保護猫アメと里親マリの肉球記(23)~食べてはいけない身近な中毒物質~

2018.08.22

ADVERTISEMENT

皆さん、こんにちは!ネコ好きアニコム社員のマリです。


ネコちゃんは、その音や隠れることができる形状から袋が大好きとは知っていますが、アメは買い物から帰ってくると袋の中身にも興味津々。気を許すと、何でも食べてしまうのではと思うこともしばしば。


以前の誤飲の回でひもは注意って聞いてたけど…まだまだ、注意しなければならないものがいっぱいある気がする…。


どんなものを食べちゃいけないの?教えて、小寺先生!


猫にとって危険な、中毒物質!!

誤飲の回では、猫が飲み込みやすく腸に詰まりやすいものについてお話ししました。今回は、猫が中毒物質を食べたかもしれないときの対応と代表的な中毒物質についてお話しします。


猫は、肉食動物で雑食性の人や犬とは肝臓の代謝機能が異なります。そのため、人や犬で問題ないものも中毒になってしまうことがあるので注意が必要です。


万が一、中毒物質を摂取すると、内臓への障害や出血、貧血など命に関わる症状がでます。中毒性の有無の判断がつかないものを食べた場合でも、まず病院で受診をしてください。


受診の際、いつ、何をどのくらい食べたのか、わかる範囲でしっかりと伝えましょう。中毒物質を食べてしまった場合、時間がたつと体へのダメージが進む可能性もあるので、できるだけ早く対応するよう心掛けてあげてください。


代表的な中毒物質①風邪薬(人用)

まず1つめは、風邪薬や鎮痛剤に含まれる、解熱剤のアセトアミノフェンです。少量を摂取しただけでも症状が出てしまう可能性があるので、食べてしまった場合はすぐに動物病院を受診してください。


風邪薬を食べると血液中の酸素を運ぶヘモグロビンがうまく機能しなくなってしまうため、呼吸困難やチアノーゼ(舌などの粘膜の色が青白くなる)が起こります。そのほかには、顔のむくみや黄疸、低体温、嘔吐、意識レベルの低下などがみとめられ、最悪の場合は命に関わる状態となります。


病院では、飲んだ直後であれば吐かせる処置をしますが、時間がたっている場合は点滴や酸素不足に対する処置を行います。


代表的な中毒物質②保冷剤

2つめは、凍った時に固まらないタイプの保冷剤に多く使われている、不凍液の成分であるエチレングリコールです。エチレングリコールを食べると、腎毒性があるので急性の腎不全(腎臓の細胞が壊れてしまう病態)となり、体重が4.5㎏以下の猫では小さじ1杯程度で命に関わるといわれています。中身の40%がエチレングリコールの製品もあるので要注意です。


症状としては、酔っぱらったような症状、錯乱状態、嘔吐、多尿、下痢、衰弱、けいれん、意識低下などが認められます。


病院ではエチレングリコールを摂取した直後であれば、吐かせる処置をしますが、時間がたっている場合は点滴など急性腎不全に対する治療を行うことが多いです。


代表的な中毒物質③アロマオイル

3つめはアロマオイルです。精油には猫がうまく分解できない成分が多く含まれているため、少量であっても、肝臓に負担がかかる可能性があります。猫のいるご家庭はアロマオイルを使用することを控えたほうが良いでしょう。


嘔吐や黄疸、元気消失、神経症状などの症状がでます。病院での対応は基本的に点滴治療となることが多いです。


代表的な中毒物質④ネギ類

4つめは玉ねぎ、ニラ、ネギなどのネギ類です。ネギ類には、血液の成分である赤血球を壊してしまう溶血成分が含まれています。症状は、おしっこの色が赤っぽく変化する、貧血が起こって舌の色が青くなる、酸素不足のため動きが悪くなったりします。


煮汁程度で症状が出る子もいるので、少量でも摂取しないように注意してあげてください。


猫が食べてしまったと気付いた場合はすぐに獣医師に相談してください。病院では、食べた直後であれば吐かせる処置をすることがあります。


時間がたってしまった場合は、尿の色や元気、呼吸状態の様子をみて症状が出た場合は点滴や輸血などを行う場合があります。


猫は人とも犬とも違うんですね!

小寺先生、ありがとうございます!


私たちの身近にあるものでも、ネコちゃんにとっては有害なものがいろいろあるんですね。命に関わる症状もあるので怖くなってしまいました…。


中毒になるものはネコちゃんが届かない場所にしまうなど近づけないようにします。




今後も当肉球記をお楽しみいただくとともに、猫についてもっと知りたい!という方は、ぜひアニコム獣医師監修「猫との暮らし大百科~猫の栞~」もお楽しみください。
※当コラムでおなじみの小寺先生も監修しています。


【どうぶつの病気に関するデータを公開】

みんなのどうぶつ病気大百科

アニコム損保が保有する世界最大規模の診療データをもとに、品種別・年齢別・性別のかかりやすい病気や、診療費の目安、平均通院回数などの統計データを調べることができるサイトです。犬・猫だけでなく、鳥・うさぎ・フェレットのデータも公開しています(※)。

(※)鳥・うさぎ・フェレットは年齢別・性別のみ検索可能

ADVERTISEMENT
コメント0