by 野尻 紗矢 2018.01.31
大切などうぶつさんとずっと一緒に、元気に暮らしたいという気持ちでいても、突然のケガや病気で体が不自由になるということがあるかもしれません。もしそうなってしまったら、とってもショックですよね。
実は私もそうでした。
これからお話しするのは、愛犬レオの目が見えなくなるまでと、その後のお話です。「もしも」のときのことについて考えるきっかけになれば、と思います。
始まりは、ほんのちょっとの異変
私は4年前までアメリカン・コッカー・スパニエルの男の子、レオと暮らしていました。レオはとてもやんちゃで運動が大好きでした。一緒にキャンプに行ったり、海に行ったり、いつも一緒に遊んでいました。
そんなレオに異変が訪れたのは13歳の夏頃。散歩の途中、普段登ったことのない階段を数段登ったとき、きょとんとしてこちらを見ていました。その時は特に不思議に思いませんでしたが、今思うとその頃から視力が落ちてきていたのだと思います。
それから半年くらいはいつものようにお散歩に行き、家の中も移動していました。少し動作がゆっくりになったようにも思いましたが、年齢の影響かな?と、さほど気にしていませんでした。
健康診断での衝撃の一言
春を迎え、いつものように健康診断に行った時、先生から衝撃の一言を聞かされました。
「レオくん、もう目が見えていないようです」
レオは以前に緑内障と白内障にかかっていると診断され、目薬で治療を進めていたところでした。
私は最初、先生の言っていることが理解できませんでした。レオはお散歩でもすたすた歩くし、私が家に帰ってくると、玄関まで走って迎えに来てくれていたし…。ワンちゃんが視覚よりはるかに聴覚に頼っているということは知っていましたが、先生の言葉が信じられませんでした。
しばらくして先生の話を受け入れ始めると、悲しい感情がどっと押し寄せました。
「レオはもう私のことを見れないの?」
「もう昔のように新しい場所に行って走れないの?」
さまざまな不安が飛び交いました。
気持ちを変えてくれたのは、レオでした
しかし、レオ自身は、視覚を失ったことをまったく気にすることなく、まるで目が見えているように歩いたり、おやつをねだってきました。
そんな様子を見ているうちに、「本人が明るく元気に過ごしているのだから、私はもっと楽しく暮らせるようにサポートして、今までどおり楽しく過ごせるようにしよう」と思えるようになりました。
そこからは、レオの行動がどのように変わってきているのかを注意深く観察して、何か私に工夫できることはないか気にするようになりました。
私が一番効果的だと思った工夫
私がした工夫はたくさんありますが、その中でも「これは必須!」と思ったものを3つ挙げたいと思います。
①部屋の模様替えをしない
私が本棚の場所を変えてしまった時、レオは戸惑ったのかその場でしばらく固まって動けなくなってしまいました。ワンちゃんは、目が見えているときの記憶で家の中の地図を描いて、その地図を頼りに移動します。視覚にあまり頼っていないとはいえ、見えなくなってから家具の位置を変えてしまうと、頭の中の地図と違っていることに混乱してしまうのです。本棚をもとの位置に戻すと、いつも通りに歩くことができました。
②お散歩はワンちゃんのペースに合わせ、よく知っている場所でする
レオは家の周りのよく知っている道を10分くらい歩いて、日々の散歩としていました。慣れていた道なので、スタスタとお散歩をしていました。ワンちゃんも目が見えない状態でたくさん歩いたり、知らない場所に行ったりすると、神経を遣って疲れてしまいます。しかし、まったく外に出ない状態ではストレスがたまったり、運動不足になってしまうので、お散歩はワンちゃんの状態に合わせて適度にするとよいと思います。
③音やにおいのするおもちゃでたくさん遊んであげる
私とレオは、おやつをいろいろな場所に隠して探す遊びをたくさんしました。レオは鼻を使っておやつを見つけた時には、とても得意そうに、そして満足気な表情をしていました。ワンちゃんが興味を持つものや方法でたくさん遊んであげてください。
ほかにも、たくさん声をかけたり、スキンシップをしたり、おもちゃがなくてもできることもたくさんありますよ!
