2020.07.02
鳥ってどんな動物?
そう聞かれたらみなさんはどう答えますか?
さまざまな答えが出てくるかと思いますが、鳥の仲間はわかっているだけでも約10,000種類、飛べる鳥もいれば飛べない鳥もいる、穀物食の鳥もいれば肉食の鳥もいるなど、ひとくくりでお話することができないほど、多様性に富んだいきものなのです。
今回は、日本でよく飼われているインコ・オウム類(セキセイインコ、オカメインコなど)、フインチ類(ブンチョウなど)に共通する飼い方についてお話します。
ただし、細かい部分は鳥種によって異なりますので、まずはこの記事をスタートとして、お迎えするそれぞれの鳥種の特徴や飼い方について、みなさんが勉強するきっかけとなれば幸いです。
それでは、さっそく鳥の飼い方を見ていきましょう!
鳥のごはんはなにをあげればいい?
鳥の主食は大きくわけて、シード(皮付き餌など)かペレットの2種類です。主食の量は、シード、ペレット共に最低限体重の10%を与える必要があります。ただし、ごはんを餌入れからこぼしてしまい食事量が足りなくなるという恐れもあるので、食事制限が必要ない子に関しては無制限に与えてかまいません。食べ過ぎて太ってしまう子に関しては、食事量を調整する必要がありますが、必ず体重測定を行うなど、気を付けるべき点が多々あるので、獣医師と相談の上で行うことをおすすめします。主食以外に何を与えるのかは、主食の種類により異なるので以下を参考にしてください。
<シードが主食の場合>
シードが主食の場合、シードだけでは栄養不足になる可能性が高いため、副食やサプリメント(特にヨード入りのビタミン剤)を必ず与えてください。
■主食:シード
■副食:緑黄色野菜(サラダ菜など)、カルシウム源(ボレー粉、カトルボーンなど)
■サプリメント:ヨード入りのビタミン剤
■おやつ、ご褒美:アワ穂など
※シードはアワ、ヒエ、キビ、カナリーシード等が混合されているものが多いですが、選り好みをして好きなものしか食べないことがあります。さまざまな種類をバランス良く食べて貰うために、ごはんを交換する際には全部替えるのではなく、剥いた皮を吹いて量が十分であればそのまま、足りなければ少しつぎ足す(古いものがずっと下にあることがないよう注意してください)という方法で交換するのもおすすめです。
※塩土は与えすぎると胃を悪くする可能性があるので、与える際には注意が必要です。
※おやつ、ご褒美を与えすぎないよう気を付けましょう。
<ペレットが主食の場合>
適切なペレットが主食の場合、栄養学的には十分だと考えられています。ただし、鳥種ごとの必要な栄養はわかっていない部分もあることや、鳥自身の食の楽しみなどの観点から、副食を与えても良いと考えます。
■主食:ペレット
■副食:緑黄色野菜(サラダ菜など)
■おやつ、ご褒美:シード(皮付き餌)、アワ穂など
※ペレットはさまざまな種類を食べられるようにしておくと、具合が悪くなった時の療法食などにも対応しやすくなるので、日頃からさまざまな種類を食べる練習をしておくことをおすすめします。
医食同源という言葉があるように、鳥にとってごはんの選択は非常に重要です。不適切なごはんを与え続けると、病気になってしまうこともあります。わが子のごはんを決められるのは飼い主さんだけです。その子に合った食事を、日々観察しながらみていくことが大切です。
※差し餌については、こちらの記事を参考になさってください。
~鳥さんを元気で長生きする子に育てる4つの秘訣!~
鳥のトイレは何を準備すればいい?
