2018.02.15
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2018年1月、屋外で猫に餌やりを行っていた60代の女性が「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」を発症し、亡くなったというニュースが流れました。
過去にもこの感染症の発生報告はありましたが、国内での死亡例は初です。
コリネバクテリウム・ウルセランス菌(以下:ウルセランス菌)は、猫から感染したとされており、厚生労働省は犬や猫との過度な接触はしないようにと注意を促しています。
しかし、ペットは私たちにとっては大切な家族。一緒に暮らしている以上、完全に接触を避けることなどできません。
では、具体的にどのようなことに注意していけばよいのでしょうか。
「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」って???
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ウルセランス菌は、環境中にも広く見られる細菌です。この菌によって引き起こされる「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」は、ヒトや犬・猫・牛などさまざまな動物において感染事例が確認されている人獣共通感染症です。ヒトが感染すると、主に喉の痛みや咳などの風邪に似た呼吸器症状を示します。重篤な場合には呼吸困難等を起こし、死に至ることもあります。
海外では、動物から人への感染が数十件報告されています。ウルセランス菌に感染した牛の生乳からの感染が主でしたが、最近では犬や猫から人への感染が国内外で確認されるようになっています。
国立感染症研究所によると、日本では2001年から2017年11月末までに、25人の発生を確認しています。
なお、人から人への感染は、日本では報告がなく、海外においても非常に稀のようです。
ヒトの場合の治療方法は?
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ヒトに対しての治療には、抗菌薬などが有効であるとされています。
また、国内では予防接種法で定期接種が義務付けられた3種混合(最近では4種混合)ワクチンが、ウルセランス菌の仲間に対して予防効果があります。そのため、コリネバクテリウム・ウルセランス感染症に対しても有効であると考えられています。
早い段階で治療を行えば治るため、体調に異変を感じたらすぐに医療機関へ受診をするようにしましょう。また、ペットを飼っている方は、受診時にペットを飼育していることを医師に伝えておきましょう。
もし犬猫が感染してしまったら…?
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犬や猫が感染・発症すると、ヒトと同様に咳やくしゃみ、鼻水などの風邪のような症状や、皮膚炎、皮膚や粘膜潰瘍などの症状を発症します。なかには、症状がわからないくらい軽度なものもあります。
この感染症に関わらず、犬や猫に少しでも異常が見られた際は、すぐに動物病院で診察を受けるようにしてください。
また、多頭飼育をしている方は、他の動物に移らないよう、しばらく生活空間を別にするようにしましょう。
動物との過度な接触は控えましょう
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「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」をはじめとする人獣共通感染症は、下記のような一般的な衛生管理を行えば動物からヒトへの感染を防ぐことができます。
1.動物と触れ合った後は手洗いをする
2.感染疑い(くしゃみ鼻水などの症状あり)の動物と接触する際はマスクを着用する
3.動物への口移しを控える
日々の基本的な衛生管理を
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動物に接する場合、少なからず人獣共通感染症のリスクは存在します。過剰に怖がる必要はありませんが、まずは「リスクがある」ということを認識し、日々正しい衛生管理を行っていただければと思います。