これからもずっと楽しく一緒に
最初は私も目が見えない事実を受け入れるのが、本当につらかったです。でも、レオが教えてくれました。「目が見えなくても、楽しく一緒に暮らせる」ということを。
レオは、2014年に家族全員に見守られながら16歳の天寿を全うしました。誰に似たのか、最後までご飯をよく食べ、おやつをねだってきていました(笑)。レオと過ごした日々は、本当に楽しくて、今でも昨日の事のように思い出せます。
みなさんと暮らしているワンちゃんも、きっと皆さんと楽しく過ごすことが何よりも大好きで嬉しいと思います。だから私のように受け入れられない事が起こっても悲観しないで、精一杯楽しんでください!
この記事を読んでくださった方とワンちゃんの笑顔が少しでも多くなるお手伝いができれば幸いです。皆さんの心の発電所である大好きなワンちゃんと、素敵な時間を過ごせますように。
筆者:アニコム獣医師 野尻 紗矢
てりさん
うちのジャクラッセルテリアももうすぐ14歳です。何か月前から、下ばかり見て歩くようになり後ろ足も弱くなり歩きにくくなったようです。うっかりして 紐をつけたまま放ち 近所でウロウロしていてあわてて捕まえました。交通事故からも免れたようです。目が見えていないのと以前のように吠えなくなったところが普通ではなくなったところでしょうか? 今のところ食欲は、あるのですが少し食べすぎると直ぐに下痢をします。(犬猫用止瀉剤で治ります。)
食べ方も独特で何か押し付けるように食べずらそうに食べ飲んでいます。突然老犬になったようで少し困っています。
あきさん
検索したらここにきました。
今日の朝まで元気に散歩してたのに、夜に散歩行こうとしたら何故か行きたがらなくて、あんなにお散歩好きだったのに、玄関の段差も降りれなくて、あれ?なんで?って思ってやっと玄関出てもあるきたがらず、色んなところにぶつかるのを見て、めが見えてないのでは?と思った時には、あまりのショックに泣けてきました。
どうしてあげればいいのか、これからどうやって一緒に暮らしていけばいいのか.......落ち込んでいます。今まで私を支えてくれた、柴犬のコタに、私がしてあげれる事は、なんなのか?
どのように、接すればいいのか途方にくれてます。
みーさん
我が家のシュナウザーももうすぐ12歳ですが糖尿病の影響で全盲となってしまいました。
私が実家を離れている間に目が見えなくなってしまったので、目が見えるうちに遊んであげられず申し訳ない思いでいっぱいです。
うちのワンコも横になっていることが多くなり、関心が薄くなりできていたことができなくなってきました。
私も悲しくて泣きましたが、その気持ちはワンコに伝わってしまうので、ワンの前では平静につとめています。マッサージは好きなのでしてあげたり、お灸をしたり試行錯誤の日々です。盲目ワンコは飼い主とのコミュニケーションが密になるので、悪いことばかりではないよと聞きました。撫でてあげるだけでも、柴ちゃんは嬉しいと思います(>_<)よ
アモスさん
うちの柴犬も13才です。
3ヶ月前に緑内障で全盲になりました。私自身のショックもとても大きくて治療方針などで、旦那と何度も泣きながら口論になったりしました。
目が見えなくなる前は、13才にしては、私達を困らせるくらいに元気だったのに、その日を境に急におじいちゃんになってしまいました。少し前から、痴呆の症状も出てきたり、散歩も行きたがらないし、日中は寝てばかりで、夜中に何度も起きたりします。
血液検査では、腎臓の数値が少しだけ悪い以外はないのに、自分から、ご飯も食べないし、覇気がないのです。
この状態に慣れて自分も前向きに世話をしようと頑張っていますが、心の奥がいつも重く悲しい気持ちになってしまいます。
ほんの数ヶ月前に出来たことが、何も出来ず、真っ暗な世界中で何を喜びに思っているんだろう と思うと不憫でならないのです。老化現象は仕方ないとしても、せめて目が見えてたら!と思ってしまいます。どうのような気持ちを持ったら、私も明るい心で前向きにうちの子と暮らして行けるのでしょうか?