【動物と遺伝病②】犬の遺伝病と、かかりやすい犬種とは

2019.04.26

犬にはなぜ遺伝病が多いのか。その理由について、アニコム獣医師が「犬種」の歴史を通して解説した前回


では実際に、いったいどのような病気があるのでしょうか。


今回は、もしかしたらあなたも出会ってしまうかもしれない、犬に多い遺伝病と、かかりやすい犬種について、具体的に見ていきましょう。


変性性脊髄症(DM)

脊髄に異常があらわれることで、四肢の麻痺などを起こす進行性の病気です。後足をすって歩く、腰がふらつく等の麻痺症状が見られますが、痛みはありません。


病気が進行すると、後足だけでなく前足にも麻痺症状があらわれ、次第にトイレ・食事・呼吸が難しくなり、最終的には死に至ります。多くは10~12歳頃に症状が出始め、1~3年かけて進行します。


特にウェルシュ・コーギー・ペンブロークに多く見られることで知られている遺伝病です。


同じくかかりやすいとされるジャーマン・シェパードに関しては、公益社団法人日本シェパード犬登録協会が2019年4月より、犬の登録団体としては初めてDMの遺伝子検査を導入する予定です。


【かかりやすい犬種】

※五十音順・以下同

  • アイリッシュ・セター

  • アメリカン・コッカー・スパニエル

  • ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

  • オーストラリアン・シェパード

  • オールド・イングリッシュ・シープドッグ

  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

  • ゴールデン・レトリーバー

  • ジャーマン・シェパード

  • ジャック・ラッセル・テリア

  • プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)

  • パグ

  • ビーグル

  • ブルドッグ

  • フレンチ・ブルドッグ

  • ボーダー・コリー

  • ボクサー

  • ミックス

  • ミニチュア・ピンシャー

  • ラブラドール・レトリーバー

【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「変性性脊髄症」


GM1ガングリオシドーシス

ライソゾーム(※)に関連した酵素の機能異常により、さまざまな障害が起きる「ライソゾーム病」の一種。特定の分解酵素が作れないことにより、通常は分解されるべき糖脂質「ガングリオシド」などの老廃物が脳や臓器に蓄積し、麻痺や起立不能、視覚障害といった神経症状などを引き起こします。生後5〜6ヶ月で症状が出始め、多くの場合、1歳3〜5ヶ月前後で死に至ります。


(※)ライソゾーム:体内の老廃物を分解・排出する働きを持つ細胞内小器官


【かかりやすい犬種】

  • 柴犬

【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「GM1ガングリオシドーシス」


神経セロイドリポフスチン症(CL症)

GM1ガングリオシドーシスと同様、「ライソゾーム病」の一種であり、ライソゾーム内への老廃物の蓄積を特徴とする病気です。さまざまな酵素の機能異常が原因となり、どの酵素に異常があるかによって症状の重篤度が異なります。例えば、ボーダー・コリーにおいて知られる神経セロイドリポフスチン症(CLN5)は、生後1歳頃から段差を踏み外すなどの運動障害をはじめ、視覚障害、行動異常などの神経症状が見られはじめ、多くは3歳頃までに死に至ります。


【かかりやすい犬種】

  • ボーダー・コリー

【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「セロイドリポフスチン症(CL症)」


進行性網膜委縮症(PRA)

目の網膜が萎縮することで視力が徐々に低下し、最終的には失明してしまう遺伝病の総称です。品種ごとに原因となる遺伝子変異が異なります。初期には、暗い場所で見えづらそうにする「夜盲」がみられます。物につまずく、ぶつかる、動きが鈍くなるなどの様子から、視力の低下に気づくケースが多いようです。


発症時期には品種差・個体差がありますが、早い子で生後数ヶ月から視力が低下し始め、多くの場合、病状の進行はゆるやかです。


【かかりやすい犬種】

  • イングリッシュ・コッカー・スパニエル

  • イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル

  • ダックスフンド(カニンヘン、ミニチュア)

  • ゴールデン・レトリーバー

  • ジャイアント・シュナウザー

  • チワワ

  • プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)

  • ヨークシャー・テリア

  • ラブラドール・レトリーバー

【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「進行性網膜萎縮症(PRA:Progressive Retinal Atrophy)」


フォンビルブランド病(vWD)

止血に重要な役割を担うフォンビルブランド因子(vWF)の異常により、血液の凝固障害が起こる遺伝病です。外傷を負った際に過度に出血したり、鼻や歯肉などの粘膜からの出血、血尿、皮下出血といった症状が見られます。


フォンビルブランド因子の量的な低下が原因の「タイプ1」、質的な異常が原因の「タイプ2」、フォンビルブランド因子が完全に欠損した「タイプ3」に分けられます。「タイプ1」「タイプ2」はほとんど無症状ですが、「タイプ3」は重篤な症状を示し、大量出血により死に至る可能性があります。


【かかりやすい犬種】

  • ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

  • スコティッシュ・テリア

  • ドーベルマン

  • プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)

【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「フォンビルブランド病(von Willebrand,s disease)」


捕捉好中球症候群(TNS)

血液中の好中球(※)が減少し、免疫力が著しく低下する病気です。通常、骨髄で作られた好中球は血液中に流れ出しますが、TNSを発症した場合、骨髄で好中球が作られるものの、血液中に出ることができません。そのため免疫システムが正常に働かず、感染症などにかかりやすくなります。TNSの症状は、何に感染したかにより異なります。


(※)好中球:体内に入り込んだ異物(細菌など)と戦い、身体を守る役割を担う細胞


【かかりやすい犬種】

  • ボーダー・コリー


遺伝子検査で遺伝病のリスクがわかる

遺伝病は、遺伝子検査を行うことで、病気のリスクを調べられるものも、多数あります。


遺伝子検査とは、遺伝病の原因となる特定の遺伝子のDNA配列(塩基配列)を読み解くことにより、病気に関わる遺伝子の変異の有無を判断するもの(※)。


(※)遺伝子検査の結果、原因となる遺伝子に異常があったとしても、必ずしも発症するとは限りません。


この検査結果は、仔犬の病気のリスクを知ること以外にも、ブリーディングにおいて、親犬の遺伝子を調べ、リスクが低い犬同士をかけ合わせて、遺伝病の仔犬を増やさないための取り組みに活用することができます。


アニコムグループは遺伝病撲滅に取り組んでいます

アニコムグループの取り組みの一環として、グループ会社であるアニコム先進医療研究所株式会社では、どうぶつの遺伝子検査を実施しています。


病気の原因遺伝子の研究はもちろん、発症させない仕組みの開発、治療方法の開発、終生飼養の仕組み、近交度の研究など、すべてをカバーした研究を進めています。


⇒詳しくはこちら




次回は、今回ご紹介したなかでも特に致死性の高い遺伝病について、より掘り下げてご紹介していきます。


【関連リンク】
どうぶつ親子手帳「遺伝性疾患と発症が多いおもな犬種」


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