おっとりした動きとお顔がかわいい!?オオサンショウウオの特徴とマメ知識

by 佐藤華奈子 2025.03.03

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岩にそっくりな奇妙な姿でも、よく見るとかわいいお顔でおとなしい!ゆるかわいい癒し系として、密かに注目を集めているオオサンショウウオ。ご当地キャラやマスコットとなることも増えました。一方で、どんなどうぶつで野生ではどんな風に生きているのか知っている人は少ないのでは。ここでは謎が多いオオサンショウウオの特徴やマメ知識を紹介します。

オオサンショウウオってどんなどうぶつ?

オオサンショウウオは魚ではなく両生類の仲間。日本の固有種でおもに西日本の山間部に生息しています。岐阜県から大分県まで幅広く分布しているものの、実際に生息する場所は限定的です。渓流と呼ばれる流れがある川とそれにつながる大きな河川に住んでいます。世界には中国と北アメリカに別種のオオサンショウウオがいます。
カエルやイモリと同様に幼生の間はエラ呼吸で、大人になると肺呼吸になります。肺呼吸になっても時々呼吸のために水面に出る以外はほとんど水中で生活します。おもにやることは、水の底にじっと潜んで獲物を待ち伏せすること。体の模様は岩にそっくりで、獲物には中々気づかれません。何もしないで小魚やカニなどが通るのを待ち、近づくと口を開けて一気に飲み込みます。
口はとても大きく、がま口のようにガバッと開きます。口を閉じているときは、口角が上がってまるで笑っているように見えるのも魅力です。目はとてもつぶらで、鼻の穴を目と間違えそうになるほど。水の流れや音で獲物の位置を把握するため、視力はあまりよくありません。平たい身体は岩の間をすり抜けて泳ぐときに便利です。前足に4本、後足に5本の指があり、指先は丸くなっています。ぷっくりした後足はよく人間の赤ちゃんの手に例えられます。
基本的に夜行性で昼間はあまり動かず休んでいます。水族館や動物園で呼吸する姿や食事をする姿を見られることもありますが、忍耐強く待つことが必要です。

オオサンショウウオのここがすごい!マメ知識

オオサンショウウオは、ゆるかわいいだけではありません!そのすごいところをマメ知識として知っておきましょう。

世界最大級の両生類

オオサンショウウオは世界最大級の両生類として知られています。平均的な全長は60㎝前後ですが、大きいものは1mを超えます。中には1.5mを超え体重30㎏ほどになる子も。食事が摂れる限り成長し続けるそうです。

実はするどい歯がびっしり

口の中は、一見歯がないように見えますが、実は1mmほどの小さな歯がびっしりと並んでいます。噛む力はとても強く、噛まれると危険といわれています。おっとりした性格ではありますが、獲物と間違えて急に噛みつかれる可能性も。野生で見かけることがあっても見守るだけにしましょう。

3000万年前から姿が変わらない

3000万年前からほとんど姿形が変わらないため「生きた化石」と呼ばれています。新たな研究結果として、骨組織に2億年前に絶滅した両生類やは虫類にしか見られない特徴があることもわかりました。あらためて生きた化石であり、生物の進化を知るために貴重な存在であることが裏付けられました。

国の特別天然記念物

学術的に貴重な特徴を持つことから、1952年に国の特別天然記念物に指定されました。岐阜県、岡山県、大分県にはオオサンショウウオの生息地として土地そのものが天然記念物に指定されている地域もあります。

名前の由来はサンショウの香り?

オオサンショウウオは身に危険がせまったときや警戒するとき、皮膚からにおいのきつい粘液を出します。名前の由来は諸説ありますが、この粘液のにおいが山椒(サンショウ)の香りに似ているから、ともいわれています。

別名もいろいろ

オオサンショウウオは「半割」、「半裂」と書いてハンザキまたはハンザケと呼ばれることもあります。口が大きいので半分に裂けて見えるからといわれています。また「安口」と書いてアンコウやハダカスと呼ぶ地方も。ハジックイと呼ばれることもあり、地方によってさまざまな呼び方があります。
ちなみに英名はJapanese giant salamander(ジャパニーズ・ジャイアント・サラマンダー)。アメリカのオオサンショウウオの和名は「アメリカオオサンショウウオ」ですが、英名はHellbender(ヘルベンダー)といいます。こちらも日本のオオサンショウウオと同様に流れがある河川に住み、おもにザリガニを食べています。

100年以上生きるかも?

オオサンショウウオはとても長生き。飼育下で60年以上生きたという報告があり、100年以上生きられるという説もあります。ただ、長生きすぎるので確かめることが難しく、正確な平均寿命や何歳まで生きられるのかは詳しくわかっていないのが現状です。

父親のひとりが子育てをする

子育てもユニークです。産卵の時期は8~9月。産卵に先立ち、6~7月ごろにまず体格がよく強いお父さんがひとりで岩の下や川岸のくぼみに巣を作ります。そこへお母さんと数匹の別のお父さんが集まって産卵。その後は最初のお父さんだけが巣に残り、たったひとりで卵を守ります。卵が孵ると、赤ちゃんはしばらく巣で育ち、1~2月ごろに川へ旅立ちます。子どもたちが独り立ちすると、お父さんも再び川へ戻ります。

オオサンショウウオは絶滅危惧種

姿形も生態もユニークなオオサンショウウオ。残念ながらその数は減り続けていて、環境省によって絶滅危惧種に指定されました。絶滅の危機にあるおもな原因は、ダム建設や護岸工事といった生息地の開発や廃水による水質汚染、そして外来種との交配です。中国から持ち込まれた別種のオオサンショウウオが放たれたことで、日本固有のオオサンショウウオと交配が進み、交雑種が増えています。生息するオオサンショウウオの大半が交雑種となっている川も。外来種と交雑種を野生から取り除く必要がありますが、捕まえた交雑種をどうするかという問題もあり、今大きな課題となっています。

まとめ

オオサンショウウオのすごいところをマメ知識として紹介しました。生きた化石と呼ばれる大切な地球の仲間ですが、今、絶滅が危ぶまれています。あらためてオオサンショウウオやその生息地のほかの生き物のために、自然を保全しながら人と野生動物が共存する道を考えていきたいですね。

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