ヒョウモントカゲモドキの飼い方完全ガイド!~お迎え準備・ごはん編~

by 編集部 2022.08.19

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可愛らしいつぶらな瞳とぷりぷりの尻尾が魅力のヒョウモントカゲモドキ。ゆっくりとした動きや無防備な寝相、ウィンクしたり、笑っているような表情にも癒されます。


爬虫類の中では比較的飼いやすく、初心者向けともいわれているヒョウモントカゲモドキですが、そもそもどんな動物なのか、お迎えするのに必要な準備や、一緒に暮らしていくためのポイント、食事内容などをご紹介します。

ヒョウモントカゲモドキってどんな動物?

ヒョウモントカゲモドキはヤモリの仲間ですが、壁に貼りつくことのできない地表棲のヤモリです。野生ではインド北西部からパキスタン、イラン、アフガニスタン南東部にかけて、比較的乾燥した岩場のある砂漠地帯に生息しています。夜行性のため日中は岩場や土の中の巣穴で生活していて、薄暗くなると餌を求めて活動を始めます。


ヒョウモントカゲモドキの名前は、野生の個体が黄色と黒の特徴的なヒョウ柄模様をしていることに由来しています。英語名はLeopard Gecko(レオパードゲッコー:ヒョウ柄のヤモリ)で、英語名から通称レオパとも呼ばれています。現在は多様な品種(モルフ)が作出されていて、白や黒、オレンジ色などさまざまな模様の個体がみられるのも魅力のひとつです。


全長は20~25㎝、体重は60~90gほどで手のひらサイズです。飼育下での平均的な寿命は10~15年といわれていますが、20年以上長生きした子もいるそうです。鳴き声や臭いもなく、飼育スペースもコンパクトなため飼いやすいとされるヒョウモントカゲモドキですが、飼育するにはどんなものが必要なのでしょうか。


飼う時に何が必要?

  • ケージ

  • 床材

  • ヒーター

  • 温湿度計

  • 照明

  • シェルター

  • 水飲み皿

  • 餌入れ・ピンセット

  • レイアウトグッズ

ケージ

30㎝ほどのケージでも十分飼育は可能ですが、夜間は活発に動き回るため、できれば体長の2倍以上の奥行や幅があるものを用意してあげましょう。ケージにはプラスチック、アクリル、ガラス製とさまざまなものがあるので、透明度や保温性・通気性、掃除のしやすさ、使用する保温器具との相性やケージを設置するスペースなどによって最適なものを選ぶと良いでしょう。積み重ねることができるケージもあります。


ケージの上が開くタイプと手前が開くタイプがありますが、ヒョウモントカゲモドキは上からの動きを警戒する可能性もあるので、性格に合わせて選ぶのがおすすめです。


床材

ヒョウモントカゲモドキは砂漠地帯のどうぶつのため、よく砂を掘る行動をとります。この行動はストレス解消にもつながるので、床材は爬虫類用のソイル(土を粒状に焼き固めたもの)や砂が望ましいです。粉塵が舞いやすいものは目や呼吸器に障害を起こす可能性があるので、避けた方が良いでしょう。開封したばかりの床材が湿っていてケージ内が蒸れてしまう場合は、乾燥させてから使用するのがおすすめです。


ソイルを大量に誤食すると腸に詰まることもあるので、ペットシーツ・キッチンペーパー・新聞紙などを床材として代用することも可能です。どの床材を使用する場合でも、自分の排泄物や餌のにおいがついていると空腹時に食べてしまう可能性があるので、排泄物や餌の残りは毎日取り除くことが大切です。


同じ場所に排泄をする習慣があるので、比較的掃除は楽です。アンモニア臭がすると体調を崩すので、定期的に床材を交換して清潔な環境を保ってあげましょう。


ヒーター

ヒョウモントカゲモドキは、自分の体内で熱を作り体温を維持することができないため、外界の熱を利用して体温を上げています。また、亜熱帯地方出身のため、日本の寒さに耐えられません。そのため、ケージ内をヒョウモントカゲモドキにとって快適な24~32℃に保つことが大切です。


