2019.10.30
こんにちは、アニコムのうさぎ担当の鈴木です。
大阪に、うさぎの保護団体があるという噂を聞きつけて、大阪でうさぎの適正飼育を推進している『一般社団法人リバティ』に取材に行ってきました。
保護猫や、保護犬…という言葉は聞いたことがありますが、「保護うさぎ」や「捨てうさぎ」という言葉はあまり耳に馴染みがないですよね。一体、うさぎ界でなにが起きているのか。うさぎ好きな方はもちろん、すべての方に知っていただきたい“うさぎ界の事実”をお伝えします。
扉を開けると、そこには11羽のうさぎさんが。
「こんにちは~!アニコムです!」と、中に入ると…そこには、それぞれのお家でのんびりと過ごしているうさぎたちの姿が見えました。
今回、取材に対応してくださったのは一般社団法人リバティの藤田さん。この施設を始めたきっかけや、団体の活動について聞いてきました。
―“一般社団法人リバティ”は、どんな活動をしているのですか?
うさぎの適正飼育の推進をテーマに活動をしています。例えば、譲渡会やイベントなどでパネルを出して、啓発活動をするのが主な活動ですね。それに加えて、こんな風にうさぎたちの保護…ではなく、お世話をしています。
―この活動を始めたきっかけはなんですか?
ある日、ふらっと立ち寄ったペットショップで、1羽のうさぎと出会ったんです。そのうさぎには「セール!5,000円!」という赤い値札が貼られていて、他のうさぎと比べても明らかに安い価格でした。
―それは…気になりますね。なぜその子だけ安かったのですか?
気になって、店員さんに聞いてみました。
すると、『この子は、不本意に生まれてしまったんですよ。』という答えが返ってきました。正直、衝撃を受けましたね…。とてもショックでした。
同じ命なのに、こんな風に値段がつけられていることや、その店員さんから発せられた“不本意”という言葉。すごく腹が立ってしまい、そのままそのうさぎを連れて帰りました。本当は、ペットの衝動買いはよくないのですが…。
―なるほど。そのうさぎが、きっかけとなったのですね。
うさぎの飼い方などを調べていくうちに、“捨てうさぎ”がいるということや、学校飼育の問題点などを知ることに…。うさぎと正しく暮らすということを知らない人が多いのですよね。
この問題を世の中に発信したいという想いから、とあるうさぎ関連のイベントでパネル展示などを行うことになりました。その間に、猫や犬の保護団体に所属して譲渡や保護についての勉強もしましたね。
―ここにいるうさぎたちは、どうやってここに来るのですか?
基本的には、行政からの依頼で引き取るケースが多いですが、一概には言えません。河川敷に捨てられていて保護されてきた子や、学校でのうさぎ飼育が廃止になって行き場がなくなった子もいます。
常時、10~13羽ほどのうさぎがいて、もっと引き取ってあげたい気持ちもあるのですがキャパシティもあるので…なかなか厳しいです。
―小学校や中学校で飼いきれなくなったうさぎがいるなんて…知らなかったです。
まだ、うさぎの学校飼育についてはあまり問題視されていないのが現状です。
学校で飼いきれなくなったうさぎたちが行き場をなくしてここへやってきます。ここに来てくれれば他の方に譲渡することができますが、中には適切な飼育環境で過ごすことができずに生涯を終える子がいるのも確かです。
命の大切さを教えるために、うさぎを飼育するはずなのですが…正しい飼育方法がわからず、結果的に命を粗末にしてしまっているのは悲しいですよね。
―そのほかのうさぎは、捨てうさぎが多いのでしょうか?
うーん…捨てうさぎかどうかもわからないのが本当のところです。犬や猫は、法律上も様々なルールが整いつつあります。
でも、うさぎは『捨てられる』という前提がまだないのです。だから、行政もすぐに動けなかったり、仕方なくそのまま処分されてしまううさぎもいます。警察には、うさぎ用のごはんもないですしね…。一部、そういったルール化がされている都市もあります。ただ、どこも犬猫に比べるとまだまだ対応にばらつきがあります。
―どうしたら、これからうさぎたちが幸せに暮らせるのでしょうか?
とにかく“適正飼育”を伝えていくことではないでしょうか。
うさぎは、犬や猫に比べて、なんとなく飼育するのが簡単そうと思われてしまうのですよね。でも、うさぎも犬や猫と同じように病気になったり、ケガをすることもありますし、一緒に暮らしていく中でアレルギーを発症することもあります。そういった、うさぎと暮らす中で起こりうる問題と、しっかりと向き合っていける人だけが一緒に暮らしていけるようになれば、捨てうさぎは減ると思います。
―では最後に、これから藤田さんが目指していきたい理想はなんですか?
最終的には、この施設自体がなくなればいいと思っているんです。
うさぎだけの話ではないですが、『命を捨てないで!』と叫ぶよりも『飼えないなら飼わない。』そんな風に、飼う前に一歩踏みとどまって自分の生活に当てはめて考えられるような社会になって欲しいです。そのためには、うさぎの適正飼育をしっかりと広めて、この活動をたくさんの人に知っていただくということが一番重要だと思っています。
この事実を、たくさんの人に知ってもらうことが一歩。
藤田さんのお話を聞いて、わたしも同じように強い使命感に駆られました。この事実を、活動を世の中に広く知ってもらいたい。というのも、わたしが一般社団法人リバティさんを知ったのはインスタグラムで見た1枚の写真。
目の周りが真っ赤に腫れて、毛も抜け落ちてしまったうさぎの写真が投稿されていました。
いつもかわいいうさぎの写真ばかりを見ている自分にとって、実に、この写真は衝撃的でした。いつか大阪に行くときに必ず訪れようと思い、それから数ヶ月。ようやく今日この場所を訪れることができました。
この記事を読んで、うさぎたちに対して「かわいそう」という気持ちになった方もいるかと思います。
でも、違います。この子たちは、ここでたっぷりと愛情をもらって過ごしています。そして、藤田さんの手を離れても幸せでいられるための準備期間を過ごしています。記事の冒頭で、藤田さんは「保護じゃなくて、お世話をしている。」と言っていました。その理由は、この記事を読んだ方であればわかると思います。
藤田さんのインスタグラムの投稿の中で、忘れられない文章があります。
“頑張っても、頑張ってもどうにもならないことはあると思うけど、頑張らない人の尻拭いを頑張っている人がするのは、やっぱり違うよね。”
私は、一般社団法人リバティが毎日している活動は、まさにこの言葉の裏返しなのだと思いました。「それでもやらなきゃいけない。」そんな強い意志を感じた一文でした。
いつか、すべてのうさぎたちが。うさぎだけでなく、犬も猫も…鳥もハムスターも、フェレットも。すべての命が本当に大切にされて生きていける社会になりますように。
お話を聞かせてくださった、一般社団法人リバティの藤田さん。本当にありがとうございました。この事実を少しでも多くの人に知っていただけますように。これからも、うさぎさんたちに素敵なご縁があるように祈っています。
一般社団法人リバティ
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custom printed boxesさん
Thank you
Abbyさん
ペットショップの人の不本意という言葉に腹が立ちました。私だったらその場でペットショップの人に怒鳴ってしまいそうです。微力ながらお手伝いできることがあればしたいと思います。