ふわふわ&モコモコの代表格!ヒツジってどんなどうぶつ?どんな種類がいる?

by 佐藤華奈子 2025.07.16

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ふわふわの毛に包まれたヒツジ。牧歌的で見ているだけで癒される存在ですが、その生態や特徴は意外と知らない人も多いのでは。そんなヒツジの知っておきたい特徴や種類を紹介します。

ヒツジってどんなどうぶつ?

ヒツジは世界中で飼育されているどうぶつ。羊毛はもちろん、肉でもミルクでも生活を支えてくれる存在ですが、小さな農場などで趣味として飼われていることもあります。最大の特徴は、ウールになるふわふわの毛。体はやわらかくて長く保温性のある毛に包まれています。毛は生涯伸び続けるので、年に一度、春から初夏にかけて毛刈りが行われます。暑さや湿気は苦手で、基本的に夏でも涼しい地域で飼われています。
性格はやさしく温厚で、群れの仲間と一緒にいるのが大好き。食べるときも休むときも寝るときも、何をするにも集団行動で、群れから離されると不安になって大声で鳴いてしまいます。大きなストレスを抱えてしまうため1頭で飼うことは難しく、必ず複数頭で飼育する必要があります。繊細で大きな音は苦手なので、自然豊かで静かな場所が適しています。
いつも集団でいてみんな同じ色、同じくらいの大きさのため、あまり個がないように思われますが、実は1頭1頭顔が違います。ヒツジたちは50頭の仲間の顔を2年以上覚えているという研究結果も。性格にも個性があり、中には気が強い子も、比較的独立心が高い子もいます。

ヒツジはウシ科の仲間

ヒツジは偶蹄目ウシ科ヤギ亜科に分類され、ヤギとは最も近い関係にあります。ウシ科のほかの仲間と同様に蹄(ひづめ)が2つに分かれていて、4つの胃を持ち、食べたものを口の中にはき戻してもう一度噛み砕く反芻(はんすう)を行います。ヒツジが時々座って口をモグモグしているのは、反芻をしているからです。反芻は草から栄養を得るために欠かせない行動です。

ヒツジとヤギの違いは?

 

ヒツジとヤギは種は異なりますが、両者はとてもよく似ています。それぞれに多様な品種があり、短い毛のヒツジも、長い毛のヤギもいるので見た目だけで完全に分けるのは困難です。一体、どこが違うのでしょうか。
まずはっきり分かれているのは性格です。ヒツジは温和な性格で怖がり。警戒するとすぐ逃げてしまう傾向に対し、ヤギは比較的アグレッシブで好奇心が強く、人に頭突きをすることがあります。ヒツジは単独行動が大の苦手ですが、ヤギはある程度平気。またヤギは高いところが好きですが、ヒツジは平坦な場所を好みます。
次に、食べ方に違いがあります。ヒツジが食べるのは地表に生えている草だけです。一方、ヤギは樹木の葉や芽なども好んで食べます。
また一般に、ヒツジは寒冷地で飼育され、ヤギは暑いところに多い傾向があります。国内で見られる種類は限られているので、下で紹介するヒツジの品種など、それぞれの代表的なものを覚えておくと、ある程度見分けることができるでしょう。


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ヒツジの歴史

ヒツジの起源には諸説あり、原種となる野生動物も複数挙げられていますが、およそ1万年前、西アジアから中央アジアで飼い慣らされたのがはじまりと考えられています。そこから世界中へ広がっていきましたが、日本で本格的に飼育されるようになったのは近代の明治以降のこと。江戸時代まで、ヒツジは日本では実物を見た人はほとんどいない幻のどうぶつでした。干支や中国の文献などから存在自体はよく知られていましたが、詳細な姿形がわからないので、ヒツジの絵はヤギを参考に描かれていたといわれています。
明治以降、政府の後押しもあり、羊毛や食肉の生産のためにヒツジの飼育頭数は増えていきます。ピークの1957年には全国で90万頭を超えるヒツジが飼育されていました。その後、羊毛の輸入の増加や化学繊維の普及により飼育数は激減し、1970年には2万頭ほどに。特に羊毛のための飼育は少なくなり、肉の生産がメインになりました。
平成期には1万頭前後でほぼ横ばいで推移しましたが、後半からは微増傾向となり、再び2万頭ほどに。令和5年時点では全国で2万5000頭ほどが飼育されています。

ヒツジの種類

ヒツジにはなんと1,000を超える品種があります。日本でもよく見られる代表的なものからレアなものまで、知っておきたい種類をいくつか紹介します。


サフォーク

顔と足が黒で、体は白。イギリスのサフォーク州原産。おもに食肉のために飼われ、日本にいるヒツジの大半を占める品種です。人気クレイアニメのキャラクターのモデルでもあります。


コリデール

顔も体も足も白いヒツジ。ニュージーランド原産。羊毛と食肉のために飼育されます。日本で最も多く飼育されていたこともありましたが、国内での羊毛生産の需要が減ったことから激減しました。


テクセル

全身が白で、少し平たい顔が特徴です。耳は短めで鼻と蹄の先は黒。筋肉質でがっしりした体型です。オランダ原産。羊毛も肉も優れていることから世界中で人気が高まり、国内でも飼育数が増えています。


スパニッシュ・メリノ

スペイン原産の羊毛を生産するための代表的な品種。羊毛の質が高いことからオーストラリアやフランスなどでも多く飼育され、各地で改良されました。ほかの毛用種もスパニッシュ・メリノをもとに改良されたものです。


サウスダウン

全身が白く、毛は短めですが顔にもふわふわの毛があります。足は短めで小柄なヒツジです。イギリス原産。肉質が優れていることで知られていますが、羊毛の質も高い毛肉兼用種です。

フライスランド
全身が白で顔はやや細長く、鼻先はピンクがかっています。オランダ原産。おもにミルクのために飼われています。


ジャコブ

イギリスに古くから存在するヒツジで、2~6本(おもに4本)の角を持ち、白と黒のまだら模様が特徴です。羊毛から自然な色合いの糸ができます。


ヴァレー・ブラックノーズ

スイス原産の毛肉兼用種。世界で最もかわいいヒツジといわれ、SNSで人気を博しています。顔と足は黒で、体は白。目も鼻も位置がわからないほど全身がふわふわの毛で覆われ、毛を揺らして走る姿はぬいぐるみのようです。

まとめ

ヒツジの特徴や種類を紹介しました。お気に入りの品種はありましたか? 観光牧場や動物園に会いに行ってもよし、動画や写真を眺めてもよし、羊毛に触れて編み物や羊毛フェルトを楽しんでもよし。世界中にファンが多く、奥深いヒツジの世界をぜひ堪能してくださいね。

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