてみて、感想はいかがでしたか?
やっぱり「普通の子」と変わらない印象でした。目が見えないので、ケージを2段にしたり指示棒を使って段差の位置を教えたりしました。しつけには「音」を使うことを意識し、ほかの子たちに鈴をつけたりもしました。ただ、杏ちゃんがとても賢かったので、トイレやごはんの場所もすぐに覚えて、階段も降りられるようになりました。
ただ1週間では短すぎて、ほかの子とあまり仲良くなれなかったので、今後は少しずつ仲良くなってほしいと思っています。
Q.お迎えを決めたポイントは何だったんでしょうか?
とにかく可愛かったんです(笑)。正直、アニテラスに行くまでは3頭目は全く考えていませんでした。でも、出会ってからは、とにかく気になってしまって諦めきれなかったんです。杏ちゃんは目がつぶれてしまっているけれど、そんなこと関係なく可愛かった。「この子とどうしても家族になりたい」と思ったんです。
でも一頭増えるとその分お金もかかるので、今後ちゃんと飼い続けられるのか、費用のことも真剣に考えました。最終的にはお金の問題も解決できたので、お迎えすることになりました。
Q.今後どういう家庭をつくりたいですか?
家の猫たちは両方「拾った」子で2年半以上一緒にいるんですが、同じ場所で寝るくらいすごく仲が良いんです。その仲に杏ちゃんも入れたら良いなと思っています。
ちなみに先住猫の名前はそれぞれ“稲”と“茶実”で、戦国時代のお姫様と自然の食べ物を合わせた名前です。“杏珠”も同じようにお姫様と食べ物の名前からつけました。
▲杏珠ちゃんに興味津々の先住猫ちゃん
Q.保護どうぶつのお迎えは初めてでしたが、いかがでしたか?
もともと保護施設には、里親になる条件がとても厳しかったりするイメージがありました。でも、アニテラスではスタッフが杏ちゃんに必要なことについて説明してくれたし、気になることも親身になって一緒に考えてくれました。もし条件などで保護施設を諦めている人がいれば、一度アニテラスに行ってみてほしいと思います。
▲アニテラスにいた頃の杏珠ちゃん
アニテラススタッフ後記
“アニーちゃん”は21年5月6日生まれの女の子で、目が見えないけれど元気で冒険好きな子でした。アニーちゃんを施設で保護するにあたり、ケガをしないよう3段だったケージを1段にするなど施設としても準備をしましたが、実際にはワンちゃんよりも手がかからないくらい「普通の子」でした。
それどころか、人懐こく、本当にいろんな人に可愛がってもらっていました。その分、正直に言うと、お迎えが決まった時には寂しさもありました。でもやはり、“アニーちゃん”にとっての幸せが一番大切なので、今は嬉しく思っています。
里親さんがご家族の猫ちゃんたちに愛情を注いでいることはとてもよく伝わってきたので、“杏ちゃん”も今後ずっと、たくさんの愛情をもらって生きていってほしいです。(アニテラス施設長 重原直哉)