世界最速!チーターはどのくらい速い?速く走れる理由は?

by 佐藤華奈子 2024.04.03

ADVERTISEMENT

陸上で最速の動物、チーター。その速さは驚異的なスピードで、右に出るどうぶつはいません。では、実際どのくらいのスピードで走ることができるのでしょうか?チーターの速さの秘密とともに紹介します。

チーターってどんなどうぶつ?

チーターはライオンやトラと同じ大型のネコ科の仲間。主にアフリカのサハラ砂漠以南のサバンナに暮らしています。大型のネコ科の中では小柄な方で、体長は約100~140cm、しっぽの長さは約70~80cm、体重は40~65㎏ほどです。速く走ることに特化した体のつくりをしているため、歯も小さめでケンカは強くありません。そのためせっかく速く走って捕まえた獲物をライオンやヒョウ、ハイエナに奪われてしまうことも。この事態を避けるため、夜行性のライオンたちを避けて日中、朝や夕方の涼しい時間帯に狩りをします。警戒心が高く、捕まえた獲物は木や岩の陰に運んで周囲を警戒しながら早めに食べ終えます。獲物はインパラやガゼルなど小型のウシ科やウサギ、イボイノシシ、ダチョウなど。チーターの天敵はライオンやヒョウ、ハイエナのほか、子どもはワシに狙われることもあります。
チーターの名前は「斑点」を意味するサンスクリット語(古代インドの言葉)に由来します。ヒョウ柄とは異なり、ひとつひとつが丸い斑点模様です。お腹は白く、しっぽの先はしま模様になっています。体の斑点模様は、草の影に紛れるとカモフラージュ効果を発揮します。顔に涙のように走る黒い筋は、日光の反射を防いで視界をクリアにする効果があります。
ライオンやトラのように咆哮をあげることはなく、飼い猫のように鳴いたり喉を鳴らしたりしてコミュニケーションをとります。

チーターはどのくらい速い?

チーターの最高時速はなんと100~120kmに達するといわれています。高速道路を走行する車を超える速さになります。これは瞬間的な速度で、このスピードで走り続けることはできません。あくまで全速力の速さなので、実際に狩りをするときにここまで速く走ることはほとんどないようです。獲物を追うことができるのは長くても1分ほど、距離にするとほんの200~300mです。短時間・短距離で決着をつけなくてはならないため、こんなに速くても狩りの成功率は50%程度になります。
チーターのすごいところは、瞬間的な速度だけでなく、加速力も優れていることです。走り始めから最高時速に近い速さまでわずか3秒ほど、たった数歩で加速します。これはスーパーカーでもトップクラスの加速です。獲物に追い付くと急激に速度を落として止まることもできます。

チーターが速く走れる理由

チーターがここまで速く走れる理由を一言でいうと、速く走ることに特化した体の構造をしているから。まるで走るために生まれてきたような体のつくりをしています。
チーターは他の大型のネコ科と比較して体も足も長めです。背骨の柔軟性が高く、体をうまく曲げ伸ばしして歩幅をできる限り長くしています。足に注目すると、後足で蹴り上げたあと、地面に前足をつき、そのさらに先に後足を出して着地することで、歩幅を長くできるのです。全力疾走をしているときの歩幅はなんと約7m。走っている間、体はほとんど空中にあり、まるで空を飛んでいるような状態です。
さらに足先の爪はネコのように隠すことができず、いつも出たままになっています。この爪はスパイクの役割を果たし、地面をしっかり捉えて蹴り出すことに役立っています。また、頭も耳も小さいので風の抵抗を受けにくくなっています。
体と同じくらいの長さのしっぽは、方向転換に役立ちます。追われた草食動物は、ジグザクに走って逃れようとします。この動きに着いていくため、チーターは疾走中にしっぽを使って空中で体の向きを変えることもできるのです。
また歯が小さい分、鼻腔が広く、全速力のあとに速やかに酸素を取り込めるようになっています。大きな心臓や肺も、全身を使って高速で走ることを支えています。

チーターは絶滅危惧種

チーターはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。かつてはアフリカ大陸とアラビア半島、インド中部まで幅広く生息していました。ツタンカーメン王の墓からはチーターに関わる遺物も出土していて、古代エジプトでは神聖な動物とされていたこともわかっています。チーターの数と生息地はここ100年の間に大きく減少し、現在はアフリカ東部と南部のほかに、北アフリカの一部とイランに少数の個体群が残るのみとなっています。現在の野生の個体数は推定約6500頭で、今後も減っていくことが予想されています。
チーターの数が減ってしまった要因は気候変動や開発による生息地の減少、人間の侵入などさまざまですが、家畜を襲うことから農家に疎まれ、撃たれてしまうことも問題となっています。ナミビアでは番犬で家畜を守るプロジェクトを導入し、各農家に無償で作業犬を提供。チーターによる家畜の被害を抑えつつ、現地の人々に野生動物の保護の重要性を伝え、チーターの個体数の回復に成功しました。
生息地から遠く離れた日本でも、全国の動物園でチーターが飼育されています。わたしたちがチーターを知って、チーターのためにできることを考えることも、保護の一歩となる可能性があるでしょう。

まとめ

チーターが速く走れる理由を紹介しました。チーターの生まれ持った素質には到底叶いませんが、歩幅を大きくし、しっかりと地面を蹴り上げて空中の滞在時間を増やすことを意識すれば、わたしたちももっと速く走ることができそうです。速く走りたいときは、チーターの姿をイメージしながら試してみてくださいね。

ADVERTISEMENT
コメント0