ずっと温度が高いままだと疲れてしまい、低いと消化不良や代謝異常を起こすだけでなく、体温が低下して死に至ることもあります。


ヒーターを使ってケージの中で温度の高い部分(ホットスポット)と低い部分を作ると、ヒョウモントカゲモドキ自ら好みの温度帯へ移動できるので、ケージ内に温度勾配をつけてあげましょう。


食後はお腹を温めて消化を促すので、ケージの下から温めるパネルヒーターを、ケージの1/3くらいの範囲に設置しましょう。ヒーターの真上にシェルターを設置すれば、シェルター内は30℃程度に保温されます。パネルヒーターだけでケージ内の温度が適切に上がらない場合、ヒョウモントカゲモドキがヒーターの上から離れずに低温火傷を起こす可能性があります。ケージの上部から温めるタイプのヒーターも設置してあげましょう。


また、室温の上がりすぎによる熱中症を防ぐために、設定温度を超えると自動的に電源がオフになるサーモスタットを併用すると良いでしょう。室温が下がると自動的に電源が入るので、ケージ内の温度を快適に保つことができます。


さらにケージ内の温度は周辺の環境温度にも影響を受けます。必要に応じてエアコンや暖房器具、温室などを併用して、ヒョウモントカゲモドキが快適に過ごせるように気をつけてあげてください。

温湿度計

ヒョウモントカゲモドキを飼育するにあたって温度と湿度の管理はとても重要なため、必ず用意しましょう。ケージ内が快適な状態であることは、健康維持にもつながります。


最適温度:昼間24~32℃、夜間18~24℃
最適湿度:40~60%

温湿度計はヒョウモントカゲモドキが活動している床面近くに設置しましょう。パネルヒーターの真上に設置すると正確な室温を表示できないので避けてください。


照明

ヒョウモントカゲモドキは夜行性であるため、必ずしも紫外線ライトは必要ではありません。しかしながら、夕暮れ時から明け方まで活動し、わずかな光を利用して体内でビタミンD3合成をおこなっているため、日当たりの悪い場所で飼育している場合は紫外線ライトが健康維持につながります。


昼と夜のメリハリをつけて光周期を作り出すと、生活サイクルが整い、食欲増進や脱皮促進の効果が期待できます。ヒョウモントカゲモドキに適した弱い紫外線量のライトを使用しましょう。


ただし、アルビノ個体は紫外線によって眼球に損傷を起こす可能性があるので、紫外線ライトの使用は控えましょう。


シェルター

シェルター

野生のヒョウモントカゲモドキは日中、岩場の陰に隠れて過ごすので、ケージの中でも、隠れ家となるシェルターを設置してあげましょう。シェルターに登って楽しむこともできますし、体をこすりつけて脱皮の助けにもなります。全身が隠れる程度の大きさであれば十分です。


また、水を入れるための窪みがあるウェットシェルターは、シェルター内の湿度を90%程度に維持することができるため、脱皮不全の予防にもなります。ウェットシェルターはカビが生えやすいので、こまめに洗い清潔にしておくことが大切です。


さまざまなデザインのシェルターがあるので、お気に入りのシェルターでケージ内をレイアウトすることも楽しいですね。


水飲み皿

大きなものは必要ありませんが、ひっくり返されない安定感のあるものを選びましょう。水入れには毎日新鮮な水を用意して、コケやカビが生えないようにこまめに洗浄してくださいね。


餌入れ・ピンセット

ヒョウモントカゲモドキに餌をあげる際に使用するピンセットは、先端が丸く、割れない素材のものを使用しましょう。ヒョウモントカゲモドキは餌をあげるときに、勢いよく飛びついて顔や目をケガしたり、ピンセットを咥えてなかなか離さず噛み続けて口をケガする恐れがあります。


ピンセットにはステンレス製、プラスチック製、竹製などがありますが、どのピンセットを使用する場合でも餌の掴み方を工夫して、ヒョウモントカゲモドキが餌だけを咥えられるようにしてあげましょう。


