2020.08.21
まだまだ暑い日が続いていますが、体調を崩されてはいませんか?今日は、毎月予防するノミ・マダニ・フィラリアの中から、マダニをピックアップし、知っているようで知らないマダニの基礎知識についてお伝えします!
マダニは春先から秋にかけて活動します。ワンちゃんと暮らす方は記事を読んで、マダニ予防の大切さを改めて認識しましょう!
そもそもマダニってなに?なにが危険なの?
マダニは、哺乳類や鳥類、爬虫類に寄生して吸血する大型のダニのことです。
マダニは日本全国でみられる虫で、特に自然豊かな場所に多く生息していますが、市街地周辺でも、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道、草むらなど自然が豊かな場所には生息しています。
マダニが活発に動き回るのは春から秋にかけてですが、温かい地域では一年中活動しています。
多くのマダニは、葉の裏に隠れて人や動物が近づいて来るのを待ち伏せし、近づいてきた動物や人の皮膚に咬みついて吸血します。病原体をもっているマダニが吸血したときに、動物や人の体内に病原体が移動することで病気に感染します。
マダニに咬まれた直後はかゆみや痛みがないため、数日後にかゆみなどの症状が出るまで咬まれたことに気が付きにくい点も、マダニの怖さといえます。
マダニが媒介する病気には、ワンちゃんやネコちゃんだけでなく、人でも死に至る恐ろしい病気が含まれています。ウイルスに感染したワンちゃんやネコちゃんから人にウイルスが移動し、病気を発症したケースもあります。ワンちゃんネコちゃんを守るためだけでなく、一緒に暮らす家族のためにも、マダニ予防をしっかりと行うことが大事です。
いろいろある!マダニ予防の種類の違い
マダニを予防する薬は2種類あります。
スポットオンタイプ:液体のお薬を皮膚に垂らして使う
チュアブルタイプ:お肉のような風味のお薬を与える
どちらのタイプでも、マダニを駆除する成分を全身にいきわたらせることで、マダニによる被害を予防しています。
なぜ月に1回予防する必要がある?
お薬で予防の効果が得られる期間は約1ヶ月とされています。1ヶ月経つとお薬の効果が弱まり、新たに寄生したマダニを駆除しきれない可能性があります。そのため、マダニ予防は定期的に行う必要があるのです。
最近では、3ヵ月ほど効果が持続するタイプのお薬もあります。
垂らすタイプのお薬を使用する場合、以前は、シャンプーによってお薬が流れてしまうために注意する必要がありましたが、最近ではシャンプーをしても効果が薄れないという製品が発売されています。チュアブルタイプの方が、マダニを駆除するまでの時間が短いという特徴がありますが、効果に大きな差はありません。かかりつけ病院の獣医師と相談しつつ、飼い主が使いやすいタイプの予防薬を使いましょう!
マダニ予防に関するQ&A!
Q.毎月決めている予防の日に、お薬をあげるのを忘れてしまった!どうしたら良い?
A.次の月まで待つことはせず、早めに予防を行ってください。お薬は1ヶ月分を与えてください。なぜなら、お薬は体重によって投与量が決まっていて、2ヶ月分のお薬を一度に与えても2倍の効果が得られるわけではないからです。また、副作用が出る可能性も考えられます。予防の時期や、どれくらいの量を与えればよいか不安に思った際は、かかりつけの獣医さんに相談してください。
Q.予防をすれば、絶対にマダニは寄生しないの?
A.絶対にマダニが寄生しないというわけではありません。以下の場合はマダニが寄生してしまう可能性があります。
▶予防と予防の間が空いてしまった場合
▶垂らすタイプの予防をした直後にシャンプーをしてしまった場合
▶体重に対して適正な量が投与されていない場合
など、予防効果が弱まってしまっている状況では、マダニが寄生する可能性があります。
また、マダニの予防は「マダニが動物に咬みついた後に、薬効成分がマダニ体内に取り込まれてマダニが死ぬ」という効果を利用しています。そのため、動物に咬みつく前のマダニが、動物の体表や毛を歩いていることがあります。
予防をしているからといって油断せず、お出かけした後はマダニが付いていないか確認をしましょう。
ちなみに、マダニの大きさは、
▶吸血前:3~4mm
▶吸血後:約1cm
です。吸血前のマダニは小さく、見つけにくいので注意が必要です。
Q.愛犬の体にマダニを発見!飼い主が取ってしまっても大丈夫?
A. 自分で取ることはせず、速やかに動物病院で取ってもらいましょう。なぜなら、ダニを取る際にマダニの体をつぶしてしまうと、病原体が犬の体内に流れ込んでしまう可能性があり、かえって危険だからです。また、マダニの体を無理に引っ張ってしまうと、体がちぎれて、一部が犬の体表面に残ってしまうこともあります。
マダニ予防で防げる病気を知ろう!
▶皮膚炎・貧血
多数のマダニに寄生され、大量に吸血されると貧血を起こすことがあります。また、マダニが吸血する時に分泌された唾液によって、強いかゆみや患部が腫れるなどの症状が出ることもあります。吸血され傷ついた皮膚に細菌が感染すると、化膿することもあります。
▶バベシア症(犬)・ヘモプラズマ症(猫)
バベシアやヘモプラズマと呼ばれる小さな寄生虫に感染しているマダニが、犬や猫を吸血した際に、犬や猫の体内に寄生虫が移動することで感染します。体内に入った寄生虫は、血液中の赤血球に寄生し、赤血球を破壊しながら増殖するため、貧血を起こします。また、尿が赤くなったり、元気がなくなったり、発熱したりといった症状もみられ、命にかかわる場合もあります。
人間にも感染する病気
▶日本紅斑熱
日本紅斑熱リケッチアという病原体によって起こる感染症です。感染すると、かゆみのない発疹(紅斑)や発熱がみられることから紅斑熱という名前がついています。病気を放置したままでいると、最終的には高熱がでるようになり、倒れてしまうことがあります。
▶重症熱性血小板減少症(SFTS)
SFTSウイルスによっておこる感染症で、近年、西日本で発生が増加しています。発熱・嘔吐・下痢・血小板減少、白血球減少などの症状がみられ、重症化すると死に至ることがあります。
マダニを予防して元気に過ごそう!
いかがだったでしょうか。動物だけでなく、人にも恐ろしい感染症をもたらすマダニ。予防の大切さをご理解いただけたのではないでしょうか。
毎月しっかりと予防を行うことはもちろん、お散歩で行く公園などにもマダニは生息していますので、お散歩の後は、動物の体にダニが付いていないか確認してあげてください。飼い主も、長そでの洋服などで肌の露出を減らし、ダニに嚙まれないようご注意を!
それでは、マダニを予防して、愛犬と一緒に元気にお過ごしください!
(※熱中症予防も忘れずに!)
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【関連リンク】
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/
厚生労働省 ダニ媒介感染症
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
みんなのどうぶつ病気大百科|バベシア症
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/941