by 編集部 2021.11.04
11月11日は“チンアナゴの日”!
11月11日は“チンアナゴの日”。東京の「すみだ水族館」がチンアナゴの魅力を知ってもらいたいという思いから制定したもので、さまざまなイベントが全国の水族館で開催されています。 にょろにょろのような風貌のかわいらしいぬいぐるみが売られていたり、スキューバダイバーにも人気が高いチンアナゴ。今回は、チンアナゴの日にちなみ、チンアナゴの生態や豆知識をご紹介します。
チンアナゴの名前の由来は、犬にあり
(提供:海風だいばーず)
チンアナゴは熱帯から亜熱帯の海に生息しています。日本では沖縄や小笠原などの海で見られ、砂地からにょろにょろと顔を出している姿は水族館でも人気を集めています。泳いでいる姿を見ることは稀ですが、ウナギ目アナゴ科に属するウナギの仲間で、ガーデンイールとも呼ばれます。体の長さは30センチほどで、砂から出ているのは体の一部です。
犬の「狆(ちん)」に顔つきや色が似ていることから「チンアナゴ」という名前になったと聞くと、犬好きの人も、親近感がわいてくるのではないでしょうか。白地に黒の斑点、大きな目に低い鼻は、まさに狆の特徴と似ています。
英語名は「Spotted Garden eel(スポッテッドガーデンイール)で、群れている様子が庭の草木のように見えることが由来です。
チンアナゴの仲間を紹介
チンアナゴの仲間にはどのような種類がいるのでしょうか。世界には約30種類の仲間がいるといわれます。
きらびやかな ニシキアナゴ
(提供:海風だいばーず)
オレンジと白の縞模様が、「錦織り」のように見えることから名づけられました。チンアナゴより細長い顔つきをしています。水族館では、チンアナゴと同じ水槽に展示されていることが多いですが、海の中では、チンアナゴよりも深めの場所で暮らしています。
蜃気楼のように素早く逃げる ニゲミズチンアナゴ
日本で見つかり2018年に認められた新種です。チンアナゴ以上に警戒心が強く、すぐに巣穴に隠れる様子が、逃げ水現象(蜃気楼)を彷彿させることから名づけられました。
白地に黒色の縞模様がシマウマのようなゼブラアナゴ。個体数が少ないため、絶滅危惧種に指定されています。
チンアナゴの生態 3選
同じ方向を見て集団生活
砂から顔を出して、群れの全員が同じ方向を向いてゆらゆらしているのは、遊んでいるわけではありません。実は、エサとなるプランクトンを探しているのです。プランクトンは、水の流れにのってくるので、水流に向かってゆらゆらしながら、狆のような大きな目で周りを見回し、流れてきたプランクトンを食べています。
敵から逃げるときは砂地に潜る
チンアナゴが砂地でゆらゆらしているのは泳げないからではありません。実はとても警戒心が強く、怖がりな性格をしているからなのです。危険を察知したらすぐに穴の中に隠れられるよう、体の一部だけを出しているというわけです。
真っ白い砂地でゆらゆら揺れるチンアナゴの写真を綺麗に撮りたいというダイバーは多いもの。チンアナゴに逢えたことが嬉しいからといって焦りは禁物です。群れの上を泳いでしまったら全員が砂地の中に潜ってしまいます。まずは、遠くから様子を観察し、息を殺しながら少しずつほふく前進のように近づいて、そっとカメラを向け、ようやく1枚撮影できる。海の中で撮影されたチンアナゴの写真は、ダイバーの苦労の賜物かもしれません。
優秀な建築家さん
チンアナゴが生きていく上で欠かせないのは、なんといっても砂地に作られた巣穴でしょう。この巣穴を作るのは住んでいるチンアナゴ自身です。チンアナゴの尾ビレは硬いので、ドリルのように穴を掘ることができます。体長の倍以上の長さの穴を掘って尾ビレから巣穴に入り、皮膚から出る粘液で、穴が崩れないように砂を固めるといわれています。チンアナゴは、崩れない巣穴を作ることができる建築家でもあるのです。
チンアナゴが暮らし続けられる海を目指して
チンアナゴの生態は詳しくわからないことが多く、これからの研究が待たれる魚です。一方で絶滅危惧種に指定されている仲間がいることも事実です。
チンアナゴの日をきっかけに、これからもチンアナゴの仲間を見続けられるよう、私たちができることを考えてみませんか。