2018.11.14
健康であって欲しい、より成長して欲しい、他人を思いやる心を持って欲しい。親が子どもに願うことは数限りなくあります。子どものためにやりたいこと、してあげたいことはたくさんあっても、自分ひとりの力では、限界があるのも事実です。
そんなときに思い返すのが、「どうぶつを飼うことは、子どもの情操教育に繋がる」ということ。一緒に子育てをしてくれる存在が近くにいれば、こんな心強いことはありません。果たして本当にどうぶつは子どもを“育てて”くれるのでしょうか。
子どもの心を豊かにしたけりゃ、長生きしたけりゃ、ペットを飼おう!
「子どもの心を豊かにしたけりゃ、長生きしたけりゃ、ペットを飼おう!」
これは、アニコム ホールディングス株式会社の顧問である星 旦ニ先生(首都大学東京名誉教授/放送大学客員教授)の言葉です。星先生は、公衆衛生を主要テーマとして「健康長寿」に関する研究をしている中で、どうぶつと共生することが家族の健康度を向上させることに気がついたといいます。
実際に、どうぶつとの共生をテーマにした論文が世界中にいくつもありますので、ここで少しだけご紹介します。
さすがに赤ちゃん期にペット飼うのはやめておいた方がいい?
私自身も気になりましたが、産まれたばかりの赤ちゃんとどうぶつを触れ合わせることは、何らかの感染症に感染するのではないか、子どものアレルギーの原因になるのではないか、と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしフィンランドの397名の子ども達を対象に行った研究では、生後すぐからワンちゃん、ネコちゃんと一緒に暮らした1歳までの子ども達は、そうでない子ども達よりも呼吸器疾患と外耳炎に感染する割合が少なく、抗生剤の使用頻度も優位に少ない結果となりました。
どうぶつ飼育なし群に比べて、元気に過ごす割合が高いことが明確になったという、赤ちゃん誕生前からどうぶつと暮らす家庭にとっては非常に心強い結果でした。
小学生になるとどうぶつの存在がより重要に
さらに、小学生になってからはどうぶつが子どもにとってより重要な存在になるようです。
7~8歳の小学3年生22人を対象に実施した調査では、身近な人やどうぶつのなかから、特別な存在だと思う10人(頭)をピックアップさせ、もし自分がある物語の主人公だったら、10人(頭)のうちの誰に頼りたいか聞きました。
その結果、人よりどうぶつを選ぶ子どもが多いという傾向が見られました。
人間同士よりも、どうぶつとの関係をより重要と考える子どもが多く、どうぶつを心の支えと安らぎの対象に位置づけていると同時に、親友のひとりとしてとらえている結果と言えそうです。
それだけではなく、犬同伴で学習する小学3年生では、短期効果であるものの、やる気と読書能力が向上したという研究結果もあります。
この研究では、犬がいることによる心拍数に変化は見られなかったものの、子どもの行動面では心が落ち着いていて私語が減ることが示されました。
どうぶつと暮らす子ども達の生活をご紹介していきます!
このように、世界中のさまざまな論文を調べてみると、どうぶつと暮らすことは私たち人にとって良いことに溢れているように思います。
しかし、実際に暮らしてみると困った事や悩みが出てくるのも正直なところです。
特に、よく聞かれることとして「もともとどうぶつと暮らしていたんだけれど、どのくらいになったら赤ちゃんと触れ合わせたらいい?」。この疑問に答えるべく、医師や獣医師などさまざまな専門家にヒアリングしてみましたが、はっきりした答えは見つかりませんでした。
このコラムでは今後、どうぶつとお子さんの暮らしをご紹介し、いろいろな家族のカタチを探ってみたいと思います。お楽しみに!