鳥は体の構造上、トイレを我慢することができません。そのため、ケージの中の指定の場所でトイレをするようにしつけることは基本的に難しいと考えた方がよいでしょう。ケージ内のどこで排泄をしてもいいように、ケージの下一面に紙を敷いてあげましょう。その際、はみ出た紙を引っ張ってかじってしまう可能性もあるので、インクを使用しているチラシなどは避けてください。インク不使用の無地の新聞紙、キッチンペーパー等を使用するのが一番安心でおすすめです。
また、毎日下紙を交換する際には、健康チェックの一環として排泄物(糞、固形尿(白い部分:尿酸)、水分尿(透明な液体の部分)の状態を観察すると良いでしょう。
鳥の排泄物は、糞、固形尿(白い部分:尿酸)、水分尿(透明な液体の部分)が同時に排泄されます。形状や色などは、鳥種や食べているごはんの種類などで異なります。日ごろからどのような排泄物をしているのか観察しましょう。それぞれの排泄物が普段に比べて以下の状態の場合、何らかの異常が起きている可能性もあるので、観察のポイントとして参考にしてください。
<糞の状態>
いつもより大きい:発情などの可能性
いつもより小さい:食欲が落ちている可能性
臭いがする:腸炎などの可能性
糞にごはんがそのままの形で出ている:胃炎などの可能性
形が崩れている:腸炎などの可能性
色が濃い緑色:食欲が落ちている、金属中毒などの可能性
色が黒い:胃炎などの可能性
色が白い:膵外分泌不全などの可能性
色が赤い:腸炎などの可能性
<固形尿(白い部分:尿酸)の状態>
色が黄色い:肝炎、脂肪肝などの可能性
色がうす緑~緑色:敗血症などの可能性
<水分尿(透明な液体の部分)>
いつもより量が多い:発情や羽の抜け換えなどで生理的に増えている可能性、糖尿病など病的に増えている可能性
鳥のにおいは気になる?
鳥自体のにおいは、尾脂線(尾羽の根元にあります。ボウシインコなど尾脂線を持たない鳥種もいます。)から分泌される毛繕いのための脂などによるものです。鳥の種類によってにおいが変わり、中にはほとんどにおいのしない鳥もいますが、一般的にはナッツ系の香ばしいにおいや、太陽をたっぷり浴びた布団のにおいと表現されるような良いにおいがします。
鳥のトイレのにおいは、基本的にはほとんどしません。異常なにおいがする場合には、体調を崩している可能性も考えられます。
鳥のにおいも、鳥のトイレのにおいも風通しのいい場所にケージを置き、清潔にしておけば、ひどくにおうことはありません。
鳥の鳴き声は?
鳥の鳴き声は、大きくわけると「さえずり」と「地鳴き」の2種類があります。
「さえずり」:求愛や威嚇、縄張りアピールなど繁殖に関わる鳴き声
「地鳴き」:自分の居場所を伝えるなど仲間同士の連絡用の鳴き声
鳴き声は、基本的に体の大きさに比例して大きくなる傾向がみられます。大型鳥になると、時には隣で会話ができないほどの大きな声で鳴くので、防音対策が必要になる場合もあります。
ただ、鳴き声は仲間とのコミュニケーションをとるのに重要なものです。人と暮らす鳥の仲間は、飼い主さんなので、鳴き声でさまざまな感情を表現してくれます。鳥と話して、コミュニケーションをとってみましょう。
おしゃべりを覚えやすい鳥種(セキセイインコ、ヨウム、ボウシインコなど)は、たくさん話しかけることで、人の声を真似できるようになります。「おはよう」「こんにちは」というあいさつや自分の名前、住所を覚えていて、迷子の鳥が家に無事戻れたというセキセイインコの例もあるほど上手におしゃべりできる子もいます。鳴き声などから感情が読み取れるようになると、鳥との暮らしがより楽しくなるでしょう♪
鳥は家具などをかじる?
