火を触ったように痛い!?強毒性の特定外来生物『ヒアリ』とは

2017.08.23

毒を持つ特定外来生物であるヒアリが兵庫県尼崎市内に運ばれたコンテナから見つかったと2017年の5月に発表されて以降、ヒアリが国内で相次いで発見され、福岡県ではヒトがヒアリに刺される被害が確認されました。ヒトよりも地面に近いところで生活している犬猫はヒアリに遭遇した場合、刺される可能性が高く、ペットを飼っている方々にとっても他人事とは言えないかも知れません。


ヒアリってどんな生き物?

ヒアリは南アメリカ原産で、体長2~6mmの大型で非常に攻撃性の強いアリです。花蜜や樹液など液体の食料を好みますが、その強い攻撃性と雑食性により農作物から昆虫、爬虫類、小型の哺乳類まで捕食するため、侵入・定着した場合は甚大な被害をもたらすと考えられています。
日本の在来種とは異なり、直径25~60cm、高さ15~50cmのドーム状の大きなアリ塚を形成し、農耕地や公園など、開放的な草地・裸地に多くみられます。何らかの拍子で巣に触れてしまった場合、多数のヒアリに攻撃されてしまうこともあります。


ヒトが刺されるとどうなるの?

英語でFire ant、漢字では火蟻と書き、その名前の通り腹部の先端にある毒針で刺されると、まるで火を触ったかのような強い痛みが生じます。環境省からは海外での死亡例が確認できなかったとの発表が出ており、致死率は低いと考えられていますが、アナフィラキシーショックの発生は0.6-6.0%とも推測されているため、もしも刺されてしまった際には注意が必要です。


犬猫が刺されるとどうなるの?

犬や猫での症状について調べたところ、症例数が少なく、まだ詳しい報告はされていないようです。ただし、一部にはヒトと同様の皮膚症状が出ることが確認されています。
オジロジカなどの大型哺乳類では直接的な咬刺による致死、さらに咬刺による衰弱により捕食されてしまうといった間接的な報告もされています。


もしも刺されてしまったら?

ヒアリ毒への反応は個人差があります。刺された場合にはまず安静にし、体調の変化がないか細心の注意を払ってください。ヒトによっては容体が急変することがあり、その場合は病院ですぐに治療が必要です。「アリに刺されたこと」、「アナフィラキシーショックの可能性があること」を必ず伝え、主治医の指示に従ってください。
もしも飼っている犬猫が刺された場合は動物病院で同じことを伝え、すぐに治療を受けさせてあげましょう。


もしもヒアリを見つけたら

犬や猫が誤ってアリ塚に顔を近づけた拍子に触れてしまい、顔をヒアリに刺されるといったことは容易に想像ができます。アリ塚と思われる巣を発見したら、まずすぐに離れて接触させないようにしましょう。
また、ヒアリを発見したら地方環境事務局等に連絡しましょう。対応は専門家に任せ、自分で駆除等をしないようにしましょう。


ヒアリだけじゃない!

犬猫が気を付けたい虫は、ヒアリなどの外来生物だけではありません。下の例に挙げるような虫にも注意しましょう。

・蚊
致死性の寄生虫であるフィラリアを媒介します。猫はアレルギーにより耳介にひどい炎症と痒みが発生します(刺蚊症)。

・イヌノミ・ネコノミ
瓜実条虫(イヌ条虫)、猫ひっかき病原因菌(Bartonella henselae)を媒介するほか、強い痒みを引き起こすノミアレルギー性皮膚炎を引き起こします。

・マダニ
SFTS、日本紅斑熱、Q熱、ライム病、野兎病、ボレリア症、バベシア症、エールリッヒア症などを媒介します。
*【SFTS】マダニから感染した猫から感染???重症熱性血小板減少症候群とは

・ハジラミ
強い痒みを伴う皮膚炎を引き起こします。

・ツメダニ
強い痒みを伴う皮膚炎を引き起こします。

・ヒゼンダニ
強い痒みを伴う全身性の皮膚炎を引き起こします。

・耳ダニ
強い痒みを伴う外耳炎を引き起こします。


被害を防ぐために

このように、ヒトにとっても犬猫にとっても脅威となる虫はたくさんいます。まずは刺されないように、危ないところには不用意に近づかないことが大切です。
また、ご自身のペットの予防をしっかりと行いましょう。効果が確かな「医薬品」の予防薬を動物病院で処方してもらってください。かかりつけの先生の指示に従って、しっかりと継続的に投与して予防してあげてください。


【参考資料】
●環境省 ストップ・ザ・ヒアリ
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf
●厚生労働省 ヒアリに刺された場合の留意事項について(一般の方へ)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000171750.pdf
●deShazo et al.,1999. Fire ant attacks on residents in health care facilities: a report of two cases.
●Prahlow et al.,1998. Fatal anaphylaxis due to fire ant stings.
●Conceição et al.,2006. Pustular dermatosis caused by fire ant (Solenopsis invicta) stings in a dog.
●Wojcik et al.,2001. Red Imported Fire Ants: Impact on Biodiversity.

監修 医師 立川亜理沙(ICD:Infection Control Doctor)


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