迎え方は? 飼育方法は?目からウロコのメダカ学

by アニコム魚人 2018.10.05

日本人にとって、メダカは馴染み深い魚のひとつである。品種改良で驚くような姿のメダカが作出され、高額で取り引きされている。昔はどこの小川にもメダカが住んでいたが、今はお金を出して買う希少な高級魚となった。日本は今、静かなるメダカブームなのだ。


しかし古来この国に住んでいるメダカを、我々は一体どれほど知っているのだろう。日本のメダカはどうやってこの島に現れ、そしてこの先どこに向かってゆくのだろうか。


メダカはどこから来たか

メダカは海からやってきた。その証拠に、今でも彼らの体には海の記憶が残っている。淡水で暮らすメダカを徐々に塩分濃度の高い水で飼育していくと、数日で海水の塩分濃度に適応する。


分類学的に見ても、メダカはダツ目メダカ科メダカ属に属する魚である。このダツ目には他に、サンマ科やトビウオ科などが含まれている。つまり、メダカとサンマは近縁種なのである。


太古の昔、メダカの祖先は実際に海で暮らしていた。その中で川を上り、淡水での生活を選択したのがメダカなのだ。


塩分濃度の変化にも耐え、四季を通じて環境の変化が大きい日本で生き抜いてきた彼らは、本当に強い。


メダカと暮らす

生命力の強いメダカは、屋内・屋外のどちらでも飼育できる。屋外なら盛夏に日陰を作り、厳冬には蓋をしておく程度で、野生動物の襲来と雨による容器の増水にさえ気をつければプランターや発泡スチロールで飼育できる。


屋内で数匹を飼育するなら、安価な小型水槽セットがお勧めである。より快適にメダカに過ごしてもらうなら砂利やヒーター、水草も入れると良い。


強い魚ではあるが、メダカを迎えるときにはできるだけ彼らにストレスを与えないようにしたい。


メダカを迎え入れる際の具体的な注意点は、下記関連記事の、金魚を迎える際の方法を参照してほしい。


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エサは市販のものでよく、水温や日照時間の条件が揃えば繁殖も楽しめる。1匹の寿命は3~4年だが、何世代にもわたって命のバトンが渡されていく様子を見ることができる。


ちなみに産卵から孵化までの期間は水温で変わり、その日の水温を足していった合計値が250になると孵化をする(積算温度)。例えば水温が25℃なら、約10日で孵化だ。


メダカの目から見た日本

一度近くの川をのぞいて欲しい。そこにメダカは泳いでいるだろうか。そもそもメダカが暮らせる川だろうか。現在、北米原産でメダカによく似た「カダヤシ」が、日本全国でメダカの生息地を奪いながら勢力を拡大している。もしメダカらしき魚を見つけても、それはメダカではないかもしれないのだ。


さらにブラックバスやブルーギルのような外来肉食魚も、すっかりこの国に定着した。彼らに抵抗する術を、メダカは持たない。そして外来魚たちは彼らを持ち込んだはずの人間から特定外来生物に指定され、反対にメダカは絶滅危惧種になった。


日本でメダカが安心して生きられる場所は、猛烈な勢いで減少したのである。いつからこの国は、これ程にまでメダカが暮らしにくい国となってしまったのだろう。


メダカと日本人

現在日本には2種類のメダカがいて、合わせて「ニホンメダカ」と呼ばれている。メダカ属は学名に「Oryzias」という名前が入るが、これは「稲の周り」を意味する。農耕民族の日本人には、なんとも縁のある名前ではないか。


稲作に必要な水田や用水路の緩やかな流れは、メダカの最適な住まいである。もしかするとメダカは稲作を始めた頃の日本人と共に、その活動域を広げて行ったのかもしれない。


では現代の日本人は、メダカに何ができるのか。


自宅で増えたメダカを、近所の川に放流してはいけない。メダカには、生息地域ごとに固有の遺伝子がある。遺伝子の系統を無視した放流は、その地域のメダカの遺伝子を乱す。我々ができるのはメダカを知り、メダカに親しみ、メダカの生活環境を整えることだけである。


童謡にも歌われるメダカ。少子化の進む日本で、「メダカの学校」がこの先も閉校にならないことを祈るばかりである。


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