2018.12.27
人間が犬や猫と暮らすようになったのは、1万年以上前ともいわれています。その役割は、かつての番犬や狩猟のパートナーから、家族の一員へと変化してきました。
それに伴い、近年注目されるようになったのが「ペットロス」です。
ペットを飼う人なら誰でもいつか経験するペットとの別れ、その避けられない悲しみに対して、私達はどうすることもできないのでしょうか?
避けられない悲しみを、少しでも軽くできる術があれば、いつ訪れるかわからないお別れのために備えておきたいと思いませんか。
そこで、ペットとのお別れについて考えるシリーズ企画をはじめます。
第1回目は「そもそもペットロスとは何か」ということを、実際にペットとの別れを経験したことのあるアニコム社員に対して実施したアンケート結果も交えご紹介します。
ペットロスとは?ペットロス症候群とは?
繰り返しになりますが、そもそも「ペットロス」とは何でしょうか?
「ペットロス」だけでなく、「ペットロス症候群」という言葉も耳にしますが、「ペットロス」は病気なのでしょうか?
厳密に言うと、「ペットロス」は病気ではありません。「ペットロス」とは、ペットとの別れを原因とする、あらゆる悲観反応の総称です。きっかけは死以外にも、ペットの逸走や余命宣告などがあり、誰にでも起こりうる自然な反応です。
一方、「ペットロス症候群」とは、「ペットロス」によって、重度の抑うつなど病的な症状が表れた場合を指します。
つまり、ペットとの別れを悲しむのは自然なことですが、それが生活に支障をきたすまで深刻化した場合に、「ペットロス症候群」と呼ばれるのです。
アンケートの「ペットロスの際、実生活に影響が出たことはありますか?」という質問に、以下の回答がありました。
「中学受験の年だったが、塾を休むようになった」(犬/10歳/原因不明の突然死/12年4ヶ月)
「仕事中にトイレでこっそり泣いていた」(犬/12歳/原因不明/7年)
※()内は亡くなった動物種/享年/亡くなった原因/亡くなってからの経過年月
実生活に影響がでるケースは、少なからずあるようです。
ペットロスの症状と心の変化
エリザベス・キューブラー・ロス「死ぬ瞬間」より
ペットロスの症状には、情緒不安定、抑うつ、不眠、食欲不振などがあります。
また、死に伴う心情の変化について説明したものには諸説ありますが、今回はアメリカのエリザベス・キューブラー・ロスという精神科医が提唱したモデルをご紹介します。
彼女の著書「死ぬ瞬間」によると、人の心情は、対象の死に伴い、「1.否認」「2.怒り」「3.取引」「4.抑うつ」「5.受容」の順を辿るとされています。
※引用:(有)アルゴダンザ・ジャパン「グリーフ・サバイバー」(最終確認日:2018年12月20日)
http://www.grief-survivor.com/study/deathanddying.html
もちろん、必ずしもこの通りになるとは限りませんし、周囲の環境や状況により、各期間の長さや悲しみの形には個人差があります。
しかし、一般的な情報を知っておくだけでも、いざというときに狼狽せず、悲しみと向き合うことができるようになれるかもしれません。
アンケートでは、ペットロスの症状について以下の回答がありました。
「唐突に寂しくなって涙が出る」(犬/8歳/病気/7年6ヶ月)
「他の猫ちゃんを見て悲しくなることはないが、その子の写真を見たり顔を思い出すと、泣いたり、我慢するのに必死になるときがある」(猫/不明/行方不明/8年)
「亡くなった子が使っていたおもちゃや服を見ると涙が出てきた」(犬/7歳/病気/7年9ヶ月)
「ひとりでいるときに思い出したり、同じ犬種を見かけて思い出して、いちいち泣いてしまっていた」(犬/10歳/原因不明の突然死/12年4ヶ月)
「不眠。もっと何かできることがあったのではないかと後悔からくる落ち込み。思い出すと涙が…」(犬/14歳/病気/1年4ヶ月)
「散歩中の犬を見ると涙が出る。ふとした時に、鳴き声や生活音が聞こえなくて悲しい」(犬/12歳/原因不明/7年)
「似たような子を探してしまう」(犬/14歳/病気/1年4ヶ月)
「悲壮感。同じ犬種をみると涙が出る」(犬/16歳/老衰による誤嚥/4年)
※()内は亡くなった動物種/享年/亡くなった原因/亡くなってからの経過年月
また、「ペットロスから立ち直るまでの期間は?」という質問に対しては「1年程度」という人もいれば、「8年前だが未だに引きずっている」という人もいました。実に、「受容」までの期間は人それぞれなのです。
ペットロスを生む要因とは? ~後悔が悲しみを生む~
では、ペットロスになる要因は、どんなことが考えられるでしょうか。
アンケートでは「ペットロスを防止・軽減させるために、した方が良い(良かった)ことは?」との質問をしてみました。
「もっと多くの写真や動画を残して、たくさん見返したかった」(犬/10歳/原因不明の突然死/12年4ヶ月)
「治療や思い出づくりにやり残しがないようにする」(犬/16歳/老衰による誤嚥/4年)
「急に亡くなっても後悔しないくらいたくさん遊ぶ、お世話をする、思い出を作る」(犬/12歳/原因不明/7年)
※()内は亡くなった動物種/享年/亡くなった原因/亡くなってからの経過年月
ここで共通していえることは、「後悔の念」です。上述にも「もっと何かできることがあったのではないかと後悔からくる落ち込み」があったとの回答がありました。
この他にも、ペットロスの後悔には、「もっと早く気づいていれば」と悔やむ感情が引き金となる場合や、「もっと遊んであげれば」「最期を看取れなかった」などの想いが悲しみを深くさせてしまうこともあります。
ペットとの暮らし方はペットの数だけあるように、後悔することもまた千差万別なのです。
“その日”までを幸せに過ごそう
誤解されがちですが、ペットロスは決して悪いことではありません。どれだけ覚悟をしていても、悲しみは訪れますし、それを抑えてしまうのはかえってよくありません。
大切なのは、いつか別れがくることを受け止めて、それまでを幸せに過ごすにはどうしたら良いかを考え、後悔をひとつでも減らすことではないでしょうか。
「一緒に海を見たい」「おもちゃでたくさん遊ぶ」など、些細なことでも可能な限り具体的にイメージして行動するのと、何もしていなかった場合との違いは、おそらく大きなものとなるのではないかと思います。
いきなりすべてを考える必要はありません。まずは、今、目の前にいるペットを見つめ、この子が幸せに暮らすために何ができるかを考えることから始めてみませんか。
いつか来る別れの日に、「ごめんね」ではなく「ありがとう」でわが子を送ってあげるために…。
次回は「ペットの終活」がテーマです。“その日”の前に、飼い主に何ができるのか、何をやっておくべきかについて考えてみたいと思います。
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