マレーバク ~ツートンカラーで身を守る、泳ぎが得意な生きた化石~

2017.07.07

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夜の森では保護色となるツートンカラー

「夢を食べる」という逸話で知られるバク。約5000万年前から形状がほぼ変わっていないという説があり、生きた化石とも言われています。


現生種では中南米に3種(ベアードバク、アメリカバク、ヤマバク)、東南アジアに1種(マレーバク)が生息しています。この中で最も身体が大きいのがマレーバクです。今回はこのマレーバクについてご紹介します。


夜行性の彼らは、あたりが暗くなってから動きだし、水中の水草や森の中の草や木の葉、果実などを食べます。このとき、ゾウの鼻のように長くのびた口先を器用に使って、食べています。


暗い時間に活動をする彼らを守っているのが、あの白と黒のツートンカラーです。夜の森では、この特徴的な柄によって身体の輪郭がぼけるので、敵から見つかりにくくなるのです。


夜行性ではありますが、目がよく見えないため、嗅覚が発達していて、においや音に対して敏感なのも特徴的です。子連れの親子以外は群れをつくることはなく、単独で行動します。


外敵に襲われると水の中に逃げ込む

マレーバクは泳ぎが得意で、ヒョウやトラなどの外敵から襲われると、水の中に逃げ込んで身を守ります。水の中はマレーバクにとってトイレでもあるということをご存じでしたか。自分の臭いを残さないために、水中で排泄を行っているのです。


また、繁殖に関しては一夫一婦制で、ふつうは1回の出産でひとりの子を生みます。生まれたばかりの子どもは、イノシシの子どものように縦縞があります。縞模様は半年ほどでなくなり、親と同じ白黒の身体になります。


実は2016年は、国内の様々な動物園でマレーバクの赤ちゃんが誕生していました。3月/長崎バイオパーク(長崎県)、5月/多摩動物公園(東京都)、7月/アドベンチャーワールド(和歌山県)、11月/東武動物公園(埼玉県)など。意外といろいろなところでマレーバクに会うことができるんですね。


悲しいことに、野生のバクは、森林開発などによって生息地が減少し、現在では国際自然保護連合によって、絶滅危惧種に指定されています。私たち個人個人が絶滅を食い止めるのは難しくても、現状を知ることはできます。


まずはマレーバクに会いに行き、何ができるか考えることから始めてみてはいかがでしょうか。


【マレーバク】

哺乳綱ウマ目(奇蹄目)バク科 Tapirus indicus

ミャンマーからマレー半島、スマトラ諸島に分布。森林地帯の河川や沼地の周辺に生息する。

群れは作らず、親子以外は単独で生活する。体長は2.5m、体高は1.2m、尾長は10cm、

体重は250kg~300kg。鼻は上唇と共に伸びている。

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