遺伝子で運命は決まるのか?

2017.11.21

親から子供に、身体的な特徴が「遺伝」することはよく知られており、この特徴を決めているのは遺伝子です。遺伝子は身体的な特徴だけでなく、病気のなりやすさなど、私たちの健康に関わる体質・性質にも関わっています。


私たちの健康に関わる因子としては、このコラムでもたびたび登場する腸内フローラをはじめとした共生生物の存在も挙げられます。


それでは、私たちの体にどんな共生生物が定着するかについても、遺伝子は関わっているのでしょうか?



運命がわかる? 遺伝子検査

遺伝子の持つ情報を解析する「遺伝子検査」は、持って生まれた病気のなりやすさや体質などがわかる検査として、ヒトとどうぶつ両分野において以前と比べて身近なものとなっています。


遺伝子は自分の力で変えることが出来ないため、遺伝子検査によって自分のリスクを知った某女優が、乳がんの予防のために乳房切除術を受けたことは一時期メディアを騒がせました。



遺伝子と共生生物の関係

私たちの体には、100兆個、重さにして1~2kgの細菌などが共生しており、それらの種類や構成バランスが病気など健康状態に関わっているという研究報告が世界中でされています。


この共生生物の種類や構成と遺伝子の関わりを知るため、一卵性と二卵性双生児、血縁のない人で腸内フローラの類似性を調べた実験があります。その結果、血縁がない人同士より双生児同士、二卵性双生児より一卵性双生児同士での方が腸内フローラが類似していました。


実験に参加した人のほとんどは別々に生活していることから、この類似性は生活環境ではなく、遺伝子が原因で生じている可能性が高いと推論されました。


引用:Human Genetics Shape the Gut Microbiom /Julia K. Goodrichら/2014



共生で運命は変えられる?

それでは、遺伝子によって私たちの体に定着する共生生物はすべて決まっているのでしょうか?


答えはNoです。


この実験では、Christensenellaceae(クリステンセネラセエ/短鎖脂肪酸を合成して、その結果体重増加を防ぐ働きを持つ)と呼ばれる細菌種がもっとも遺伝的体質に影響されることがわかりました。遺伝子は特定の共生生物の定着に影響を与えているけれどもすべてではなく、生活習慣などからの影響の方が大きいようです。


先に述べたように、遺伝子は自分の力で変えることが出来ません。ただ、共生生物は自分の力で変えられる、共生で運命は変えられるかもしれない。ヒトの医療分野では共生生物を使った治療である糞便移植なども行われ始めています。


「共生」をキーワードに健康をマネジメントするのが当たり前になる日も近いのかもしれません。

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