餌をピンセットで直接与えない場合は餌入れを用意しましょう。生き餌を入れても逃げ出さない程度の深さがあり、ヒョウモントカゲモドキが食べやすい高さで、ひっくり返しにくい安定感のある餌入れが良いでしょう。


レイアウトグッズ

レイアウトグッズ

ヒョウモントカゲモドキが楽しく暮らせるように環境に変化をつけてあげましょう。岩や流木、市販のレイアウトグッズなどをケージ内に設置して、昇り降りして遊べるようにしてあげると、運動量が増えてストレス発散もでき、より本来の生態に近い生活ができます。レイアウトグッズが崩れてヒョウモントカゲモドキが下敷きにならないように、慎重に設置してください。


また極端に尖った部分があるレイアウトグッズは、脱皮の時に体を擦りつけてケガをするおそれがあるので避けたほうがよいでしょう。


ごはんは何をあげればいい?

  • 昆虫

  • 人工フード

  • サプリメント

  • ごはんのあげ方

昆虫

ヒョウモントカゲモドキに与える昆虫は主にコオロギ類、ローチ類、ミルワーム類に分類されます。与える昆虫のサイズはヒョウモントカゲモドキの頭の大きさの1/3から1/2くらいの大きさが良いでしょう。


口が大きいので大きな昆虫でも飲み込んでしまいますが、消化に時間がかかって吐き戻したり、未消化の便をすることがあります。どの昆虫を与える場合でも、昆虫だけで必要な栄養素が補えるわけではないので、総合ビタミン剤やミネラル剤などを添加する必要があります。


コオロギ類

ヒョウモントカゲモドキの餌としてフタホシコオロギやイエコオロギがよく与えられています。入手のしやすさや栄養面から考えても主食向きといえるでしょう。生き餌として与える場合、コオロギの後ろ足を取っておくことで、餌を捕まえるのが下手なヒョウモントカゲモドキでも捕食することができますし、後ろ足の棘で口やのどを傷つける心配もなくなります。


ローチ類

レッドローチやデュビアが入手しやすいため、コオロギ同様に主食向きです。あまりに大きなサイズのローチ類は消化に負担がかかってしまうため、ヒョウモントカゲモドキの体のサイズに合ったものをあげましょう。


ミルワーム類

ミルアーム

ミルワーム、ハニーワーム、シルクワームは、マンガンが不足しているだけでなく、コオロギと比べて脂肪の含有量が2~4倍と多いため、主食には向きません。高カロリーなので、たまのオヤツとして与えたり、拒食や病気の回復期、抱卵中や産卵後の栄養補給としてあげましょう。


昆虫は生き餌、冷凍餌、缶詰などで入手できます。生き餌を与える場合は昆虫の育成状態が栄養価に影響するため、昆虫にも栄養価の高い餌を与え、健康的に管理する必要があります。冷凍餌は解凍して与えますが、常温で長時間放置すると雑菌が繁殖するので、解凍後は速やかに与えましょう。また、冷凍餌は1ヶ月程度で使い切れる量を購入するとよいでしょう。缶詰の開封後は冷蔵庫や冷凍庫で保存し、1週間程度で使い切るようにしましょう。


人工フード

ヒョウモントカゲモドキ用の人工フードには固形、粉末、ゲル状タイプなどがあります。固形タイプは水でふやかして与えます。粉末タイプは水やお湯で練って固めて、食べやすいサイズにして与えます。ゲル状タイプは必要な量を出して与えるだけですが、開封後は冷蔵庫で保管が必要です。


人工フードにはビタミンなどの必要な栄養素がバランスよく配合されているので、サプリメントを積極的に与える必要はありません。成長段階や産卵前後、病気療養などヒョウモントカゲモドキの状態に合わせて併用するのがおすすめです。


