歴史でひも解く犬の誤飲

2017.10.25

本来食べるべきではない物を誤って飲み込んでしまうことを誤飲と呼ぶ。ボタン、ヘアゴム、ボール、石、つまようじ…。これらは、実際に犬が飲み込んでしまった物の一例である。


なぜ、誤飲事故が起きるのか? 今回は、誤飲事故が多い犬種のいくつかを紹介し、その犬種の成り立ちの歴史や習性から、誤飲防止へとアプローチしていきたい。



猟犬が祖先「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」

1600年代、イギリス貴族の愛玩犬であった小型のトイスパニエルに、日本の狆(ちん)や中国のパグを交配させ、キングチャールズ種が作出された。さらにスパニエルの特性を色濃くするために改良され「チャールズ国王に付き添う犬」という意味を持つキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが確立された。


本犬の社交性の良さはピカイチである。陽気で遊び好き。獲物を狙うかのようにジグザグに歩くのもスパニエル譲り。…獲物? そう、麗しい絹糸を垂らしたような容姿からは想像しがたいが、キャバリアは猟犬を祖先に持つトイドッグなのだ。


そんな猟犬の血を受け継いでいて、動くものに敏感な犬種であるため、誤飲もついつい多くなる。それを防ぐための一案は「部屋をとにかく片づけること」。ひらひらしたもの、羽の付いたもの、興味があって噛まれて困るものはすべて、ふた付きボックスにしまうなど工夫をする。そして、噛んでもよいおもちゃで一緒によく遊ぶことで欲求を満たし、愛情をたっぷりとかけることで誤飲から守りたい。



食いしん坊で鼻が効く「ビーグル」

1500年代、ビーグルはイギリス貴族猟のトレンドが鹿狩りからウサギ狩りへと変化していった時代に、小型の猟犬として重宝され頭数を増やした。優れた嗅覚とにおいを追う集中力で活躍し、現在でも実猟で使われる正真正銘の嗅覚ハウンドである。


特徴は丈夫で陽気。そして食いしん坊が多い犬種としても知られる。彼らは警戒や見張りといった仕事欲よりも、食べ物への欲が強い。また、本犬の持つ習性に、地面のにおいを嗅ぎ続けながら歩く、というものがある。


その習性が誤飲につながってしまうとすれば、ビーグルを誤飲から守るための一案は「散歩中のアイコンタクトを教える」ではないだろうか。


食いしん坊で鼻が効くビーグルは、人よりも何倍も速く地面に落ちている食べ物を見つける。道に落ちている食べ物は決して安全なものばかりではない。不意にパクっと食べてしまわないために、「散歩は人とアイコンタクトを取りながら歩くもの」と、幼いうちから教えることで誤飲を防ぎたい。


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くわえるのが大好き「ラブラドール・レトリーバー」

1800年代、カナダ東岸で働くウォータードッグを元に、イギリス貴族猟に合うように改良されたのがこの犬種である。沼地で撃ち落とした鳥を回収するため水場に飛び込み、獲物を傷つけないように軽く歯をあてて主人のもとへ丁寧に運んだ。


現在においても、ラブラドールは何かをくわえることが好きである。遊びの種類も、フリスビーやボール投げを好む。それは、くわえて回収するという役目を担っていた歴史から見れば、当然の習性ではないだろうか。


ラブラドールを誤飲から守るための一案は、「くわえたものを口から出す練習」をすることだ。くわえて持ち運ぶことへの欲求は満たしつつ、それを誤って飲み込むのを避けるためのトレーニングを行う。


人の役に立つことを喜びとする犬種だ。学習能力もズバ抜けて高い。くわえることと、口から出すことはセットの作業だということを遊びの中で楽しく教えていくことで、誤飲を回避したい。




0歳から1歳の子犬が、においをかぎ、味を確かめ、歯ごたえを感じる行為には、人間社会を学んでいくという大事な意味がある。しかし、同時に誤飲につながる可能性をはらんでいる。


今回紹介した犬種は、一例である。誤飲に犬種が関係しているなんてと思われた方も多いかもしれないが、犬種の歴史の成り立ちや習性を知ることで、それに基づいた対策ができるとすれば、それは犬を誤飲から守るためのひとつのキーになるはずだ。



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