動物園の人気者!レッサーパンダのマメ知識を紹介

by 佐藤華奈子 2024.01.19

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ユニークなカラーにフワフワの毛並み、かわいらしいお顔&仕草で大人気のレッサーパンダ。そんなレッサーパンダの野生での生態やマメ知識を紹介します。

レッサーパンダってどんなどうぶつ?

野生のレッサーパンダは中国南西部、ミャンマー、ブータン、ネパール、インドの標高1500~4800mの森林や竹林に生息しています。体長は約50~60㎝、体重は約4~6㎏で大型のイエネコくらいの大きさです。しっぽは40~50㎝ほどで体と同じくらいの長さがあります。足裏に肉球はなく毛で覆われています。鋭い爪を持ち木登りが得意です。前足には6本目の指と呼ばれる突起(種子骨)があり、指とこの部分で竹の枝を器用に掴んで引き寄せて葉を食べます。
分類は食肉目(ネコ目)レッサーパンダ科でレッサーパンダだけでひとつの独立した科になります。同じ「パンダ」と呼ばれるジャイアントパンダよりも、アライグマ科やイタチ科の仲間に近いと考えられています。中国南西部やミャンマー北部に生息する「シセンレッサーパンダ」とブータン、ネパール、インド北東部に生息する「ネパールレッサーパンダ」の2種があります。日本の動物園で見られるのはほとんどシセンレッサーパンダです。
食肉目に分類される肉食動物ですが、主な食事は竹の葉。竹の葉は低栄養ですが、それ故にほかの動物と争うことなく食べられるため、肉食だった祖先が食べ始めてやがて主食になったと考えられています。竹の葉のほかに、草や果実、卵、昆虫、鳥、小型の哺乳類も食べることがあります。飼育下では竹のほかにリンゴやバナナ、みかん、にんじん、さつまいも、卵などが与えられます。
繁殖期以外は単独で行動し、夜明けと夕方に活発に活動します。

レッサーパンダを見るのが楽しくなるマメ知識

レッサーパンダのマメ知識を紹介します。動物園で観察するときにも参考にしてみてください。

マメ知識①最初は「パンダ」=レッサーパンダだった

レッサーパンダはジャイアントパンダよりも先に発見され、かつてはこちらが「パンダ」と呼ばれていました。パンダというのはネパール語で「竹を食べる人」という意味です。後にジャイアントパンダが発見され、今ではこちらの方が一般に「パンダ」と呼ばれています。レッサーパンダのレッサー(lesser)は「より小さな方」という意味で、区別するためにこのように呼ばれるようになりました。英名はレッドパンダ(red panda)で、英語圏では主にこちらの名前で呼ばれています。このほか、ファイアフォックス、レッドキャットベア、レッドベアキャットなどさまざまな呼び方があります。

マメ知識②学名は「輝く猫」という意味

学名のAilurus fulgensは、ラテン語で「光る猫」「炎色の猫」という意味。体の赤褐色の毛並みから来ています。確かにレッサーパンダに日の光が当たると赤く輝いて見えます。夕日があたる時など、太陽を背にして見られる時間を意識して見に行くと、その姿が確認できます。体の赤い色は生息地の赤褐色の苔の中で保護色になります。

マメ知識③ほとんどの時間を木の上で過ごす

野生では1日の大半を樹上で過ごします。食べるのも眠るのも木の上が基本。お腹の色が黒いのは、木の下から見上げたときに暗い葉の色に隠れて保護色になるためです。この色のおかげでユキヒョウやジャッカルなどの補食者から隠れることができます。
長いしっぽは木の上を移動するときにバランスをとるのに役立ちます。眠るときはしっぽを体に巻きつけます。

マメ知識④お尻と足の裏に臭腺がある

レッサーパンダは肛門付近と足裏に臭腺があり、ここから分泌した液をこすりつけてマーキングをします。お尻や後足をこすりつけているのはかゆいからではなく、マーキングのためです。足裏からの分泌物の臭いは人間には感知できず、無臭に感じます。一方、肛門付近からの分泌物はきつい臭いです。尿もマーキングに活用します。

マメ知識⑤実は狂暴?性格は個体差あり

姿はとてもかわいいレッサーパンダですが、性格は気が強くどう猛です。触れようとすると激しく怒るのでふれあいは難しく、人にも慣れる程度であまり懐かないといわれています。ただ性格は個体差が大きく、おっとりとやさしい男の子もいれば、わがままで怒りっぽい女の子も。各動物園でそれぞれの性格が紹介されていることもあるのでチェックしてみるといいですね。

マメ知識⑥後ろ足で立つのが得意

レッサーパンダといえば、後足で立ち上がる姿で一躍有名になった子もいます。実はレッサーパンダは体の構造上、後足で立ち上がりやすくなっていて、どの子も立ち上がることができます。好奇心から立ち上がって見まわすことや、立ち上がったまま高いところにある笹の葉を食べることもあります。立ち上がって前足をあげるのは、かわいい姿ですが威嚇のポーズです。

マメ知識⑦鳴き声はさまざま

レッサーパンダは基本的に静かで、その声を耳にすることはほとんどありません。とはいえ、まったく鳴かないわけではありません。「ピーピー」、「キュルルル」など小鳥のような声で鳴くこともあれば、「グワッグワッ」とアヒルのような声で大きく鳴くことも。繁殖期にアピールするときや怒っているときなど、状況によって使い分けています。

マメ知識⑧夏と冬に換毛する

冬の寒さが厳しい地域に生息しているので、冬毛はたっぷりのボリュームがあります。夏を迎える前に冬毛が抜け落ち、薄い夏毛に換毛します。ふわふわの毛並みも、換毛中はボサボサに。動物園で毛並みが乱れている子がいたら、換毛中かもしれません。

レッサーパンダは絶滅危惧種

動物園で人気のレッサーパンダは野生では窮地にあります。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧種(EN)に分類され、ワシントン条約で商業目的での国際取引が禁止されています。レッサーパンダの数が減っている原因は、生息地となる豊かな森林・竹林の減少や毛皮のための密猟などです。かわいい姿に注目するだけでなく、野生のレッサーパンダの現状を知り、一人ひとりにできることを考えながら見守っていきたいですね。

まとめ

見ているだけで癒されるレッサーパンダ。ただかわいいだけでなく、ほかの野生動物と同じく独自の生態があります。その生態やすごいところを知れば、見ることがもっと楽しくなるでしょう。レッサーパンダを好きになったら、その特徴や野生のレッサーパンダにもぜひ興味を向けてみてください。

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