リクガメの飼い方完全ガイド!~健康チェック・病気編~

2023.05.22

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とてもおとなしく、人によく慣れ、頭も良く学習能力も高いリクガメ。こちらの記事では、獣医師監修のもと、「リクガメの飼育にあたり気をつけたい病気」と「予防のために日々の生活で気をつけてあげるべきポイント」をご紹介します。


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目次

・リクガメに多い病気を解説

・症状が見られたら早めに病院へ

・【予防・早期発見のために】健康チェックをしよう!

・リクガメを診てもらえる病院もチェック!

・まとめ

リクガメに多い病気を解説

アニコム損保の調査によると、カメに多い疾患は「呼吸器疾患」「消化器疾患」「全身性の疾患」となっています。 

※アニコム家庭どうぶつ白書2022より


こちらでは、リクガメに多くみられる以下の病気について、詳しく解説します。

・呼吸器疾患

・尿酸結石

・ビタミン欠乏症

・皮膚・甲羅の疾患

・消化器疾患

・卵詰まり

呼吸器疾患

【症状】

鼻水、鼻ちょうちん、開口呼吸、頸部を伸ばすなど


【原因】

細菌感染症やウイルス感染症、真菌感染症が考えられます。

アレルギー反応や異物が鼻腔内へ侵入するなど、非感染性の場合もあります。


重症化すると肺炎になることもあるので、症状が見られたら、早めに動物病院で原因を調べてもらい、治療にあたりましょう。


細菌感染症の場合

様々な原因菌がありますが、マイコプラズマ感染症が問題に挙げられることが多く、結膜炎の症状が見られることもあります。治療法は、感染症の原因菌に対する抗生物質を、点鼻薬として投与したり、ごはんに混ぜたり、注射する方法があります。


ウイルス感染症の場合

ヘルペスウイルスが原因となることが多く、結膜炎や鼻炎の症状の他に、口腔内に化膿性のプラークを形成したり、肺炎を併発したり、神経症状や腸炎を引き起こし、全身に症状が蔓延することもあります。ウイルスの検査は難しく、診断されても特効薬が無いため、対症療法を行います。


真菌感染症の場合

原因菌の多くは環境中に存在しているため、免疫力が低下したときに起こることが多いです。


非感染性の場合

アレルギーを起こしてしまっている場合は、床材の変更が必要なこともあります。また、多湿な環境に暮らすリクガメを乾燥した環境で飼育するなど、不適切な環境での飼育が原因で症状が出ることもあります。適切な温度や湿度を保つなど、飼育環境を改善することも大切ですが、原因により治療方法が異なるため、早めに動物病院に相談しましょう。


尿酸結石

【症状】

結石が小さいときは症状が見られませんが、大きな結石になると、食欲不振や便秘、総排泄孔から他の臓器が飛び出る、いきむといった症状が見られることがあります。


【原因】

脱水やタンパク質の過剰摂取が原因といわれていますが、はっきりとした理由はわかっていません。


治療法は、結石の位置により、総排泄腔からアプローチして手術を行う場合と、甲羅を開けて手術を行う場合に分かれます。症状が見られたら早めに動物病院に相談しましょう。


ビタミン欠乏症

【症状】

皮膚や粘膜に作用するビタミンAが不足することで、目が開かなくなる、中耳炎、全身感染症、食欲がなくなる、成長不良、全身浮腫などといった様々な症状が現れます。


【原因】

主食の野菜の摂取量が少なく、副食の野菜ばかり与えていると、ビタミンA欠乏症になることがあります。ビタミンAが豊富な野菜を選び、果物などはおやつ程度に与えましょう。


また、ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収に影響して甲羅の状態が悪化し、いびつな形になります。紫外線ライトをしっかり浴びるようにしましょう。


※主食の野菜:小松菜、チンゲン菜、大根の葉、カブの葉、水菜、豆苗、つまみ菜、サラダ菜、モロヘイヤなど
 副食の野菜:キャベツ、レタス、オクラ、白菜、アスパラガス、そら豆、枝豆など
 詳しい解説は、こちら。


皮膚や甲羅の疾患

皮膚の免疫力低下により細菌や真菌感染を生じることがあります。主な症状と原因は以下の通りです。


■皮膚が剥がれている場合…皮膚炎や脱皮不全、膿瘍や外傷の可能性があります。

■コブのようなものができる場合…外傷などから皮下に細菌が入り込んでいるおそれがあります。

■甲羅に赤紫の斑点ができたり、剥がれる・白くなる場合…甲羅が細菌や真菌感染を起こしている可能性があります。

消化器疾患

【症状】

■一週間以上排泄が無い、食欲低下・嘔吐が見られる場合…便秘の可能性があります。

■水様便や未消化物の混ざった便が排泄される場合…下痢の可能性があります。


【原因】

細菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、ストレスなど


リクガメの消化器内には原虫※がいて、健康時には問題ありませんが、環境変化やストレスなどで免疫力が低下すると、原虫が増加し、便の形状が変化する場合があります。

※原虫:ウイルスよりも微細で複雑な遺伝子を持った細胞


卵詰まり

【症状】

食欲低下、産卵行動、活動低下、総排泄腔脱など


リクガメの女の子は、早いと3歳ほどで産卵します。交配していなくても無精卵を産みます。生活環境が変化したり、栄養不良で卵の変形や卵が大きすぎるなどの問題が生じたりすると、卵詰まりを起こします。


