キリン ~百獣の王をも一蹴するサバンナのキック王~

2017.04.01

ほ乳類の中でいちばん高血圧

長い首が特徴的なキリンは、現在、生きている動物の中で、もっとも背が高い動物です。頸椎の数は他のほ乳類と同じ7個ですが、そのひとつひとつが大きいので、他の動物よりも首が長いのです。


また、キリンはほ乳類の中でもっとも血圧が高いということをご存じでしたか。それは、高い位置にある脳まで血液を押し上げる必要があるからです。心臓から脳までの距離は2~3m。この距離間で血液を送るために、最高血圧は約260mmHgとなっています。ヒトの平均値がおよそ120mmHg、犬だとおよそ130mmHgなので、いかにキリンが高血圧かがわかります。


長いのは首だけではなく、約50cmもある長い舌を持っています。この舌を器用に使い、木の葉や小枝を巻き取って食べているのです。キリンは草食性ですが、地面にある草類などは食べず、高い木の葉や小枝、果実などを食べます。こうして、他の草食動物との食物的な競合を避けているのです。


おっとりやさしい草食動物に見えますが、ときにライオンをも蹴り殺すほどのキック力を持っています。ライオンの5~10倍の体重があるので、威力があるのは当然かもしれません。


種によっては絶滅する恐れがある

キリンは、これまで1種と考えられていましたが、ドイツの研究チームによる遺伝子解析によって、4種の異なる種類があることがわかりました。「ミナミキリン」「マサイキリン」「アミメキリン」「キタキリン」の4種です。この研究チームのリーダー、アクサアル・ヤンケル博士によると、4種のキリン間での遺伝的差異はホッキョクグマとヒグマぐらいあるといいます。一見、大きな違いがあるようには見えませんが、よく見ると網目模様の色や形が微妙に異なります。


4種の中で、日本の動物園に多くいるアミメキリンは、はっきりした赤褐色の網目模様です。マサイキリンもよく見かけますが、マサイキリンは網目模様の線がギザギザになっています。


野生のアミメキリンは、現在、絶滅の危機に瀕しています。アミメキリンを含むキリンの生息数は1985年の15万5000頭から2015年には9万7000頭まで減少したといい、2016年12月8日、国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストに加えました(レッドリストでは従来の1種9亜種の定義が使われています)。


これは生息地域の縮小や密猟、アフリカ諸国で繰り広げられる内乱などが原因として考えられています。キリンを守るためにできることはなんでしょうか。まずは、今のキリンの生息状況を知り、関心を持つことが何より大切です。キリンをもっと知るために、ぜひ動物園に足を運んでみましょう。


【アミメキリン】
Giraffa camelopardalis reticulata 偶蹄目キリン科キリン属アミメキリン
アミメキリンはエチオピア南部からケニア北東部、ソマリア南西部などにかけて分布。
サバンナや樹木のまばらな草原地帯で生息している。
視覚や聴覚が鋭く、その上背が高いので危険を察知することに優れている。
時速50kmに達する速さで走ることができる。

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