by 三浦裕子 2025.07.01

フェレットとの暮らし──それは、驚きと笑い、そして癒しに満ちた、かけがえのない日々です。
私はこれまでに10頭のフェレットと一緒に暮らしてきました。セーブル、ホワイト、パンダ模様、グレーのブレイズなど、毛の色も模様もそれぞれ違っていて、どの子も個性豊かで、とにかくかわいい。
初めて出会ったときの小さな体、しなやかで好奇心いっぱいの動き、寄り添ってくる甘えん坊な表情──
フェレットは、見た目のかわいらしさだけでなく、性格にもたくさんの魅力が詰まっています。
フェレットは「ケージの中の小動物」ではない

フェレットは一見、おとなしく見えるかもしれません。でも本当は、遊ぶことが大好きなアクティブな生きもの。
「ケージの中だけで飼えばいい」と思われがちですが、それではフェレット本来の魅力を十分に引き出すことができません。フェレットと仲良くなるコツは、一緒に遊ぶ時間をたっぷり取ってあげること。
市販のおもちゃもいいですが、最近は飼い主さんたちがDIYで作る“手づくり遊び場”も注目されています。
段ボールでトンネルを作ったり、布を使って吊るしハンモックを設置したりと、工夫次第でおうちの中がフェレットのパラダイスに変わります。
そして、フェレットのおもちゃは特別なものでなくても、彼らにとっては宝物になります。
たとえば、トイレットペーパーの芯。人間にとってはただのゴミでも、フェレットにとっては格好のおもちゃ。転がして遊ぶボールにもなります。
カサカサという音を立てながら、夢中になって芯をくわえたり、中に頭を突っ込んでみたりする姿は、まるで探検家のようです。
最高のショータイム!フェレットダンス

テンションが上がったときに見せてくれる「フェレットダンス」も、フェレット飼いの特権とも言える楽しみのひとつ。
体をくねらせてピョンピョンと跳ねる姿は、ちょっとしたダンスのようで、見ているこちらも一緒に踊りたくなってしまうほど。
そんな無邪気な姿に、心がほぐれていくのを感じます。仕事で疲れた日や、気持ちが沈んでいるときでも、フェレットの踊る姿を見るだけで、元気をもらえるのです。

かと思えば、
遊び疲れたフェレットは、電池が切れたように突然ストンと寝てしまうことがあります。
本来ならハンモックに戻って眠るはずなのに、その途中で力尽きて、床の隅や飼い主のスリッパの中など「え、そんなところで?」というような場所で寝てしまうことも。
無防備に丸まって眠る姿には、こちらも思わず笑ってしまい、そして癒されます。
隠し名人、フェレットの“お宝コレクション”

フェレットと暮らしていると、よく起こる“トラブル(?)”があります。それは、“モノが消える”こと。
「財布が見当たらない」「携帯がない」──そんなときは、フェレットの仕業かもしれません。
彼らには「モノを隠す」習性があり、気に入ったものをせっせと自分の“宝物置き場”に運んでしまいます。バッグから財布を引きずり出して、棚の奥やソファの下に大切に隠していることも。
そんな日常を詠んだ、私のフェレット川柳を一つご紹介します。
『ねぇ知らない? 財布に携帯 フェレに聞く』
フェレットとの暮らしは、まるで小さな探偵ゲームのようです。ちょっと困るけれど、見つけたときにはなんだかほっこり。こんな小さな「事件」さえ、愛しい思い出になります。
鳴かないけれど、油断は禁物。健康管理の大切さ

フェレットは基本的に鳴かないので、マンションなどでも飼いやすい動物です。また、トイレのしつけも覚えてくれるので、比較的飼いやすいと感じる方も多いでしょう。
ですが、実は犬や猫に比べて、フェレットは病気になりやすい傾向があります。副腎疾患、インスリノーマ、リンパ腫など、特有の疾患が多く、早期発見・早期治療がとても大切です。
毎日の健康チェックを欠かさず、「あれ、今日はちょっと元気がないな」と思ったら、すぐに対応してあげることが、長く健康に暮らす秘訣。
とはいえ、フェレットを診られる動物病院はまだ多くないので、事前にかかりつけの病院を探しておくことも重要です。
最後に──フェレットと、ずっと一緒に暮らすために

フェレットは小さな体でたくさんの愛をくれます。日々の暮らしの中で見せてくれる表情や行動に、何度も心が温かくなりました。
でも、飼い主の都合で接するだけの存在ではありません。遊び相手がいなければ退屈してしまい、放っておかれればストレスを抱え、体調も崩しやすくなります。
だからこそ、ただ「かわいい」だけではなく、フェレットという生きものを深く理解し、彼らの気持ちに寄り添うことが、真の“フェレットに愛される飼い主”なのだと思います。
飼い主たちは、彼らに愛されるためにせっせと、今日も元気にトンネルをくぐれるように遊び場を整え、ゴロンとお腹を出してすやすや眠れるハンモックを用意し、フェレットダンスを見せてくれるのを心待ちにする──
そんな日々のひとつひとつの時間こそが、実は最高に幸せだったりします。
…なのに、こちらの思いとはうらはらに、当の本人(本フェレット?)は自由気ままでマイペース。どこかつかみどころがなくて、まるでずっと片思いをしているような気分になることもあります。
ふとした瞬間に見せてくれる無防備な寝顔や、そっと寄り添ってくる仕草に、心はあっという間に虜にされてしまう。
それが、フェレットの最大の魅力かもしれません。
最後にもう一句、フェレット川柳を。
『なぜ、いたち? 共に暮らして 心虜され』
フェレットの魔力は底なしです。