癒されるスマイルで水族館の人気者!ユニークすぎるイルカ、シロイルカを知ろう

by 佐藤華奈子 2025.07.16

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まっ白でぷくぷくの体に、笑っているようなお顔のシロイルカ。見ているだけで癒される水族館の人気者です。よく見ると白いだけでなく、ほかのイルカと違うところが多々あることに気づくでしょう。独特のイルカ、シロイルカの生態やマメ知識を紹介します。

シロイルカってどんなどうぶつ?

シロイルカはハクジラ亜目イッカク科シロイルカ属に分類されます。ユニコーンのような長い角を持つイッカクの仲間です。別名はベルーガ。こちらは「白い」という意味のロシア語に由来しています。高い音声でよく鳴くことから「海のカナリア」とも呼ばれています。比較的飼育がしやすく、コミュニケーションの達人で人とも意思疎通ができるため世界中の水族館で人気者となっています。

シロイルカの生息地

おもに北極海にいて、グリーンランド、カナダ、ロシア、アメリカ(特にアラスカ)などで見られます。海が凍ると群れで南下します。群れの規模は数頭のこともあれば100頭を超える大規模な集団になることも。回遊することもあり、デンマークやノルウェー、スウェーデン、イギリス、オランダ、ドイツ、日本など数々の国で見られることがあります。日本で見られることは多くはありませんが、おもに北海道で目撃されています。

体の大きさと特徴

クジラの中では最も小さい部類ですが、体長は3.4~4.5mほどあります。体重は500~1,100㎏ほどで、大きいものでは1,600㎏くらいになります。
シロイルカの学名Delphinapterus leucasは「ヒレのないイルカ」という意味。その名の通り背ビレはなく、そのかわりに背中が少し隆起しています。冷たい海で生きるため、また浅い場所を泳ぎやすくするためと考えられています。皮下脂肪の厚さが10~20㎝ほどと一般的なイルカより分厚く、極寒の生息地へ適応しています。
さらにほかのイルカと違う点は、首の骨がつながって固定されていないことです。大半のイルカは首を自由に曲げることはできません。でもシロイルカは首を動かすことが得意で、うなずくように上下に振ったり、首をかしげるように左右に曲げたりできます。こうした首の動きがあることで、一層、表情豊かに見えるのでしょう。そして、口には長細いクチバシがありません。平たく丸い口は口角が上がっていていつも笑っているように見えます。胸ビレはうちわのように丸い形で、こちらもよく動かすことができます。速く泳ぐことは得意ではなく、通常はゆったりと動きます。

シロイルカが食べるもの

サケやニシンなどの魚や、イカやタコなどの軟体動物、ズワイガニなどの甲殻類、動物性プランクトンを食べます。小さな歯はありますが、食事は噛まずに丸飲みします。

シロイルカの寿命と一生

野生のシロイルカの平均寿命は35~50年といわれています。妊娠期間は生息場所によって差があり、11~14ヶ月半ほど。赤ちゃんは1頭で、体長1.5mほどで生まれてきます。2年ほどで離乳し、男の子は6~9年、女の子は4~7年ほどで繁殖ができるようになります。

もっと知りたい!シロイルカのマメ知識

かわいいシロイルカの知っておきたいマメ知識を紹介します!

頭の形を変えられる!

ハクジラ亜目の仲間は頭に「メロン」と呼ばれる特殊な器官を持っています。メロンの中は脂肪組織で、この部分を使って超音波を発することができます。そして反響して返ってきた音を受け取って周囲の状況を把握する反響定位(エコーロケーション)を行います。これによって、獲物や仲間、天敵の位置を把握することができるのです。
シロイルカは特にこのメロンが発達していて、なんと自分の意志で動かすこともできます。メロンの位置によって頭の形は変形します。通常の丸くなだらかな頭から、おでこが出ているように見えたり、後頭部が膨らんでいるように見えたりすることがあります。観察していると頭の上がぷるぷるして見えることがあり、この部分がメロンです。しかも、こうして頭の形を変えること自体が、顔の表情を変えるのと同じようにコミュニケーションの手段にもなっているということです。

鳴き声はいろいろ

海のカナリアと呼ばれるシロイルカ。一体どんな風に鳴くのでしょうか?実はクジラの仲間の中で最もレパートリーが多いといわれるほど多様な鳴き声があります。口笛のような高い声から、カタカタという音、ウシのようにうなる声、チュンチュン、キュンキュンという声。さらには人間には聞き取れない音域の音を出すこともあります。こうしてさまざまな音声でコミュニケーションをとっています。

白くなるのに5年かかる

シロイルカといえば、全身まっ白のマシュマロのようなイメージでしょう。でも生まれたときは灰色です。成長するにしたがって徐々に色が薄くなり、白に近づいていきます。全身がほとんど白になるまで5年ほどかかるそう。長ければ8年近くかかることもあるといいます。

最大の潜水時間は25分間

シロイルカの平均的な潜水時間は10~20分ほど。食事をするときは平均して20分くらい潜水しています。最大では25分間潜水していたという記録も。海の中では800~1,000mの深さまで潜る姿が観察されています。

同じ名前のチョウザメがいる

キャビアで知られるオオチョウザメも、別名「ベルーガ」と呼ばれます。同じ別名ですが、シロイルカと関連はありません。こちらもロシア語の「白い」を意味する言葉に由来してこう呼ばれています。

シロイルカは絶滅危惧種?

1996年、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでシロイルカは絶滅危惧種に分類されました。その後、2008年に準絶滅危惧種に移行。2017年にはさらに危険度が低い軽度懸念(LC)に変更されました。現在、シロイルカ自体の絶滅の危険度は低いものの、生息地によってはその場所からシロイルカが消えてしまう心配があります。アラスカの地理的・遺伝的に独立した個体群などは絶滅の危険があると考えられています。
シロイルカの生存を脅かしているのは気候変動による海水温の上昇です。海氷が溶けることにより、より多くの船が北極圏へ入りやすくなります。船の行き来が増えることで、騒音や水質汚染、油の流出事故などが起こり、周辺の野生動物へ悪影響を及ぼすことが懸念されています。

まとめ

野生では圧巻の大規模な群れで泳ぐ姿も観察されているシロイルカ。海で会うことはなかなか叶いませんが、国内の水族館で会うことができます。ここで紹介した生態やマメ知識も参考に、ぜひじっくり観察してみてください。

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