【中国のおどろきペット事情①】犬猫の数は1億頭? 中国はいかにしてペット大国になったのか

by 編集部・陳 2019.12.13

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昔、中国ではペットを飼うのが贅沢だと言われた。近年、経済発展や都市化に伴い、ペットを飼うことが贅沢ではなくなりつつある。また、犬肉を食べる習慣があるというイメージがある方も多いが、実は動物愛護も進んでおり、「ペットは家族」と答える人は明らかに増えてきた。そんな謎が多く潜んでいる中国のペット事情の実態を紹介する。

中国ペット業界の現状とは

ペットブームは確かに起きている?

近年、中国のペット市場に対する注目が高まってきた。2012年のペット産業の規模は337億元(約5,000億円)だったが、6年後の2018年には、1,708億元(約2.5兆円)と、約5倍にまで成長した(※1)。今はアメリカに次ぐ、世界二位のペット消費市場と言われている。中国のメディアでも、「ペットブーム!」という言葉は頻繁に叫ばれているし、筆者自身もペットブームを強く実感している。


犬猫飼育頭数は1億頭とも

日本の約10倍にあたる14億人が暮らす中国。「2019年中国ペット業界白書」によると、ペット(犬猫)の飼育頭数は、都市部だけで推計約1億頭とも言われる。本当にこの統計が正しいとすれば、日本の5倍以上の規模である。


圧倒的に大都市寄り、20-35歳の若い飼い主が多い

飼育家庭の多い地域は、北京、上海、広州、深玔(シンセン)の四大都市の他、経済発展している東部太平洋沿岸の省に集中している傾向がある。特に、80年代、90年代生まれの20~35歳の飼育者が多く、全体の7割を占めている。それに対し、日本の飼育家庭の多くは、関東および関西に集中していて、40代~60代の飼育者が多く、20代~30代の飼育者は3割ほどになっている。


市場規模別、中国のペット産業は何が大きい?

<第一位 ペットフード>

2018年の中国のペットフード市場規模は約600億元(約9,000億円)で、ペット産業において3割以上を占める最大のマーケットである。日本での割合も同様で、市場規模は約5,000億円で、最も大きな部分を占める(※2)。


<第二位 獣医療(医薬品含む)>

2018年の中国獣医療の市場規模は約300億元(約4,500億円)で、ペット業界における第二位の市場である。ペットが徐々に家族の一員になり、ペットの健康問題への関心度も高まり、ペットへの医療支出も年々増加傾向。それに対し、日本の医療市場は、緩やかに増加する傾向が見られ、2017年度の市場規模は約2,500億円である(※3)。


ちなみに、中国では近年まで獣医師国家資格の制度が存在しなかった。現在では、2009年から免許制となったものの、国家資格がなくても手術のような診察は行うことができる。


残念ながらこれ以上のデータは探すことができず、その他については追ってご報告する。


【参考リンク】

(※1)前瞻产业研究院,2018年中国宠物行业发展现状及趋势分析 预测2019年将迎来行业整合洗牌时期

http://www.sohu.com/a/289955727_473133=pc(2019.12.12)

(※2)中商产业研究院,中国宠物食品市场规模及发展趋势预测:2018年市场规模将近600亿元

http://www.askci.com/news/chanye/20180816/0914541129018.shtml(2019.12.12)

(※3)中商情报网,宠物医院数量大增 2022年宠物医院市场规模将逼近300亿

http://baijiahao.baidu.com/s?id=1647350823047322509&wfr=spider&for=pc(2019.12.12)

ペットブームに火が付いた背景は3つ!

なぜここまでペット市場が急拡大してきたのだろうか。3つほどの背景が考えられる。


1.経済の発展や国家の考え方の変化

中国の実質国内総生産(GDP)は、2010年以降、日本を超え、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となった。著しい経済成長の中で、国民の購買意欲が上昇し、中流階級層が拡大してきたおかげで、ペットを飼育する余裕が生まれてきたのであろう。


また、かつて毛沢東は、ペット飼育は贅沢だという理由で、ペットを飼うことを禁止していたが、今はそのような制約もない。こうした国の考え方の変化も一つの要因であると言える。


