ジャイアントパンダはなぜ中国へ返還されるの?希少動物パンダの繁殖の秘密

by 編集部 2025.06.26

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2025年6月28(土)に中国へ返還される4頭のパンダ

アドベンチャーワールド(和歌山県)で暮らす、良浜(らうひん・24歳・雌)、結浜(ゆいひん・8歳・雌)、彩浜(さいひん・6歳・雌)、楓浜(ふうひん・4歳・雌)が2025年6月28日(土)に、中国四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地に帰国することが決まりました。

パンダが中国に返還されるのはなぜ?

では、なぜ返還されてしまうのでしょうか。これまでも、日本から中国へ返還されたパンダがいるので、ご存じの方も多いと思いますが、改めてご説明しましょう。

パンダを返還するのは「中国野生動物保護協会」とのお約束

パンダは森林伐採や密猟などの影響で、絶滅の危機におかれていて、IUCN(国際自然保護連合)が作成している「レッドリスト」では、VU(危急種)となっています。ただ、少し喜ばしいことに、さまざまな保護活動が功を奏し、野生の個体数は増加しているのです。
その数は、中国政府の調査によると、2003年に約1,600頭でしたが、2015年には約1,800頭となっています。これにより、それまでEN(絶滅危惧種)だったところを、2016年から現在のVU(危急種)に引き上げられました。さらに2021年には1,864頭にまで増加しています。

とはいえ、「絶滅のおそれのある野生生物」ということに変わりはありません。ワシントン条約では、商業目的での取引が禁止されています。そのため、日本にやってくるパンダは、中国野生動物保護協会との間で締結された「ジャイアントパンダ保護研究実施の協力協定」に基づいて貸与されています。この協定でパンダの所有権は中国にあると定められているので、協定で約束をした期間が過ぎたら、中国へ返さなければならないのです。

日本で生まれたパンダも返還しなければならない

「え?日本で生まれたのに所有権は中国にあるの?」と思われるかもしれませんが、パンダは、前出の協定によって繁殖研究の目的で日本にやってきているので、日本で誕生したパンダの所有権も中国側にあるのです。

中国に返還されたパンダはどんなところで暮らすの?

中国には、パンダの保護・繁殖・研究を行う施設が複数あります。その中でも特に有名な2つの施設を紹介します。

成都ジャイアントパンダ繁育研究基地

世界的に有名なジャイアントパンダの保護と繁殖を目的とした研究施設です。アドベンチャーワールドで長年生活していた永明(えいめい)・良浜(らうひん)ファミリーの多くは、成都基地に移送されて繁殖研究の一環を担っています。

中国ジャイアントパンダ保護研究センター

中国政府とWWF(世界自然保護基金)の協力のもとで1980年に設立され、保護、研究、国際交流などを統括している重要な施設です。上野動物園で誕生した「シャンシャン」は、2023年に中国へ返還され、この保護研究センターの碧峰峡基地で生活しています。
パンダの飼育についてはベテラン中のベテランの国・中国。日本から渡ったパンダも、きっと多くの人に愛され、大切に育てられ、幸せな日々を送ることでしょう。いつまでも健やかに、元気でいてくれることを祈ります。

パンダってどんな動物?

パンダが返還される理由をおわかりいただけたでしょうか。次に「パンダ」という動物についての基礎知識をご紹介しましょう。

クマ科で肉食動物なのに「竹」が主食のパンダ

正式名称は「ジャイアントパンダ」で、「食肉目クマ科」に属しています。クマ科ではありますが、他のクマ科と違い、冬眠をしません。主食はご存じのとおり「竹」です。もともとは肉食でしたが、進化の過程で竹を主食とするようになったのです。氷河期が到来したとき、竹以外に食べるものがなく、生き延びるために竹を食べるようになった、という説もありますが、古代、人口が増えるにつれて生息地を高緯度地域に追いやられたからという説も。新しい地でほかの肉食動物と争わなくてもよいように、竹を食べるようになったというのです。

いずれにせよ、現代に生きるパンダは竹を主食としています。しかし、実際は肉食性の強い雑食動物です。なので、草食動物に比べてパンダの腸は短く、繊維質の多い食べ物の消化効率がとても低いのです。1日に体重の40%にもおよぶ12~38kgの竹を食べるといわれていますが、摂取した量のおよそ17%しか吸収されません。ときどきタケノコも食べるとはいうものの、それで十分なのでしょうか。

この疑問については、これまで研究が重ねられています。
パンダは、前述のように腸の作りは肉食動物です。また、草を分解するために必要な酵素に関連する遺伝子を持っていないことがわかっています。そんななか、2011年、中国科学院動物研究所が研究結果を発表しました。パンダの消化管内に、草食動物の腸内にあるものに似た細菌が存在することがわかったというのです。その細菌叢のなかの13種類はセルロースを分解する細菌の仲間で、7種はパンダ特有の細菌だったといいます。

とはいうものの、まだ確実なことはわかっていません。パンダの腸内細菌は、季節によって変化しているという研究結果も発表されています。それは、竹の成長に関連しているようで、春先の新芽が食べられる時季と冬とでは、細菌叢が異なることがわかったそうです。

竹を主食にしているパンダが、どのように十分な栄養を摂ることができているのか、それを解くカギを腸内細菌に求める研究は、まだまだ続いています。

また、パンダを見ていてわかるように、とにかく動きがゆったりしていますよね。激しい動きはしません。つまり、パンダは無駄なエネルギーは使わないのです。食べているとき以外は、たいてい気持ちよさそうに寝ています。ほっこりさせてくれる、あのゆったりした動きは、生きるための本能だったのです。

新しい命を育む「繁殖」と「子育て」

赤ちゃんパンダの誕生は、多くの人を幸せな気持ちにしてくれます。そんな新しい命を育むために必要なのが「繁殖」です。実は、パンダの繁殖はとても難しいと言われています。