鳥はくちばしを使って食べ物を探したり、くわえて運んだりするので本能的にさまざまなものをかじることがあります。かじっても問題ないものだけでなく、電気コードや観葉植物、金属が含まれているキッチンの五徳など感電や中毒などにつながる危険なものをかじってしまう可能性もあります。放鳥(家の中で飛ばしたりすること)は必ず誰かが見てあげられる時に行い、万が一の事故を防ぎましょう。本能が関与しているので完全にかじらなくすることは難しいですが、かじり木やおもちゃなどを使うことで、かじってほしくないものをかじるのを減らせる可能性があります。
鳥のお手入れはなにをすればいい
毎日の健康チェックの際に、爪やくちばしが伸びすぎていないか、排泄物(糞、固形尿(尿酸)、水分尿)を踏んだりして体が汚れていないかを見てあげましょう。水浴びが好きなら水入れを清潔に保つ、脂粉がたくさん出るならマメにお掃除をする、換羽の時期にはサプリメントや副食で栄養をつけてあげる…というように、鳥種や季節、個性に合あわせて環境を整えていれば基本的に大がかりなお手入れは必要ありません。鳥種に関係なく鳥の爪は止まり木等で自然と削れるものですが、中にはうまく削れず爪が伸びてしまう子もいます。そのような時には爪切りが必要ですが、飼い主さんが爪切りをすると、爪の中を通っている血管を傷つけ出血してしまうこともあるので、自信がなければ無理をせず動物病院で切ってもらいましょう。
鳥はどんな風に遊ぶと喜んでくれる?
飼い主さんと遊ぶのが好きな子、他の鳥やどうぶつと遊ぶのが好きな子、ひとり遊びが好きな子など、いろいろな個性の子がいます。
おもちゃで遊ぶ子もたくさんいますが、音が出るもの、宝探しができるもの、壊して遊ぶもの、と鳥用おもちゃにもさまざまな種類があります。名前を呼んだり、鳥に話しかけたりしながら、いろいろな遊びを試してみて、その子がどんな遊びが好きなのかを一緒に見つけてあげましょう。中には飼い主さんの肩などに止まって飼い主さんとお話しているだけで、満足する子もいます。
※放鳥に慣れていても、事故や誤食が絶対に起こらないとは言い切れません。おもちゃを与える場合などは特に注意して、目の届く範囲で遊ばせてあげるのが安心です。
鳥にしつけはできる?
鳥は知性が高い種類も多く、鳥種や個体によっては、ある種のトレーニングを行うことができます。
ただし、トレーニングの種類によっては難しい場合もあります。例えばトイレトレーニングが難しい理由は、鳥は飛ぶために体を軽くする必要があり、トイレを我慢することができないからです。
※繰り返しトレーニングすることで、決まった場面で多くトイレをするという子も中にはいます。
また、噛み癖がある場合、噛む原因を探し、原因に応じた対策を取ることが一番大切です。例として、かまってほしくて噛みついてくる場合、噛みつかれても反応しない、鳥にとって噛んでも良いことは起きないと思ってもらうことが大切です。反応してしまうと、噛むとかまってくれるのだと学んで、繰り返す可能性があります。また、そもそもそのようなことが起きないよう、放鳥中はなるべく鳥に神経を集中して、かまってあげるようにしましょう。鳥に集中できない場合は、放鳥を止め、ケージに戻してあげてください。他に、発情に伴う噛みつきの場合には、発情を抑える対策を取る必要があります。
また、噛まれても決して怒鳴ったり、くちばしをひねったり等、体罰のようなことをしてはいけません。信頼関係をなくしてしまうと、ますます攻撃的になってしまいます。
鳥にお散歩は必要?
運動によるストレス解消などのためにも、放鳥は必要です。できる限り1日に1度は放鳥してあげましょう。放鳥する際は、脱走防止のために窓や扉、カーテンを必ず閉めた上でケージから出してあげてください。また、放鳥時は観葉植物(中毒を起こす場合があります)をかじっていないか、台所での拾い食いをしていないか等、事故予防のためにも目を離さないようにしましょう。
ペットショップで長い間ケージの中で過ごしてきた子は、なかなかケージから出てこないかもしれません。そういう場合は無理には出さず、一歩ずつ鳥のペースに合わせてどこまで放鳥が可能かを検討していきましょう。
鳥を診てもらえる動物病院はどこ?
鳥さんの診察ができる動物病院は、アニコム損保の「どうぶつ病院検索サイト」で調べられます。
万が一に備え、近くにある動物病院を知っておくと安心です。
https://www.anicom-ah.com/
はつさん
とても役に立ちました