2.一人っ子政策の影響

一人っ子政策とは、中国における人口政策で、1979年から開始された。実は、ついこの間まで導入されていたもので、一組の夫婦につき子どもを一人に制限し、人口増大を抑制する目的の政策だった(ちなみに、28歳の私も、もれなく一人っ子である)。こうした一人っ子世代が成長し、親元を離れる際、その寂しさを紛らわすためにペットを飼うケースが多いと言われている。また、親世代にとっても同じであろう。一人息子・娘が巣立ったあと、夫婦がペットを第二の子どもとして愛する家庭も少なくない。


3.都市部では結婚しづらい現状も

ノーベル賞受賞者であるコンラート・ローレンツ博士によると、「都市化が進み、人類と自然との距離が遠くなるほど、人類生活にとってペットの重要性が増す」そうだ。実際、中国はその通りで、都市化の急拡大に伴い、(ものすごく)多くの若者が都市部に流入してきた。しかし、それに伴い不動産価格が高騰し、結婚しようにも費用がかかりすぎてできないという問題も出てきた。その結果、独身の若者が増え、このような若者の寂しさを埋める役割をペットが担っている現状もあるようだ。とりわけ、都市部の生活者にとって、まさに「ペットは家族」であり、今後もますますペット需要は高まると考えられている。また、こうした若者をターゲットとしたペット可マンションも増えており、比較的飼育しやすいインフラも整ってきている。

中国ではどのようにしてペットを迎えるか?

▲2018年4月に北京で行われた譲渡会の様子、バンダナには“私をお迎えしてね”といったメッセージを書いてある


日本では、ペットショップ、ブリーダー、保護施設などからどうぶつを迎えることが一般的だが、中国ではどうだろうか。一般的に多いと言われているケースをまとめてみた。


1.ペット市場

一昔前の中国人にとっては、ペットを迎え入れるための最も馴染み深い場所と言える。日本では考えにくいような場所でもあるが、多くの生体販売業者が軒を連ね、犬猫だけでなく、エキゾチックアニマル、観賞魚や昆虫なども販売されている。近年では、中国でも動物愛護の観点から、こうしたペット市場の存在について議論が起きているのも事実である。


2.ペットショップ

近年では、ペットショップで迎えることが主流になってきている。昔に比べて数はかなり増えており、2017年~2018年にかけて8,000店もの新店舗がオープンしたとの報告もある。その分、中には営利目的が過ぎた悪質な業者もいるため、もし中国でペットを迎えることがある場合は、入念に下調べをすることをおすすめしたい。


3.ブリーディング施設

ブリーディング施設でお迎えする方法もあるが、都市にはほとんど存在しない。ここは日本と近いものがあるかも知れない。一般的に、ペットショップの販売価格よりは安く抑えられていることが多い。驚くほどしっかりと、清潔に、愛護心をもって管理されているところもあるが、悲しいことに、そのような所ばかりではないのも現状である。


4.インターネット

インターネットの普及に伴い、ネットによる生体販売が増えている。ただし、健康状態や、血統等の確認ができないケースもあるため、疑問視する人も多い。実際、「ネットで注文したが、見た目が全然違う子が届いた」などの声もあり、賛否は分かれている。


5.個人ブリーダー

日本や世界と同様、個人の飼っているペットが自然繁殖した場合に、知人や周りの住民に譲ったり販売を行うこともされている。


6.譲渡会

ある程度の都市部に限定されるが、犬猫の譲渡会も頻繁に行われている。北京で定例的に行われているある譲渡会では既に第65回を数えるイベントもある(しかも規模はかなり大きい)。スタッフはみなボランティアで運営されている。特に北京は、宮廷の街として、ペットに関する歴史も古く、どうぶつたちに対する想いが強い傾向にあると考えられている。

人気犬種は?

公式データがないため、中国の獣医師に聞いてみた。近年、都市部のペットを飼っている人の間では、小型犬、中型犬が人気の傾向がある。その中で最も人気があるのは、なんと柴犬!詳しくは続編の記事にてご紹介したい。

まとめ

第1回目では中国ペット業界の概要を紹介した。中国ペット業界のイメージは少し変わっただろうか。次回は別の切り口で紹介する。

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コメント1

Coco No1さん

狂犬病対策として、都市では一斉に犬の捕獲が行われ殺処分されているという話があるが、この真偽を知りたい

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