敬老の日特別取材「みかん箱に捨てられていたうさぎ。」今年で16歳を迎えるみかんちゃんの物語

2020.09.16

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うさぎの平均寿命は…

アニコムの『うさぎとの暮らし大百科』によるとうさぎの平均寿命は、7~8歳。近年では10歳を超えるうさぎも多くなってきましたが、犬や猫と比べると、わたしたちと一緒に過ごせる時間は思ったよりも短いものです。
今回は、平均寿命を越え、今年で16歳を迎えたみかんちゃんの飼い主様夫婦にお話をお伺いしました。

【関連リンク】
うさぎの平均寿命は何歳?寿命の長い種類、短い種類は?ギネス記録は?|うさぎとの暮らし大百科

「ミカン箱に入って、捨てられていたのを保護したから“みかん”なんです。」

―みかんちゃんとの出会いは?
初めてみかんと出会ったのは2005年。公園の管理人の方から、「うさぎがみかん箱に入れて捨てられているから保護してほしい。」と頼まれたのがきっかけでした。

▲16年前にみかんちゃんが入っていた、愛媛みかんの箱


箱を覗いてみると、変わった模様のうさぎが寂しそうに一人で入っていたことを今でも覚えています。
元々、わたしも主人もうさぎが好きだったので出会った日に連れて帰ることに。単純なのですが、みかん箱に入っていたから“みかん”と名前を付けました。
そのとき、すでにもうある程度の大きさになっていて、獣医さんからは1~2歳くらいなのではないかと言われたので、もしかしたら17歳を超えているのかもしれません。本当の年齢は分からないんです。

うさぎのみかんちゃん

―みかんちゃんは若いとき、どんなうさぎさんでしたか?

男の子なので、元気に飛び回って走り回って、家中を冒険するような子でした。高いところが大好きで、上ったはいいけど「降りられない。」と、じーっとこっちを見てくるような。(笑)
野菜も果物も、牧草も大好きで、多少病院にかかることはあっても、若いときは本当に大きな病気やケガもなく過ごしていましたね。

うさぎのみかんちゃん

体の変化は、13歳ごろから

―体に変化が出てきたのは、いつ頃からですか?
「あれ?」と思ったのは、13歳を超えてから。
何歩か歩いてはコテン…と転ぶようになったのが、変化を感じるようになったきっかけですね。本人は今まで通り普通に走り回ろうとするのですが、足に力が入らないような様子でした。
そんな時期が続き、15歳のときに手を骨折してしまって以来、今のような寝たきりの状態になりました。

横になるうさぎ

―みかんちゃんの今の生活について教えてください。
今は、月に2回ほど針治療を受けています。針治療をすると少し、足の動きがよくなるんです。動物病院へも3日に1度連れていって、先生に体調をみてもらっています。
日常でいうと、寝たきりなので、ごはんを食べるのも、お水を飲むのも、体勢を変えるのも、わたしたちのサポートが必要。もちろんトイレも自分ではできないので、常にペットシーツを下にしておいて、おしっこをしたら取り換えてあげます。


飼い主様の手からごはんをモリモリ食べるみかんちゃん

▲取材中に、飼い主様の手からごはんをモリモリ食べるみかんちゃん


―そうすると、一日中目を離せないということですか?
そうですね。誰かしらが必ず家にいるようにして、24時間みかんを見守っています。
わたしと、主人と、わたしの母と、主人の母が日替わりで当番表を作ってみかんのお世話をしています。
ずーっと体勢が同じなのもかわいそうなので、夜中も2時間おきに起きて体の向きを変えてあげたり、クッションの位置を変えてあげます。

家族全員で、協力してみかんちゃんを見守る

―みかんちゃんのために、家族みんなが協力しているんですね。
はい。本当に毎日のことなので、正直大変なのは事実です。でも、嫌だと感じたことは一度もありません。
休日も1日中家を空けられないですし、空けられたとしても最大2時間くらいが限界。それでも、みかんに大きな変化がないかを見守るために家族全員で一時も目を離さないようにしています。

―お母様たちも、うさぎが好きなんですね。
主人の母は、動物が大好きなのですが、うちの母はそうではなくて(笑)。
でも、みかんのことは大好きになって、毎日抱っこしてくれていますね。みかんが、動物嫌いな母を変えてくれたのかもしれません。 スポイトからお水を飲むうさぎ

