by アニコム ハリネズミチーム 2018.07.11
こんにちは! アニコム社員のアリカです。
最近のガンバは、先日手作りしたテントの中で気持ちよさそうにしています。快適に過ごしてくれているようで安心しました。
しかしこのジメジメと暑い時期、ケージ内の環境を大きく左右する床材に何を選べば一番良いのか気になります。ネットなどで見てみるとハリネズミさんは皮膚がデリケートなこともあり、悩んでいる飼い主さんは多いみたい。
そこで7月と8月は2回にわたって「床材」をテーマにお届けしようと思います!
まず一番気になるのは安全面。前回に続き、蔵本先生、獣医師さん目線でおすすめの床材を教えて!
【参考記事】
ハリネズミのガンバとアリカのハリライフ~暑さ対策~
蔵本先生の床材アドバイス
こんにちは! アニコム臨床獣医師の蔵本です。
小動物さん用の床材はさまざまなものが販売されていますが、床材を選ぶ際に重要になるのは、以下の4点と言えるのではないでしょうか。
安全面
吸水性
掃除のしやすさ
コスト
安全面としてはアレルギーの心配はないか、万が一口にしても問題ないか、吸い込んでしまうような粉は出ないか、足や爪に引っかかりやすくないかなどがポイントとなります。
そこで今回は床材の中でも代表的な「①ペットシーツ」「②トイレ砂」「③ウッドチップ」「④コーンリター・クルミリター」を獣医師目線からご紹介します。
床材その1:ペットシーツ
ペットシーツは吸水性、消臭効果に優れていますし、排泄物の観察が行いやすいため健康管理がしやすい、とても掃除しやすいというメリットがあります。
以上の点からとてもおすすめなのですが、一方で、ペットシーツをかじったり、足で掘るなどして穴をあけ、ペットシーツの下に潜ろうとする子が多いようです。その結果、ペットシーツの小さなくずを誤飲してしまったり、爪や足を引っかけてケガをしたりすることもあるので、注意が必要です。
かじったり、爪をひっかけたりしていないかをよく観察し、そういった心配がなければ使用しても大丈夫でしょう。
また、ペットシーツの端や中心を養生テープ等で留めて補強し、穴をあけたり、下に潜ったりするのを防ぐ方法もありますが、そんな補強をものともしない強者のハリネズミさんもいますので、よく様子を見てあげてくださいね。
床材その2:トイレ砂
ペットシーツと同様に吸水性や消臭効果に優れているものとして、猫用や小動物用のトイレ砂があります。濡れると色が変わったり、排泄物が見つけやすいものが多く、掃除がしやすいことがメリットです。
トイレ砂には濡れて固まるタイプと固まらないタイプがありますが、ハリネズミさんには固まらないタイプのほうが向いています。
というのも、男の子のハリネズミさんでは「固まるタイプ」のトイレ砂を使用していたところ、性器の周りに固まったトイレ砂がくっついてしまいケガをした事例もあるからです。
また、トイレ砂の材料はいろいろなタイプがありますが、おから製や紙製、木製(※)など、ハリネズミさんが万が一口に入れても安全なものを選びましょう。
ただしどのような素材であっても、ハリネズミさんがトイレ砂を食べてしまう場合には、トイレ砂がお腹の中で水分を吸収しふくらむことで、腸閉塞を引き起こしてしまうケースもあるので、使用は控えてください。
※針葉樹を使ったものは、ハリネズミさんがアレルギーを引き起こしやすいので注意
床材その3:ウッドチップ
ウッドチップは木のいい香りがしますし、消臭効果があったり、少量を敷くだけでもとてもふかふかになるので、ハリネズミさんにとって気持ちが良いもの。しかも、とても安価なので頻繁に取り換えてもコスト面での負担になりにくいことがメリットです。
しかし吸水性はあまりなく、濡れたままで放置をしてしまうと不衛生になりやすいことや、性器や目などの粘膜にくっつきやすいことが難点です。
またウッドチップは針葉樹製のものと広葉樹製のものがありますが、前述のとおり、針葉樹製のチップはハリネズミさんがアレルギーを引き起こしやすいことがわかっているため、必ず広葉樹のウッドチップを選ぶようにしてください。
皮膚が赤くなっていたり、痒がっている、またくしゃみなどの症状が見られた場合にはアレルギーを起こしている可能性がありますので、獣医師の診断のもと、床材を変更してください。
また細かいほこりのような木くずが出る場合は、ハリネズミさんが吸い込んでしまい、呼吸器系の疾患を引き起こす可能性がありますので、チップをふるいにかけて細かい木くずは取り除いてから使用するとよいです。
床材その4:コーンリター・クルミリター
コーンリターはトウモロコシの穂軸、クルミリターはクルミの殻からできています。どちらも天然素材のため、万が一ハリネズミさんが口に入れてしまっても安心というのが大きなメリットです。
また砂浴び用の砂としても適しています。床材として使用する場合は少し深めに敷いてあげると、掘って遊んだり、砂浴びができるのでハリネズミさんのストレス解消にもなるでしょう。
注意点としては、粒が小さいものだとコーンリターやクルミリターが性器に入ってケガをしてしまうこともあるので、健康チェックを行う際にハリネズミさんを透明な容器に入れて、性器に床材が入ってしまっていないか、観察をしてください。
【関連記事】
ハリネズミのガンバとアリカのハリライフ~日々の健康チェック~
また冒頭で「口に入れてしまっても安心」とお伝えしましたが、トイレ砂と同様、飲み込んでしまうと腸閉塞を引き起こす可能性があります。
便の中に床材が混じっていたり、便秘が続いて食欲がない、飲水量が少ない、また体を縮めうずくまっている、というような様子が見られる場合には、一度獣医師に診察をしてもらってください。
床材その5:床材の合わせ技
いくつかの床材を紹介しましたが、これらを複数組み合わせて使用する方も多くいらっしゃいます。
たとえばペットシーツの上に砂やチップを敷いたり、コーンリターとウッドチップを混ぜて使用したりと、床材を組み合わせて使うことで、吸水性や消臭効果を高めつつ、掃除がしやすくなるなど、それぞれのメリット・デメリットを補い合えるでしょう。
また回し車の下など、決まった場所で排泄をする子の場合は、その部分だけ床材を変えたり、そこにトイレを設置してあげることで、日々のお掃除がとても楽になるのでおすすめです。
この床材がもっとも良いとは一概に言えません。わが子にとってベストな床材を見つけてあげられるのは、飼い主さんだけなので、それぞれのハリネズミさんの特徴と、各床材の特徴をみて、いろいろなものを試しながら選んであげましょう。
わが子にあった床材選びを
蔵本先生、ありがとうございました!
今回紹介した以外にも新聞紙や牧草、人工芝、どんぐりリターなど、いろいろな床材があります。これを参考にわが子にぴったりな床材をみつけてみてくださいね!
ちなみにガンバはというと現在、トイレシーツとウッドチップの組み合わせで落ち着いていますが、これからの季節、ひんやりして気持ちがいいと聞く「クルミリター」も気になり、チャレンジしてみる予定です。
今回は獣医師の立場から、床材それぞれの特徴についてご紹介しましたが、次回は「床材比較~実験編~」を8/11頃にお送りします。「吸水性がいいっていうけど本当?」「掃除がしやすいのはどの床材?」など、飼い主目線の疑問を解消するべく、アニコムのハリネズミ飼い主が実験を行います。
どうぞお楽しみに!!