『猫が教えてくれたこと』 ジェイダ・トルン監督 独占インタビュー

2017.11.11

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10/19(金)、アニコム損保では、映画『猫が教えてくれたこと』を製作したジェイダ・トルン監督の独占インタビューを敢行しました! 映画に込められたジェイダ監督の思い、猫への熱い気持ちが伝わってきます。


これを読めば、映画を100倍楽しめるはず! ぜひご一読あれ!



ジェイダ・トルン監督
イスタンブール出身。本作品は初の長編ドキュメンタリー。
詳しいプロフィールはコチラ


ジェームス・ライト
今回のインタビュアー。アニコム損保のデザイナー



イスタンブールには独特の「猫文化」がある

Q:猫の映画を作ったきっかけを教えてください。


私はイスタンブールで生まれ育ち、11歳まで、毎日のほとんどの時間を親友の野良猫と一緒に過ごしていました。


私たちが子どもの頃はスマホなどなくて、テレビすらないも同然だったので、外に出て遊ぶことがほとんどでした。イスタンブールには猫がたくさんいるので、猫と遊ぶことが、まるでサッカーをするのと同じような感覚で、いつのまにか「趣味」になっていったのです。でも、イスタンブールの猫とのふれあいはただの趣味では終わらず、私たちは親友になりました。


ですから、大人になっても、イスタンブールの猫たちのことは、ずっと頭から離れませんでした。どこへ引っ越しても、イスタンブールの猫が恋しくてたまりませんでした。


それに、イスタンブールと同じ「猫文化」は、他の国にはありませんでした。だから、イスタンブールの猫をモチーフにしたかったのです。



35本のネタから最終的に7本のいい話を映画にした

Q:出演猫はどうやって選ばれたのですか。


撮影期間とは別に3ヶ月間、町の人々から、ここで暮らす猫たちの情報を集めました。映画として十分楽しめるものにするために、さまざまなバリエーションの猫話を集めました。その結果、35本のネタを得ることができ、そのうちの19本にしぼって撮影を始めました。


もちろん猫たちは、聞いてきた話どおりに行動はしてくれません。それで、撮影を進めていた19本のうち、最終的に7本、つまり7頭の猫の話が実際の映画に使われたというわけです。



どうぶつから学べることがあることを、映画の中に残したかった

Q:僕は個人的に、映画に登場する女性が「ここの猫の多くがガンで死んだ。ガンという病気は、人間だけの問題ではない」と言っていたシーンが印象的でした。こういったセリフは計画的に引き出したものですか?


いいえ、計画はしていませんでした。…そういえば、ほとんど計画どおりではないですね。だって、ドキュメンタリー映画ですから!(笑)


私は、その彼女がそのあとに言った言葉と、その口ぶりが面白く感じました。


「でも、不思議なことじゃないかもしれない。人間と同じ水を飲み、同じ食べ物を食べているんだものね」


カナリアが鉱山で人を救ってくれるように、どうぶつと共生している私たちが、彼らから病気のことを学ぶことができるということを、この映画の中に残したかったのです。


私たち人間は、ガンの研究に重点を置いているし、もちろん私自身もガンを治したいと思っています。でも実は、ガンという大きなものだけを見るのではなく、私たちひとりひとりが日常をちょっと変えたり、少し生活習慣を変えたりするだけでも、健康的で幸せな人生を過ごせるようになるかもしれません。


私たちは自分が傷ついていることに気づかずに日常生活を送っていることがあります。PCやスマホなどの画面を見つめてばかりで、愛する人と過ごす時間がほとんどなく、逆に軽薄な行動をとったり、人生で「やらなければならない」と思い込んでいる事柄に追われていることに気がつきません。だから自分自身のケアを忘れてしまいがちです。


その点、猫はとてもユニークです。彼らは自分たちにとって何が必要かはっきりわかっているし、それを実行します。彼らは何かをやらせようとしても、自分がしたくないことはやろうとしません。寝たいときは寝て、食べたいときには食べる。その姿から学べることはたくさんあります。



どうぶつの好き嫌いは読書の好き嫌いに似ている

Q:この映画で猫が好きな人たちは、(そうでない人に比べ)より社会性があるように感じました。また、とても愛情深い人たちなのだと感じました。


そうですね。この映画を作ったあとだからこそ言えるのですが、私も同感です。誰もが犬や猫など、どうぶつを好きにならないといけないというわけではありません。しかし、人生において、どうぶつと一緒に暮らしたいと思う人と、どうぶつを嫌って自分の人生から排除したいと思う人とでは、非常に大きな違いがあると思います。


どうぶつを嫌いになってしまう人というのは、咬まれたり、ひっかかれたりといった、苦い経験をしたことがあるから、自分を守るために、人生からどうぶつを排除したくなるのだと思います。


実は、映画の最後に出てきた猫・デュモンが訪れるデリカテッセンのオーナーは、最初は猫嫌いだったのです。しかし、デュモンの振る舞いは猫好きではない彼女にとってちょうどよかったんですね。それで彼女は猫を愛することができるようになったのです。


私はしばしばどうぶつの好き嫌いを、読書にたとえることがあります。「本を読むのは好きじゃない」という人は、たいてい、いい本と出会っていないんです。



猫と人生をともにするのは、神様から選ばれた人間

Q:最後のほうに出てきた船乗りのおじさんが話していた言葉も印象的です。たくさんの猫の世話をして暮らす彼は、「猫は人に愛を教えるために、神様から与えられるものだ」と言いました。


そうですね。彼は、神様から選ばれた人間だと思っています。


猫を愛している人たちの多くは、おそらく「神様から選ばれた人間」だと思っているのではないでしょうか。


猫にとって私たちは必要な存在ではありません。彼らは人間なしで完全に生きることができます。それでも、猫は私たちを選んでくれます。私たちも猫を必要としているときにそばに来てもらえると、とても嬉しいですよね。誰でも、自然とどうぶつが集まってくる白雪姫のように、猫に愛されたいのでは?



Q:最後にみなさんにメッセージをお願いします。


この映画にはたくさんの猫が登場します。猫のいない場面はありません。ぜひ、楽しんでください。



このインタビューの模様は、動画でもご覧いただけます!





「猫が教えてくれたこと」は、11/18(土)からシネスイッチ銀座を皮切りに公開予定です。主人公の7頭の猫はそれぞれとても個性的。ぜひ、映画館へ会いに行ってみてください!


左:今回のインタビュアー・当社デザイナーのジェームス・ライト 右:ジェイダ・トルン監督


タイトル:猫が教えてくれたこと
公開表記:2017年11月18日(土)よりシネスイッチ銀座他 全国順次公開
配給:アンプラグド
©2016 Nine Cats LLC



監督プロフィール

イスタンブール出身。苦難の多い子供時代を野良猫と共に過ごした。11歳の時に家族と共にトルコを離れ、ヨルダンで暮らし、高校生の時にニューヨークへ移る。ボストン大学で人類学を学んだ後、イスタンブールへ戻ってレハ・エルデム監督のアシスタントを務めた。その後、ロンドンへ渡り、プロデューサーのクリス・オーティの下で働いた。そしてアメリカへ戻り、撮影監督のチャーリー・ウッパーマンと共にターマイト・フィルムズを設立し、初めて長編ドキュメンタリーを監督。



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【関連リンク】
映画『猫が教えてくれたこと』 公式サイト


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