水の飲み方に要注意!? 犬の水中毒って?

by 編集部 2020.08.21

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連日、驚異的な猛暑が続いていて、全国各地で日々最高気温を更新したというニュースが聞かれます。夏の盛りに熱中症を避けるためには水分の摂取がとても大切ですが、そんな水分も摂取の仕方によっては中毒を引き起こすことがあることを知らない人も多いのではないでしょうか。
犬とっても水は必要不可欠ですが、水中毒は場合によってはけいれんなどを引き起こし命にかかわることもある恐ろしい病気です。夏を健康に乗り切るために、熱中症と共に気を付けたい水中毒について理解しておきましょう。

水の中毒って? 水を飲んではダメなの?

水はどうぶつが生きていくために必要不可欠です。犬の場合、体重1kgあたり50~60mlの水が1日で必要な量とされています。体重10kgの犬の場合で500mlのペットボトル1本分くらいの水が1日で必要になります。通常の生活を送るだけでもこれだけの水が犬の体では消費されていますので、それを補うためには当然水を飲む必要があります。そんな必要不可欠な水による中毒とはどんなものなのでしょうか。

水中毒は水の飲みすぎが原因

プールに飛び込む犬

水で中毒を起こすと聞くと、一緒に生活するペットに水を飲ませても大丈夫なのかと不安になるかもしれません。しかし、健康な動物が日常的な生活の中でこまめに水分を摂っただけでは、中毒になることはありません。日常生活では特に気にすることなく水を与えて問題ありません。

水中毒は水を短時間で大量に摂取することで起こります。犬の場合、水中毒が起こりやすいのはプールや川、湖などで遊ばせているときです。犬は水の中で遊びながら水を飲んでしまうことが多く、中毒症状を引き起こすことがあります。

水で中毒が起こるってどういうこと?

水中毒は、別な言葉で言い換えると「低ナトリウム血症」です。

どうぶつの体を構成している細胞は、様々な活動を行う際に体内のナトリウムやカリウムなど塩分を利用します。通常、ナトリウムは細胞の外に多く存在し、これとバランスをとるように細胞の中にはカリウムが多く存在しています。この塩分濃度のバランスが崩れてしまうと、細胞は正常な働きができなくなってしまいます。水を短時間に大量に飲むと、細胞の外のナトリウムが大量の水によって薄められてしまい低ナトリウム血症となります。塩分濃度のバランスが崩れることで神経や筋肉など様々な細胞の働きが妨げられます。

どんな症状がでるの?

比較的軽度の場合は、元気がなく無気力になる、ふらつきなどの運動失調、よだれを垂らす、腹部膨満、嘔吐などの症状が見られます。
重度の場合は、全身の力が抜けてしまう虚脱状態や、呼吸困難のほか、脳にまで障害が及ぶと意識の低下や昏睡、けいれん発作を引き起こし、命にかかわる場合があります。

水中毒になってしまったら

救急バッグとフレンチブルドッグ

水中毒では血液中のナトリウムが少ない状態が問題になりますので、点滴をしてナトリウムを補充する治療を行います。急速にナトリウム濃度を上げると、症状を悪化させることがあるため、時間をかけてゆっくりと行います。意識障害など、脳に障害が及んでいる場合には、脳の浮腫(むくみ)を軽減するために利尿剤やステロイドなどの薬を使用することがあります。

水中毒は急速に進行し、命を危機にさらす病気です。水で遊んでいるときや、水をたくさん飲んだ後に体調の異常が見られた場合には、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

中毒を起こさないために気を付けたいこと

犬で水中毒が起こりやすいのは、長時間の水遊びをしたときです。遊んで興奮していると、気が付かないうちに大量のお水を飲んでしまっていることがあります。特に遊びながら水を飲む癖がある犬の場合は注意が必要です。お水遊びは1回あたり10-15分程度を目安にして、長時間水の中で遊ばせないようにしましょう。

運動した後などで水分を多く与える場合は、水と一緒に塩分を与えることも水中毒の予防には有効です。最近ではナトリウムなどの塩分を含んだワンちゃん用の経口補水液や水に溶かして使うパウダーも販売されているので、水の代わりに使うと良いでしょう。500mlの水に塩を一つまみ(約0.5g)加えた物でも代用できます。ただし、人間用のスポーツドリンクは糖分を多く含んでおり、飲みすぎると糖尿病や腎臓病の原因になる可能性があるので飲ませないようにしましょう。

また、腎臓の病気や副腎皮質機能低下症(アジソン病)、重度の肝臓病、心臓病のワンちゃんはもともとナトリウム濃度が低下しやすいため、より注意が必要です。

まとめ

ゴールデンレトリバー

水中毒は塩分を含まない真水を大量に飲むことで起こる中毒です。日常的な生活では、こまめに水分を摂るようにしていれば、水中毒になることはほとんどありません。暑い時期にはプールや湖などで遊ばせたくなりますが、こまめに休憩をさせるなどして、遊びながら水を飲みすぎないように注意してあげましょう。また、水遊び後の水分補給や運動の後などで水分をたくさん飲ませる場合には、経口補水液などで塩分の補給も一緒に行うように心がけましょう。
水分はこまめに飲ませるようにして、熱中症にも気を付けて、健やかに夏を過ごせるようにしましょう!

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