by アニコム ハリネズミチーム 2017.10.24
ハリネズミさんの飼い主さんなら経験があるかもしれません。ハリネズミさんのダニ問題。
アニコムのペット保険の保険金請求データでも、ハリネズミさんの診療理由の半数以上が皮膚疾患。その皮膚疾患の約4割がダニ症であるという結果が出ています(詳しくはこちら)。
筆者もハリネズミさんと暮らしていますが、自分の子どもが生まれた時に「ハリネズミのダニは人に感染するのか」が気になったので、この問題について調べてみました。
ハリネズミさんの「あるある病」
ハリネズミさんと一緒に暮らす方なら、もしかするとわが子のこんな姿を目にしたことがあるかもしれません。 後ろ足で一生懸命皮膚を掻いているしぐさ。皮膚が赤くフケが出ている状態。あるいは、ある朝起きたら大量にハリが落ちていたという状況を…。
かゆみの原因は、ヒゼンダニかもしれません!?
その原因は「疥癬」という、ヒゼンダニの感染によって起きる皮膚病かもしれません。ハリネズミさんの疥癬の原因として、臨床の現場で多く確認されているものは Caparinia tripilis(和名なし)というヒゼンダニの一種です。
このダニはハリネズミさんの皮膚の中に疥癬トンネルというトンネルを掘りそこで産卵し、その卵が孵化して成虫になり、またトンネルを掘って産卵するという、約10~14日程のサイクルを繰り返して寄生しています!
その症状は? 人には感染する?
ハリネズミさんが疥癬になると、フケやカサブタ、脱毛、脱針、激しい痒み等が見られ、症状が進むと場合によっては食欲不振やストレスから命を落としてしまうこともあります。
Caparinia tripilisは人間には寄生しないようですが、臨床の現場でその他の種類のダニも確認されており、それらが人に寄生するか否かは、今のところまだわかっていません。また、人によってはCaparinia tripilisにアレルギー反応を起こしてしまうことがあるので油断はできません!
わが子を守るためには…
Caparinia tripilisは、感染している個体に直接接触することで別の個体に感染します。また、感染している個体からフケなどを介して環境中にダニが落下し、そこから間接的に感染してしまうことも。そのため、残念ながら我が家にお迎えした際に既に感染してしまっている場合もあります。お迎えした際は一度健康診断もかねて動物病院で診てもらうと安心です。
また、ご家庭でもケージ内を清潔に保つことや、高温多湿を避けてあげることで予防することが出来ます。 ハリネズミさんが衛生的に過ごすためにも1~2週間に一度、大掃除をしましょう。ケージやケージ内のものを熱湯消毒し、床材はすべて交換することがお勧めです。
ねこちゃん用の駆虫薬で予防をすることも可能ですが、用量や種類によってはわが子の健康を害し、命を落としてしまう場合もあるため、駆虫薬の使用は必ず獣医師の指示に従ってください。
素敵なハリネズミライフを!!
頭が痛いハリネズミさんのダニ問題ですが、しっかりと健康チェック、予防をすることで防げます! わが子を守ってあげられるのは、私たち飼い主だけです。ハリネズミさんの病気をよく知り、快適で楽しいハリネズミライフを送りましょう!
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【参考文献】
エキゾチックペットマニュアル、エキゾチック診療 25号 7/4 2015年12月号