いのちに学ぶ「情けはひとのためならず」

2017.08.23

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良い行いはやがて自分に巡ってくるということわざ「情けはひとのためならず」は本当なのでしょうか。
今回は人が感じる幸福度と健康、そして遺伝子の関係性にフォーカスして、この意味を考えてみたいと思います。


遺伝子は私たち「いのち」のレシピ

みなさんは料理をするときにレシピ本を読んだりしますか。あるページはオムライス、別のページはクリームコロッケを作る方法が載っています。
同じように遺伝子はレシピ本の1ページに例えられます。しなやかな筋肉を作るための情報や、骨のように硬い組織を作る情報が書き込まれています。それぞれの遺伝子に書き込まれた情報が、私たちの「いのち」のレシピになるのです。


環境が遺伝子にあたえるものはなにか

遺伝子は生き物に欠かせない情報ですが、実は遺伝子にはスイッチに似た仕掛けがあります。このスイッチは生き物を取り巻く環境の変化と連動し、ON/OFFのバランスが絶妙に保たれています。そしてそのスイッチが健康の鍵になります。実際にガンや肥満になった患者さんは、健康な人に比べてスイッチのバランスが大きく崩れていることが知られています。これらは「エピジェネティクス」と呼ばれ、環境と遺伝子の関係を知る手がかりになります。


幸福感によって健康は変化する

ターンが明らかにされました1)。研究結果によると、社会貢献をして幸福感を得ることで風邪や関節炎など病気の予防につながるそうです。一方で、物欲を満たすなど個人的な幸福感を得る人は、免疫力が下がる傾向が見られたそうです。面白いことに、同じ幸福感でも全く違う結果を招くのです。
1)BL Fredrickson et al., 2013. A functional genomic perspective on human well-being. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Aug 13;110(33):13684-9.


遺伝子は答えを知っている

先ほどの研究結果によって、私たちの社会に対する「貢献」という行いが、結果として「健康」という見返りを受けていると置き換えられそうです。
そういった意味で、「情けはひとのためならず」という言葉はあながち間違いではないのかもしれません。


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