by アニコム ハリネズミチーム 2019.06.14
ハリネズミさんの飼育生活の中で「難しい!」と感じることの一つとして「ハリネズミさんの偏食(食欲不振)」があります。その主な原因は、不適切な飼育環境や、フードに飽きてしまったことなどがあげられます。
今回は、ハリネズミさんの偏食対策について、グルメハリネズミを代表する「どんちゃん」の飼い主が、ご紹介します。
ハリネズミさんの偏食(食欲不振)とは
「ハリネズミさんの偏食」とは、不適切な飼育環境やそのグルメ嗜好から、ある日突然、今まで食べていたフードに飽き、まったく食べなくなる食事ストライキのことです。
自然界のハリネズミさんは、昆虫類や軟体動物、小さな爬虫類や両生類、哺乳類、鳥類、植物等、さまざまなものを食べて生活しています。
飼育下では、自然界のようにさまざまな食事を用意するのは難しいこともあり、ペットとして飼われているハリネズミさんも、フードに飽きる子、好き嫌いがある子が多いことで知られています。
しかしその徹底したストライキぶりから「単なる好き嫌い」と軽視できないハリネズミさんの偏食。「お腹が空いたら食べる」が通用しないため、体力や免疫力の低下を引き起こし、場合によっては命に関わるのでしっかりと対策することがとても重要です。
体調不良ではないことをまず確認
冒頭で食欲不振の原因について軽くふれましたが、まず大前提としてご確認いただきたいのは「体調不良」でないかどうかです。
ハリネズミさんの体調不良を見分けるチェックポイントは、以下の5つ。
①飲水量
②排泄物
③動作
④皮膚
⑤体重
これらを日常的に観察、測定することが重要です。大きな増減や変化など異常が見られる場合は、体調不良が原因の食欲不振であることが考えられるので、すぐに動物病院で診察してもらうようにしましょう。
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偏食解決策①~飼育環境の見直し~
①飼育ケージ内の温度や湿度
ケージ内の温度や湿度は、ハリネズミさんにとって快適でしょうか? ハリネズミさんの過ごしやすい温度・湿度の目安は温度24℃~30℃くらい、湿度40%以下といわれています。 温度や湿度が不適切な状態が続くと、食欲不振につながることがあります。
ちなみにわが家のどんちゃんは非常に温度の変化に敏感で、毎日の温度の変化が大きい季節の変わり目は必ず食事ストライキを起こします。
そのため、適正温度以内の変化であっても、そういった時期はヒーターや冷房等で温度の変化をなだらかにし、その負担を軽減できるように気をつけています。
②飼育ケージ外の環境
ハリネズミさんの飼育ケージは、落ち着いたお部屋にありますか?
例えば、夜遅くまで電気が点いていること、大きな音が鳴っていること等は、夜行性で臆病なハリネズミさんにとって大きなストレスとなることがあります。
理想的なケージの設置場所は、ハリネズミさんが活動し始める22時頃には電気が消え、物音がしない静かなお部屋です。そういった環境を用意することが難しい場合は、夜間だけケージに布等のカバーや段ボールを被せてあげるとハリネズミさんも安心するでしょう。
偏食解決策②~数種類のフードを用意しよう~
偏食の予防策として、普段から数種類のハリネズミ専用フードを混ぜてあげることがおすすめです。そうすることで、味に変化がおきるためフードに飽きにくくなります。
わが家のどんちゃんの場合は、好みのフードに周期があるようで、同じフードでも時期によって食べたり食べなかったり…。
そのため、常に5種類程のフード(ハリネズミフード3種、キャットフード1種、フェレットフード1種)をストックし、カリカリ状やふやかした状態、またフードを砕いたり粉末状にしたり等、食べ具合によってフードの状態も随時変えながら与えています。
偏食解決策③~トッピングを活用しよう~
それでも、フードだけではまったく食べない!という場合には、フードへのトッピングがおすすめです。
そこでハリネズミさんの嗜好性を高くする5種類のトッピングをご紹介します。
①茹でたササミを細かくして加える。茹で汁で少しフードをふやかしてあげるのもおすすめ。
②猫用のペースト状おやつや体重コントロール用の缶詰フード(肉系がおすすめ)を加える。
③小動物用粉ミルクをぬるま湯で溶いて、フードを少しふやかす。
④ミルワームと共にミルワームが脱皮した殻をふりかけて与える。
⑤茹でた鶏卵やうずらの卵の黄身を細かくして加える。
※一種類ずつ、小さじ半分~1杯程の量をフードによく混ぜてあげましょう。
※初めて口にするものは、アンティング(*)をする可能性があります。少しずつ様子を見て与えるようにしましょう。
※ふやかしたフードは傷みやすいので、残した分は早めに片付けるようにしましょう。
少しずつ食べてくれるようになったら、徐々にトッピングの量を減らし、本来のフードに戻しましょう。トッピングが多い状態が続くと、トッピングの種類によっては肥満やさらなる偏食を引き起こしてしまう場合があります。
レバーや甲殻類等をパウダー状にした小動物さん用の「ふりかけ」もあります。こちらも使いやすくおすすめです。
(*)アンティング
知らないものの臭いを初めて嗅いだ時に、それを舐めたりかじったりし、 口の中で泡状の唾液と混ぜ、舌を使って背中やわき腹の針に塗り付け る、ハリネズミ特有の行動。
好き嫌いと軽視せずに対策を!
偏食対策は毎回同じ方法で解決するとは限りません。以前食べなかったものでも、あげてみたら今回は大丈夫ということもあり、何に食いつくかは、その時のハリネズミさんの気分や体調次第。
飼い主さん泣かせの偏食問題ですが、ただの好き嫌いと軽視せず、ハリネズミさんがしっかりと栄養を取れるよう工夫して対策してあげましょう!