実はかわいい?それとも怖い?アリクイの驚きのマメ知識6選

by 佐藤華奈子 2025.10.09

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地球上には、まだまだよく知られていないユニークな仲間がたくさんいます!今回ご紹介するのはアリクイ。「アリを食べて生きる」だけでも独特の存在ですが……。知れば知るほどおもしろい、アリクイの驚きのマメ知識をご紹介します。

アリクイってどんなどうぶつ?

アリクイは有毛目アリクイ亜目に分類される仲間です。体の大きさや色などは種によって異なります。いずれも鼻が長く、粘液が出る細長い舌があり、歯はありません。消化は筋肉の力と強力な消化液に頼っています。耳は小さく、しっぽは長め。指先に鋭い爪があります。群れは作らず、母子以外は単独で行動します。

アリクイがいるところ

中南米の森林や草原に生息。地上で生活するものもいれば、樹上に暮らすものもいます。

アリクイが食べるもの

昆虫食で主食はアリやシロアリ。英名もアリを食べるものを意味するanteaterです。でもアリだけを食べるわけではなく、甲虫やハチの幼虫などを食べることも。果物を食べる仲間もいます。

アリクイの種類

アリクイ亜目は3つの属に分かれています。

コアリクイ属
キタコアリクイ、ミナミコアリクイの2種がいます。色は白やグレー、黄褐色など。黒いベストを着たようなツートンカラーの子もいます。森林や草原で見られ、おもに樹上で生活。夜行性で日中は木のうろ(木にできる自然の空洞)などで眠ります。

オオアリクイ属
オオアリクイの1種のみ。最大のアリクイ。白やグレー、黒が混ざった色をしています。沼地や草原の地上で暮らし、日中に活動します。

ヒメアリクイ属
最小のアリクイ。ほかのアリクイと比較して鼻は短め。夜行性で密林の樹上で生活します。長らく1種のみとされていましたが、最近の調査でいくつかの種に分かれていることが判明しました。

アリクイの寿命

オオアリクイの場合、野生で14年ほど。飼育下では25年ほど生きることがあります。コアリクイやヒメアリクイはさらに短めです。

アリクイの驚きのマメ知識!

それでは、アリクイのあまり知られていないマメ知識をお届けします。

大きなアリクイもいる!

ヒメアリクイは体長20cmほどでリスくらいの大きさ。コアリクイは体長60cmほどです。一方で、最大のアリクイ、オオアリクイは体長約1~1.3m、しっぽの長さは約65~90cmにもなります。体重は約20~40kg。しっぽも含めた全長は2mを超えることもあり、人間の大人も超える大きさです。オオアリクイの生息地では、森の中で見かけた人がクマと間違えることもあるのだとか。

1日に食べるアリは3万匹以上!

オオアリクイは1日に約3万5000匹ものシロアリを食べるといいます。アリクイは視力が弱く、においを嗅いでアリ塚を探します。アリ塚を見つけると、まず鋭い爪で切り裂きます。鼻先を入れる場所を作るためです。そして60cm以上にもなる長い舌を入れて、中のアリを絡めとって食べます。このとき、舌を出し入れするスピードはなんと1分間に150回!でもひとつのアリ塚から食べる量はそれほど多くはありません。大切な食料資源を維持するために、アリ塚を完全に破壊してしまうことも、食べつくしてしまうこともないのです。

天敵のジャガーやピューマを撃退することも

基本的におとなしい性格で、攻撃的になることも、鳴くことも滅多にないアリクイ。そんなアリクイも、天敵が迫るとしっぽで体を支えて立ち上がり、威嚇することがあります。このとき、うなり声をあげることも。アリクイ自身は懸命にやっていることですが、コアリクイのこの威嚇する姿が「かわいい!」と話題になったこともありました。確かに立ち上がって両手を精一杯広げる姿は、ぬいぐるみが抱っこをせがんでいるようです。でも威嚇しているところに近づくと、鋭い爪で攻撃をされることに。オオアリクイはこうして獰猛なジャガーやピューマに立ち向かうこともあります。天敵も反撃を恐れているので、大人のオオアリクイを襲うことはほとんどないそうです。

お母さんは赤ちゃんを背中に乗せて移動する

アリクイは一度の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。お母さんは1頭の赤ちゃんを大切に育てます。移動するとき、背中に赤ちゃんを乗せて歩く姿はコアラの親子のよう。赤ちゃんはお母さんの背中にしっかりつかまっています。長くて生後1年ほど、自力で歩けるようになってもお母さんの背中に乗って移動します。オオアリクイはその後も母子で比較的長い時間を過ごし、生後2年ほどで母親のもとを離れます。

しっぽも便利に使う!

樹上で生活するアリクイにとって、しっぽは命綱でもあります。木の枝に長いしっぽを巻きつけて体を支えます。
地上で生活するオオアリクイは、しっぽや足のまわりに長いふさふさの毛があります。この長い毛の質感は馬のたてがみに似ているのだとか。オオアリクイの生息地である中南米は暑いところですが、夜間や雨が続いたときには冷え込むことも。そんなときは毛むくじゃらのしっぽを毛布のように体に巻いて暖をとるそうです。

近縁の仲間はナマケモノ!?

分類上、アリクイに一番近い仲間は何でしょうか。ツチブタ?アルマジロ?センザンコウ?実はナマケモノが最も近縁の仲間です。
以前は姿が似ていることから、ツチブタやセンザンコウが近縁と考えられてきました。ところが遺伝的にまったく別の系統であることがあきらかに。それぞれアリを食べるために、偶然同じような姿に進化したことがわかりました。このように別のグループの生き物が別の場所で同じ条件のもとに同じように進化することを「収斂(しゅうれん)進化」といいます。アリクイとツチブタ、センザンコウはその代表的な例です。
分類が見直された今、有毛目にはアリクイ亜目とナマケモノ亜目の2つがあります。そして有毛目の姉妹群にアルマジロが属する被甲目があります。顔はアルマジロの方が似ているように見えますが、ナマケモノの方が近いのは意外ですね。

アリクイは絶滅危惧種?

アリクイが置かれている状況は種によってさまざま。オオアリクイはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでVU(危急種)に分類される絶滅危惧種です。数が減ってしまう主な原因は生息地の喪失と交通事故といわれています。ほかのアリクイも、そもそも情報が不足しているものや、地域的に絶滅が危ぶまれているものもあります。

まとめ

大きさも生活する場所も、多様な仲間が存在するアリクイ。中南米の野生動物ですが、オオアリクイやミナミコアリクイは国内の動物園でも会うことができます。ユーモラスでかわいいアリクイたちを、ぜひ間近で観察して、新しい発見を探してみてください。

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