2017.06.20
尿石症は一旦治っても、油断すると再発してしまう病気です。弊社に保険金をご請求いただいたデータから、なんと55%(※1)のネコちゃんが再発を経験していることがわかりました。
しっかり気をつけていたのに再発してしまうこともありますし、治ったと思って食事を元に戻したために再発することもあります。尿石症になりやすい「体質」と言ってしまえば簡単ですが、ネコちゃんの生活習慣を見直すことで、より再発しにくい環境をつくってあげることも飼い主様の愛情の証です。
尿石症が再発してしまう原因をもう一度確認し、環境全般について、特に「ごはん」が再発しないものになっているかどうか確認してみることが重要です。
※1…尿石症の治療最終来院日から2ヶ月以上経過し、再度尿石症による請求があった割合。
1.基礎知識を確認しましょう
尿石症はネコちゃんの泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかに尿石という石ができてしまう病気です。石ができる場所や石の種類によって症状、治療法は異なりますが、特に、膀胱に石ができた場合には、血尿や頻尿になってしまうことがよくあります。
尿石症を予防するためには 、“お水をしっかり飲むこと”、“トイレを我慢させないこと”などが大切です。
2.できる石には種類がある
尿石症の原因となる尿石は、ほとんどの場合、次の2種類のいずれかです。わが子の尿石がどちらであるかご存知でしょうか?
(1)ストルバイト結石
ストルバイト結石は、おしっこがアルカリ性になるとできやすい尿石です。ごはんの成分によって、おしっこがアルカリ性に傾くことがあります。また、食後のおしっこは、ごはんの内容にかかわらずアルカリ性に傾きます。間食が多い子は、おしっこがアルカリ性になっている時間が長くなり尿石ができやすくなってしまいます。
(2)シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウム結石は、おしっこが酸性になるとできやすくなる尿石です。シュウ酸カルシウムはある程度の酸性度合があることと、ごはんの中の尿石の材料(シュウ酸とカルシウム)がそろうことで石ができやすくなります。ごはんの中の成分が適切に調節されたごはんを食べることが大切です。
3.とにかくごはんが大切!
一般的にお肉や魚などのタンパク質を多く食べるとおしっこは酸性に偏り、野菜を多く食べるとアルカリ性に偏ります。多くのネコちゃんのごはんは酸性・アルカリ性がバランスよくなるように調節されています。
両方の尿石を防ぐためには、ごはんの成分に気をつけなければいけません 。尿石症が治っても、その原因が解消されなければ、また再発してしまいますので、治療が終わっても引き続きごはんに気を配りましょう。
4.定期健診も忘れずに
尿石症の原因はまだ完全には解明されていません。お水の飲み方やトイレの習慣など他の生活習慣も重要です。ごはんだけでは再発を防げない子もいるので、お家での予防の他、定期的に動物病院で尿検査を行い、尿石ができやすい状態になっていないかを確認することも大切です。
一度尿石症になってしまった子は、ごはんを変えた時や、健康診断の時におしっこの定期検査も獣医さんに相談してみましょう。