どうやって飼うの?何が必要?初心者向けウーパールーパーの飼い方ガイド

by 佐藤華奈子 2022.01.14

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80年代にテレビCMに登場し、一躍大人気になったウーパールーパー。今では水槽で飼う生き物のひとつとして定着し、そのユニークな風貌は変わらず見る人を魅了し続けています。ふとしたきっかけでウーパールーパーを知り「飼いたい」と考えている方もいるでしょう。ここでは生態の基礎知識や飼育に必要なもの、毎日のお世話など、その飼い方やお迎えの方法を解説します。

ウーパールーパーってどんな生き物?

顔も名前もとっても不思議なウーパールーパー。まずはどんな生き物なのか知っておきましょう。

顔まわりのヒラヒラはエラ

ウーパールーパーといえば、顔まわりのヒラヒラが印象的です。実はこの部分は外鰓(がいさい)と呼ばれるエラ。顔の横に3対ついています。水中でエラ呼吸をするだけでなく、肺呼吸もできます。

ずっと幼体の姿

ウーパールーパーは両生類でサンショウウオの仲間。ほかのサンショウウオとちがって成体になることはまれで、幼体のまま成熟して繁殖するという特徴があります。カエルでたとえると、足が出たオタマジャクシのまま成長が止まっているような状態です。
顔まわりのエラも、体の半分を占める長いしっぽも、水中で生活するのも、幼体の特徴です。まれに成体になって上陸することもありますが、飼育下で成体が見られることはほぼありません。よほどの条件が揃わない限り、ずっと子どもの姿のままなのです。

別名はメキシコサラマンダー

「ウーパールーパー」は日本でつけられた愛称で、別名をメキシコサラマンダー、またはメキシコサンショウウオといいます。名前の通り、野生ではメキシコの首都近郊の湖とその周辺にのみ生息しています。小さな虫や魚、甲殻類などを食べる肉食。涼しい場所に生息しているため暑さは苦手です。
野生の個体は生息地の湖の汚染や大型の魚が放流されたことなどが原因で数が激減。絶滅危惧種に指定され、国際条約で商業目的の輸出が規制されています。現在国内で販売されているのは飼育下で繁殖した個体です。

ウーパールーパーを飼う心構え

  ウーパールーパー

「一目ぼれ」で決断するのではなく、飼う前に最後まで責任をもって飼えるのか、快適な飼育環境を用意できるか確認しておきましょう。
ウーパールーパーの寿命は野生下で10〜15年ほどといわれ、飼育下でも10年以上生きることがあります。ショップで販売されているのはたいてい赤ちゃんです。飼い始めは小さくても、成長すると10〜25㎝くらいになります。赤ちゃんの頃は目もつぶらで愛らしいのですが、成長すると白目部分が目立ってサンショウウオらしい見た目に変化します。

熱帯魚や海水魚などと比較して飼いやすいといわれますが、水中で暮らす生き物は水温と水質の管理が飼育の肝。家庭で飼っていると水温や水質が変化しやすく、それによって体調を崩すことや、病気になって死んでしまうこともあります。ウーパールーパーは水を汚しやすいので、こまめな水換えが必要です。夏や冬は水温の管理のために水槽用クーラーや水槽用ヒーターなど専用の装置が必要になる場合もあります。

ウーパールーパーはなつく?

視力が悪いので飼い主の顔はほとんど見えていません。また動く物への関心はあるようですが人への関心はないようです。なついてコミュニケーションがとれることはほとんどありませんが、毎日同じ時間にエサをあげていると、食事時に寄ってきてくれるほど慣れてきます。
ウーパールーパーの皮膚は繊細なため、素手で触れることは避けた方がいいでしょう。エサやりの時間や行動の観察を楽しむことになります。あまり活発に動くことはなく、水中を浮かぶように漂ったり、水底でじっとしていたりとゆったりした姿が見られます。

ウーパールーパーは複数で飼える?

近くで動いているものを何でも口にする習性があり、複数で飼っているとかじり合ってしまうので、単独飼育が基本になります。ほかの生き物がいる水槽に入れることもできません。一緒にするとウーパールーパーがほかの魚などを食べてしまうことや、魚にエラをかじられてしまうことがあります。

ウーパールーパーを飼う準備

水族館に浮かぶウーパールーパー

ウーパールーパーを飼育するために一般的に必要なものを紹介します。できるだけ購入するショップでそこでの飼育環境やエサ、飼い方を聞いて必要なものをそろえましょう。


■水槽
同じ水槽で飼い続けるなら45cm以上のものを用意しましょう。小さいうちは30cmの水槽でも飼えますが、成長すると動きが制限されるのでより大きな水槽が必要になります。

■隠れ家
素焼の土管や鉢など、ウーパールーパーの隠れ家になるものを用意してください。

■ろ過フィルター
排泄物で水が汚れやすいので、水質を維持するためにろ過フィルターを入れます。金魚用などで水槽の大きさにあったものを選びます。

■中和剤
水は水道水が使えますが、そのままでは塩素が含まれているのでウーパールーパーには有毒です。中和剤でカルキ抜きをした水を使用します。

■バクテリア剤
水質を安定させ、水を汚れにくくするために水槽用のバクテリア剤を活用しましょう。

■ウーパールーパーのエサ
専用の人工飼料のほか、冷凍アカムシ、また生餌として小エビやメダカ、小さな金魚などを食べます。

■水温計
適温は10~20℃といわれています。水温もチェックして適温を大きく離れることがないようにしましょう。

このほか、エアポンプ、エサやり用のピンセット、掃除用のスポイト、水換え用のポンプや新しい水を用意するバケツ、水槽用小型ファン、水槽用クーラー、水槽用ヒーターなどを必要に応じて用意します。

