自治体の動物愛護への取り組みを知ろう!~埼玉県の場合~

by 編集部 2022.05.16

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みなさんは、「動物愛護」の活動は誰によってどのようなことが行われているか、考えてみたことはありますか?動物がおかれている現状をより良くするために行う、さまざまな活動は企業、個人、団体など、多くの方が行っています。
今回は、「自治体での動物愛護活動」について、埼玉県生活衛生課の佐近 早苗(さこん さなえ)さん、石神 敬(いしがみ けい)さんにお話を伺いました。自治体としての取り組み、今後の目標等、埼玉県の熱い想いをお伝えします。


動物愛護への関心は高まっている

まずは、今まさに対応中の件について教えていただきました。


最近(取材当時)Twitterなどで、秩父で保護されたワンちゃんについての情報拡散があり、県内・県外から多くの問い合わせが寄せられています。「ワンちゃんの健康状態はどうなのか」「新しい飼い主になることは可能なのか」など、みなさんとても気にかけてくださっています。(※こちらのワンちゃんは、県内の希望者へ無事譲渡されました)
県のホームページの中でも、保健所や動物指導センターに収容されている迷子動物の写真を掲載しているページは、多くの方々にご覧いただいています。
また、県政について決めていく県議会の場でも、「犬猫殺処分ゼロに向けて」や「子ども達への動物愛護の普及啓発」など、動物愛護の推進に関するテーマで、しばしば話し合いが行われています。


昨今、世間では動物に対するさまざまな意識が高まってきていますが、埼玉県でも動物愛護へ関心を持つ方が増えているようです。


埼玉県の取り組み① ~殺処分ゼロを目指して~

動物愛護への関心が高まっている、とのお話を受け、埼玉県の目指す「殺処分ゼロ」について現状と目標を伺いました。


―埼玉県の保護動物、殺処分はどのような状況なのでしょうか。


埼玉県では、令和12(2030)年度末までに犬猫の殺処分数をゼロにする目標を掲げています。令和3(2021)年度の殺処分数は、犬が11頭、猫が328頭でした。平成28(2016)年度は、犬が290頭、猫が880頭でしたので、5年間で約7割減っています。


―殺処分数が減少傾向にあるのですね。


はい。まずは殺処分ゼロを早期に実現し、実現したらそれを継続していくことが重要と考えています。そのために、埼玉県では「3本の柱」の取り組みを行っています。


一つ目は「引き取りの抑制」をすることです。
飼い主本人から動物が持ち込まれた場合、飼えなくなった理由を聞き、新しい飼い主を見つけることはできないか等のさまざまな提案をすることで、施設に引き取られる数自体を増やさないようにします。


二つ目は「飼い主への返還」をすることです。
迷子の犬猫を保護、収容したときには、ホームページで写真を掲載するなどし、飼い主を探します。さらに、県内の保健所などに収容されている収容動物の掲載情報を一括で調べる「迷子動物テレホンサービス(※)」という取り組みを県独自に行っており、パソコンをお持ちでない方や、より広範囲に動物を探したい方などにご利用いただいています。


三つ目は「譲渡」をすることです。
譲渡会で新たな飼い主を探したり、保護団体への譲渡を行ったりしています。
(※)参考ページ
迷子動物テレホンサービス
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0706/doubutu/telservice.html


埼玉県の取り組み➁ ~動物を助ける、ご当地WAONカードをご存じですか?~

埼玉県ならではの動物愛護への取り組みのひとつ、「ご当地WAONカード」について教えていただきました。


―その他の取り組みはいかがでしょうか?


「ご当地WAONカード」という取り組みをイオンさんとしています。ご当地WAONとは、地域の活性化に役立てるよう、WAONカードでお買いものをした際、利用金額の0.1%を、イオンさんが自治体へ寄付してくださるものです。埼玉県では平成24(2012)年度から「彩の国ハッピーアニマルWAON」による寄付をいただいています。
多い年では年間1千万円以上が寄付され、現在は地域猫活動・飼い主のいない猫の避妊・去勢手術の補助金事業を行っています。日常の買い物のついでに、将来の不幸な猫を減らすことに貢献いただけるものなので、見掛けた際には是非ご利用いただきたいです。


このWAONカードは、埼玉県に住んでいなくても作ることができます。カードの発行に年齢制限がなく、現金をチャージして利用するカードなので、気軽に持つことができそうですね。


埼玉県の取り組み➂ ~動物愛護推進員との活動~

各都道府県には、「動物愛護推進員」という、地域で動物のためにさまざまな活動をするボランティアの方々がいます。埼玉県と動物愛護推進員の関係について、伺いました。


―埼玉県ではどのように動物愛護推進員の方々と活動しているのですか?


埼玉県としては、より多面的に動物愛護に関する情報の発信・啓発活動を展開していきたいと考えています。しかし、県が持っている既存のツールだけでは、県民の皆さんに十分な情報をお伝えすることはできません。
そこで、動物愛護推進員の方々のお力をお借りしています。埼玉県の推進員の方々は、それぞれ動物愛護に関する活動分野があります。動物の保護・新しい飼い主探しに関することはもちろん、しつけ教室や防災訓練など、その活動範囲はさまざまです。ゴミ拾いをしながらお散歩のマナー向上を呼び掛ける「マナー&クリーンアップキャンペーン」や、地元の活動団体との協働による「保護犬との交流会」など、推進員自ら考案したイベントの報告もいただいています。


動物愛護に関する啓発や情報の周知を効果的に進めるためには、動物愛護推進員はなくてはならない存在です。動物愛護推進員は、自治体からさまざまな情報発信をするにあたって、とても重要な存在のようです。お互いの協力があって、ここまで埼玉県の動物愛護への関心が高まったのですね。


埼玉県の目指す“将来像”とは!

―さまざまな動物愛護に関する活動について伺いましたが、最終的に描く理想や目標はありますか?


「動物愛護」と言いますと、「行政と熱意を持った一部の方々が中心となって取り組んでいるもの」という印象を持っている方も多いと思います。動物が好きな方、苦手な方など、動物に対する受け止め方はさまざまですが、将来的にはより多くの方々に動物愛護や命の大切さについて考えを深めていただき、人と動物が共生できる調和のとれた社会に近づいていけたらと考えています。


今回、お二人の言葉を通して、埼玉県の動物愛護に対するとても熱い思いが、強く心に伝わってきました。人と動物の共生を実現するために、私たちアニコムも応援をしていきます。


【関連リンク】

埼玉県とアニコムの取り組みについては、是非以下の記事もご覧ください。


埼玉県で行われているボランティアトリミングについて
・https://mag.anicom-sompo.co.jp/20624


埼玉県とアニコム合同の動物愛護週間活動レポ
・https://mag.anicom-sompo.co.jp/15673


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