▲ごはんが終わると、お水をゴクゴク


―みかんちゃんのために気を付けていることはなんですか?
高齢になってからということではなく、若いときから“温度管理”にはすごく気を付けています。夏は暑くないように、冬は寒くないようにしてあげることが大事です。そんな毎日の小さな積み重ねが、みかんの長寿の秘訣かもしれません。

みかんちゃんのおかげで、家族の絆に変化が。

―みかんちゃんは、ご家族にとってどんな存在ですか?
一言でいうなら、家族みんなの癒しですね。
大変なこともあるけど、みかんが生きてくれているだけで、元気になれます。
みかんが高齢になって、家族4人で当番表を決めてから家族が顔を合わせる機会がすごく増えました。
みんな近くに住んでいるけど、“いつでも会える”からと思って普通なかなか会わないじゃないですか。でも、みかんがいるから会う頻度や会話も増えて、家族の絆も深まった気がしますね。

―もしも、みかんちゃんが…と考えることはありますか?
毎日、毎日考えます。本当に毎日。
だからこそ、最後はとにかく苦しくないように、痛くないようにできることはなんでもしてあげたいと家族全員が思っています。
「そろそろかな…」と思いながら、ここまでずっと何年も頑張って生きてくれているので。

“16年分の感謝”

―みかんちゃんへの感謝や、伝えたい想いがあれば教えてください。
うちは子どもがいないので、なにもかもがみかん中心なんです。
だからみかんにはすごく感謝しています。16年もの間、わたしたちの家族でいてくれることに「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。
思い出の写真

▲みかんちゃんとの思い出がいっぱい。


あのとき、みかんの段ボールに入ってうちにきたのも、なにかの縁かなと思っています。
あとどれくらいみかんが頑張れるかわからないですが、家族全員でこれからも支えていきたいと思っています。

改めて、考えさせられる“小さな命”と生きること

今回お話を聞かせていただいた筆者も、うさぎと7年暮らしています。取材が終わると、飼い主様が「長生きさせてあげてくだいね!」という言葉をくださりました。
取材を終えて家に帰り、おなかをすかせて猛ダッシュするわが子の姿を見て、自然と涙が溢れてきました。
腕の中にすっぽりと収まってしまうほどの小さな命。小さくて愛おしいその命を守ることができるのは、どんな瞬間も、私だけなんだと改めて感じました。

うさぎに限らず、どうぶつと暮らす人であれば、誰もが「わが子とできるだけ長い時間一緒にいたい。」と願うはずです。
でも、当たり前ですが、彼らもわたしたち同様に老いていきます。
少しずつですが、自由に動けなくなったり、食べたいものを食べられなくなったりします。そのときわたしたちにできることは、なんでしょうか?

答えは、いざその日を迎えてみないとわからないかもしれません。

ただひとついえることは、わが子がどんな姿になろうと、どんなに体が不自由になろうと、毎日愛情をたっぷり注ぎ、幸せな人生を送れるようにしてあげるべきだということです。

今回、取材に応じてくださったみかんちゃんと、みかんちゃんの飼い主様ご夫婦に心より感謝申し上げます。

【関連リンク】
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コメント6

うさきちさん

みかんちゃんとの出会いから現在まで素晴らし過ぎます‼️
一生懸命生きているみかんちゃんにも、そして交代しながらも24時間見守ってるご家族の方々にも感動と感謝です❗
2年前10歳で亡くなったウチの兎も最期まで家族で面倒見たコトをおもいだしました。
もう、ペットではなく、本当に家族なんですよね!
1日でも元気に長生きしてくれるコトを心から願ってます(*^^*)

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ひでろうさん

我が家にも12才になるネザーランドドワーフがいます
最近右の後ろ足が弱って寝たきりに近くなったのですが、一念発起自作の歩行器を試行錯誤しながら作成して最近はかなり自由に動けるようになりました。
まだまだ動けなくなる事がたまにあるので改良案を検討中です
少しでも長く一緒にいたい願いは心から理解できます
長く生活していればいるほど心の結びつきは深くなっていきます
これからもみかんちゃんと少しでも長く暮していけるといいですね

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アニコムスタッフ

やま様、くりりん様

ご指摘ありがとうございます。
修正いたしました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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くりりんさん

みかんちゃんと出会ったのが2013年となっていますが、2003年の間違いではないかな?
とても優しいご家族、みかんちゃんの毎日がずっと穏やかですように。

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