サプリメント

サプリメントはヒョウモントカゲモドキの健康維持に役立つものですが、正しい与え方でなければ害になることもあります。サプリメントを与える場合も、使用量と使用頻度を守るようにしましょう。


上述のとおり、人工フードを主食にしている場合は、必要なビタミンなどがすでに含まれているので、健康体であればサプリメントは必要ありません。昆虫食をメインにしている場合はダスティング(昆虫の体にサプリメントの粉をまぶす)したり、餌皿の底に撒いたり、飲み水に混ぜて与えます。


総合ビタミン剤

ビタミン剤の中にはビタミンのみのもの、カルシウムが添加されているもの、ミネラルも添加されているものなどがあるので、購入の際に内容をきちんと確認しましょう。ビタミンの中には水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあり、必要以上のビタミン剤の添加は脂溶性ビタミンの過剰症を引き起こす可能性があります。


カルシウム剤

カルシウム剤の中にはカルシウムのみのもの、ビタミンD3が添加されているもの、ミネラルが添加されているものなどがあります。成長期のヒョウモントカゲモドキはカルシウムが不足すると代謝性骨疾患(くる病)になる恐れがあるため、昆虫食を与えている場合は必ず添加しましょう。過剰なカルシウムは便秘を引き起こす可能性があるので、与えすぎには注意が必要です。


また、カルシウムを腸から吸収させるためにビタミンD3が必要なので、サプリメントで与えるか、弱い紫外線ライトをあてて体内で合成させると良いでしょう。


ミネラル剤

総合ミネラル剤の中にはナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンなどが含まれます。ミネラルが不足すると床材の砂を食べてしまう可能性があるため、床材がお腹に詰まるリスクを回避するためにも体調をみて添加してあげましょう。


ごはんのあげ方

ごはんのあげ方

成長期の幼体では、毎日あるいは1~2日おきにごはんをあげましょう。日に日に体が大きくなるので、定期的に体重をチェックしたり、尾の太さを確認したりして、ごはんの量を増やしていく必要があります。


成体では数日に1回のペースでごはんを与えれば十分なので、尾の太さを判断基準にしてごはんの量や頻度を調整してください。ごはんはヒョウモントカゲモドキが活動を始める消灯前(夕方~夜にかけて)に1回あげれば十分です。ごはんのあげ過ぎは肥満や消化不良の原因となるので、体調をみながら臨機応変に対応していくことが大切です。


コオロギなどの生き餌はケージ内に放して与えることができます。多くの昆虫を入れるとヒョウモントカゲモドキのストレスになったり、コオロギが逆にヒョウモントカゲモドキの皮膚をかじったりすることもあるので、夜に昆虫を入れて食べ残したものは、朝には回収するようにしましょう。限られた空間の中で暮らすヒョウモントカゲモドキにとって、餌を探して捕食する行為は良い刺激になります。普段、人工フードを与えている場合も、時には生き餌を与えると楽しんで生活ができるでしょう。


ごはんをピンセットであげる場合は、ヒョウモントカゲモドキの目の前でゆらゆらと動かして食欲を刺激しましょう。勢いよく飛びついたり、ピンセットごと咥えてケガをしないように、餌の中央ではなく端の方をつかむようにして与えます。ピンセットを怖がって目をつむったり、逃げたりする場合には餌入れで与えましょう。餌入れの底にサプリメントを撒いておくこともできます。


まとめ

いかがでしたか?爬虫類用のごはんやグッズは、専門のペットショップやネット通販でしか手に入らない場合も多いので、生態についてしっかり知り、事前準備を行いましょう。別の記事ではヒョウモントカゲモドキの健康チェック方法や、気をつけたい病気についてまとめているので、ぜひそちらもご覧ください。


ヒョウモントカゲモドキの飼い方完全ガイド!~健康チェック・病気編~

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コメント1

ユキさん

食事に関して。2〜3日間隔で、人工フードをあげてますが、沢山食べる時と、食べない時があります。尻尾はかなり太いので、大丈夫かなと思い辞めてしまう事も多々ありますが、大丈夫でしょうか?

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