猫とマタタビの不思議な関係
2018.05.23
「猫にマタタビ」ということわざもあるように、マタタビは猫の大好物です。マタタビはマタタビ科のツル性植物で、山地に自生しています。マタタビの実を乾燥させたものは昔から秘薬として重宝され、疲れ切った旅人が、マタタビの実を食べて生気を取り戻したことから「また旅=マタタビ」と呼ばれるようになったそうです。現在も漢方薬として冷え症や利尿、神経痛などに効用を示します。
猫が反応するのはマタタビに含まれる「マタタビラクトン」という揮発性の成分です。猫には、鼻腔と上顎の間に第2の嗅覚器官である「ヤコブソン器官」という特殊な器官があり、主としてフェロモンセンサーの役目をしています。
ヤコブソン器官がマタタビの成分に反応し信号を大脳へ伝えると、運動中枢や反射機能を鈍らせてしまいます。そのため、猫はマタタビを前にすると、よだれを垂らして体を床にこすりつけたり、転げ回ったりと、さまざまな反応を示すのです。
まさに猫にとってマタタビは媚薬そのもの。生活の中で上手に使うと、爪とぎ場所のしつけや食欲増進、ストレス軽減などに有効とされています。しかし、量が多いと体調を崩す可能性があるため、興奮しすぎいないよう様子を見ながら少量ずつ与えましょう。
ネコ科の動物であるライオンやヒョウ、トラなども同様の反応を起こします。野生の環境下で不利となりうる特性ですが、進化の過程で淘汰されずに残りました。もしかしたら、ネコ科動物が長い年月を生き抜いてきた秘密が、マタタビとの不思議な関係に隠されているのかもしれませんね。
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