ウーパールーパーをお迎えする準備

 

水槽は直射日光があたらない安定した台の上に設置します。そしてウーパールーパーをお迎えする前に水槽をセットして水を入れておきます。

水中で暮らす生き物の飼育で忘れてはいけないのがバクテリアの存在です。ウーパールーパーは食事も排泄も水中で行います。水槽の中でこれを繰り返すと、あっという間に水が汚れて生きられなくなってしまいます。そうならないのは、目に見えないバクテリアが水を汚す物質を分解し、きれいにしてくれるから。フィルターを使っている水槽でも、フィルターの中や水中にバクテリアがいて浄化をしています。
水道水は塩素消毒されているため、バクテリアは存在しません。そこであらかじめ水槽に中和剤を入れた水道水に、市販のバクテリアを入れて水の中で育てておきます。水を入れる際に隠れ家とフィルターもセットしておきましょう。


水を綺麗に保ったり、ウーパールーパーが滑ったりするストレスを軽減することを目的に、砂利(床材)を敷く場合は、誤飲が起こらないよう注意しましょう。 誤って飲み込んでしまうと、内臓が傷ついたり、排泄されずに詰まってしまう可能性があります。口の中や内臓を傷つけにくい角が丸まった形で、ウーパールーパーのフンよりも小さな砂利を選んでください。大事をとって砂利は敷かないというウーパールーパー飼いさんもいます。身近で飼っている人やショップの店員さんなどに相談してみるのもよいでしょう。

ウーパールーパーのお迎え

  パイプの中のウーパールーパー

ウーパールーパーはペットショップやアクアショップ、両生類の専門店で出会うことができます。購入時に飼い方や必要なものをよく確認しておきましょう。
お迎えしたウーパールーパーをすぐに水槽に入れると、急に水温や水質が変わることで弱ってしまいます。新しい環境に慣れてもらうために、必ず水あわせを行います。

【水あわせの手順】
1 ウーパールーパーが入った袋をそのまま30分~1時間ほど水槽に浮かべて水温をあわせます。

2 水温が同じになったら、袋の水ごとバケツなど別の容器へ移します。そして入っていた水の3分の1を捨てて、その分水槽の水を加えます。そのまま10分ほどおきます。

3 2を3~4回繰り返します。

4 ウーパールーパーを容器から水槽に移します。

お迎えした当日はエサを与えず、新しい環境で体調を崩していないかよく様子を見ましょう。

ウーパールーパーのお世話

 

ウーパールーパーのエサやりや水換えは様子を見ながら頻度を決めていきます。

【エサやり】
小さいうちは1日に1回を目安に。その後は3日に1回程度を目安に様子を見ながら調整します。エサはひとつずつ水槽の底へ落として、食べたのを確認してから次のエサを落とします。ウーパールーパーは与えただけ食べてしまいます。食べ過ぎすると消化不良を起こすので、お腹のふくれ具合や成長度合いなどを見て量を調節してください。

【水換え】
4分の1程度の量を1週間に1回交換しましょう。水換えの頻度が多いと、水環境を整えてくれるバクテリアが減ってしまいます。フンなどの汚れは、都度その部分だけ取り除くことで、水全体が汚れるのを防ぐことができます。すぐ水が汚れてしまうときは、水換えの頻度や一度に換える水の量を増やすなど、汚れ具合を見ながら調整しましょう。
このほか、汚れ具合にあわせて水槽の掃除やフィルターのお手入れをします。また毎日観察して水が汚れていないか、体調に異変がないかチェックしてください。

季節ごとの注意点

 

夏場の高水温には注意が必要です。暑い日でも水温が25℃を越えないようにしましょう。水温を下げるためにやってはいけないのは、水に直接氷や保冷剤を入れること。急激に水温が下がり、またすぐに上がってしまうので、ウーパールーパーに負担をかけます。エアコンで室温を下げるか、水槽用のファンやクーラーを利用して水温を下げてください。

冬は水温を一定に保つようにします。水温が下がると冬眠状態になりますが、室内で水温が激しく上下してその度に活動状態が切り替わっていると、体に負担をかけてしまいます。室温を一定にするのが理想ですが、必要な場合は水槽用ヒーターを使って保温しましょう。

まとめ

 

独特の魅力でたくさんの癒しを与えてくれるウーパールーパー。適切な大きさの水槽を置くスペースがあれば、金魚と同じような感覚で飼育することができます。それでも飼っていると、ちょっとした水温や水質の変化などで体調を崩してしまうことも。飼う前に、ウーパールーパーを診てくれる動物病院や身近で飼っている人、詳しいショップの店員さんなど、何かあった場合に相談できる人を見つけておくと安心です。お迎えしたウーパールーパーが元気に長生きできるように、水槽の環境には細心の注意をはらってあげましょう。

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コメント4

アニコムスタッフ

う様

コメントありがとうございます。

ご指摘の通り、ウーパールーパーは砂利などを誤飲して
詰まらせてしまうことがありますので、砂利の入った
画像および一部文言を変更いたしました。(2023年11月29日)

ご意見を下さり誠にありがとうございました。

どうぞよろしくお願いいたします。

アニコム

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うさん

ウーパールーパーは目の前にあるものをなんでも食べてしまうので画像にあるような石を下に敷くのは大変危険です。小さな砂利であってももエサと一緒に食べて少しづつ消化器官を詰まさせることが多いです。簡単に死んでしまいます。用意するものの中には書いてありませんがこの画像では勘違いされる方がいらっしゃると思います。

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蓮とさん

うぱるぱがよくわかりました。

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明衣さん

とても分かりやすかったです。ウーパールパーの興味を持ちました。
ありがとうございました。😆✌

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