パンダはカップリングに繊細

なぜ難しいのでしょうか。パンダの発情期は1年に1回、3~5月の間で、この期間に雌が妊娠する可能性があるのは、わずか1~3日です。この短い期間に、雄と雌がすんなりと交尾をしてくれればよいのですが、一番の難関は「相性」なのです。パンダはカップリングにとても繊細で、雄が雌に嫌われたら、二度と交尾ができないと言われています。

とはいうものの、上野動物園にいたリーリーとシンシンは、2017年2月のお見合い時には、じゃれあいながらも、最後は殴り合いのケンカになっていたとか。にもかかわらず、シャンシャンが誕生したのですから、「ケンカするほど仲が良い」夫婦もいるのかもしれませんね。

小さい小さいパンダの赤ちゃん

赤ちゃんパンダは、体長約15~17cm、体重約100~150gで生まれてきます。大人のパンダと比べると、たった「1000分の1」の大きさです。カンガルーやコアラなどの有袋類の赤ちゃんも小さいですが、パンダも他の哺乳類に比べると、親との大きさの差がとてつもなく大きいと言えます。

そのため、生まれてすぐに母親が抱っこしないと、体温が下がって死んでしまうこともあるそうです。また、あまりに小さすぎて、母親が踏みつぶしてしまうこともあるとか。なので、動物園の飼育員の方たちは、雄と雌が交尾できる環境づくりはもちろん、出産してからも並々ならぬサポート体制で、パンダ親子を見守っているのです。

ところで、パンダが1回で出産するのは、たいてい1頭ですが、双子の場合もあります。双子 を産んだ場合、お母さんパンダは、どちらか強いほうの赤ちゃんを育て、もう1頭は育児放棄してしまうそうです。そのため、双子が産まれたときは、お母さんパンダに気づかれないように、飼育員が定期的に赤ちゃんをすり替える「入れ替え保育」をするのだそうです。

日本で一番、自然繁殖に成功している動物園は?

さて、そんな難しい繁殖を、数多く成功させている動物園があります。和歌山県の「アドベンチャーワールド」です。

鍵を握っているのはジェントルマンなグレートファーザー

アドベンチャーワールドの世界最多を誇る繁殖率の高さに最も貢献していたのは、「グレートファーザー」と呼ぶにふさわしい雄の「永明」の存在でしょう。永明は1992年9月14日に中国の北京動物園で生まれました。1994年に雌の蓉浜(ようひん)と一緒にアドベンチャーワールドに来園。蓉浜との間には子宝に恵まれませんでしたが、2000年に来園した梅梅(めいめい)との間に、6頭の子どもを授かりました。3頭目の奥さんの奥さん・良浜(らうひん)との間には、10頭の子どもを授かっています。「飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のジャイアントパンダ」としての記録を持ち、2023年2月に中国の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地へ戻り、2025年1月に32年の生涯を終えました。

永明が自然繁殖に数多く成功したのは、ひとえにその「優しい性格」にあるのではないかと言われています。パンダの発情期は前述したとおり短いので、その間にタイミングよく交尾しなくてはなりません。交尾に際しては、雌に対して攻撃的になってしまう雄もいるといいますが、永明は常に優しく接し、雌が「その気になる」まで、辛抱強くじっと待っているのだそうです。おそらく、パンダ女子からは「心優しきイケメン」と噂されているに違いありません。

ブリーディングローン制度で繁殖研究を開始したアドベンチャーワールド

同園は1994年に「中国成都ジャイアントパンダ繁育基地」の日本支部となり、「ブリーディングローン制度」を利用して、ジャイアントパンダの自然繁殖のための共同研究をスタートしました。「ブリーディングローン」とは、希少な動物を絶やさないよう、動物園や水族館同士で動物を貸したり借りたりする制度です。今回、この契約期間の満了に伴い、4頭も返還されることになりました。

パンダが「希少」でなくなる日が来ることを願って

冒頭でお話したように、ここ数年で野生でのパンダの個体数は増えています。しかし、まだまだパンダは「希少動物」です。動物園などで会う機会があったら、パンダを取り巻く環境についても、思いをはせてみましょう。


※記事の内容と掲載画像は無関係です。

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コメント5

パンダ命のsyo🐼さん

2022末に都城市からバス電車汽車フェリーに乗継、遂に5泊3日でパンダ見物に行き
一日中見ても見ても可愛いくて夢の様。僕の抱っこ枕の縫いぐるみよりも大きいのに
優しくおとなしく賢そうで遂に逢え嬉しく、本当に親子パンダ色々一杯居て感謝感激
前行った上野や姫路と違い自然の空間に馴染んだ中で家族仲間で暮らせ恵まれ一安心
ズット元気でソコに居てね、お世話係の人もみんなで優しく楽しく頑張って下さい♪
早く赤ちゃんも見たいなぁ、あとガラスが無ければパンダ達も私達もいいけどな~🥰
白浜は他にも人も穏和+見所一杯★最々宣伝アレ/転生後🐼か🐘になりたい息子の代筆、

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みみあきさん

学校のレポートでパンダの事について書こうと思って調べていたら辿り着きました!!!
パンダが好きですが、いろいろ知っているようで知らなかった事だらけでした!
分かりやすくて面白く読むことができました!ありがとうございます!!

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ゆうさん

テレビで、パンダ返還のニュースを見て、理由を知りたくてこちらの記事にたどりつきました。こんなに丁寧な記事を載せてくださり、ありがとうございます。今までテレビでしかパンダを見た事がありませんでしたが、ぜひ返還前に永明に会いに行きたくなりました。

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きなこぱんさん

パンダについてよく知ることができました。

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