レントゲン検査などで総合的に判断し、飼育環境の整備、温浴、産卵率を上昇させる薬剤の投与などの治療が行われます。症状がわかりにくい場合もあるので、少しでも異変を感じたら、早めに動物病院に相談しましょう。


症状が見られたら早めに病院へ

いずれの病気においても、早期発見と原因と状況に応じた治療が大切です。心配な様子が見られる場合は、早めに動物病院に相談しましょう。


どうぶつ病院を探すには、アニコム損保の【どうぶつ病院検索】が便利です!


通院時の注意点

普段の飼育ケージが小さい場合は、ケージごと連れて行くと飼育環境も確認してもらうことができますが、場所を取るため難しい場合がほとんどかと思います。多くの飼い主さんが、移動の際には小さいケージや衣装ケース、段ボール箱などに入れて連れて行っています。移動時に排泄しても大丈夫なよう、底に新聞紙やペットシーツを敷いておくのがおすすめです。


夏場は、ケージ内が暑くなりすぎることを防ぐため、通気性の良い容器で移動しましょう。


冬場の移動は、保温が重要です。市販のカイロを、リクガメに直接触れないよう、容器の下や横に外側から貼りましょう。また、冷気が入らないように容器をタオルで包むなどの対策が効果的です。


【予防・早期発見のために】健康チェックをしよう!

日頃から健康チェックを行うことが、病気の予防や早期発見につながります。次のポイントを参考に行ってください。


・目、鼻、口、耳

・皮膚、爪、甲羅

・尿、便、総排泄腔

・元気、食欲

・体重

目、鼻、口、耳

【目】

ちゃんと目を開いているか、目やにがついていたり涙目になっていないか、目が濁っていたり赤くなっていないか、左右の目に違いがないかなどを確認しましょう。


【鼻】

鼻水を垂らしていないか、鼻ちょうちんができていないかを確認しましょう。カメは横隔膜が無いので、咳やくしゃみができません。上記の症状があれば感染症やアレルギーの可能性や、環境面で問題がある場合もあります。


【口】

口を開ける動作が多くないか、口を開けて呼吸していないかを確認するだけでなく、口腔内もチェックしましょう。口が白っぽくないか、口内炎や膿が出ていないかを確認することも大切です。


【耳】

目の後方にある、皮膚が薄く丸くなっている部分が耳です。目の脇が腫れている場合は耳の病気の可能性があるので注意しましょう。


皮膚、爪、甲羅

【皮膚】

腫れやコブ、傷がないかを確認しましょう。外傷から細菌感染が生じたり、膿瘍が形成されてコブになったりすることがあります。


【爪】

通常、床材を掘ったり、硬い部分を歩き回ったりするうちに削れることが多いのですが、室内やケージでリクガメを飼育していると、柔らかい床材上での生活となるため、爪切りが必要になることがあります。爪が伸び過ぎると、甲羅を持ち上げて歩行できなくなることもあるので注意してください。また、栄養障害になると爪が曲がって伸びるなど、伸び方に異常をきたすこともあります。


爪に光を当てると、神経と血管が通っている部分は濃いピンクで、先端は薄くなっています。先端の色が薄い部分のみ、数ミリ残して切っていきますが、飼い主さんで難しい場合は動物病院にお願いしましょう。


【甲羅】

ケラチンというタンパク質が主成分として作られています。健康なリクガメの場合、甲羅の大きさが毎年少しずつ大きくなりますが、健康面で問題があると甲羅の形が変形し、均一に大きくならなくなります。この場合は、栄養状態に問題があるか、代謝性疾患などの病気の可能性があります。甲羅の色に変色や斑点が見られる場合は、感染症の可能性があります。


尿、便、総排泄腔

【尿】

リクガメの健康な尿は、無色で水に近く無臭です。臭いが強いときは、尿路系に異常が生じている可能性があるので、臭いをチェックしましょう。


【便】

健康な便の色は、黒緑色をしています。便が硬い場合や踏ん張っても排便しない場合は、便秘の可能性があります。水分を多く含む形が無い便の場合は、下痢の可能性があります。


【総排泄腔】

カメをはじめとした爬虫類は、ひとつのおしりの穴から、便・尿・卵が出てきます。この穴を「総排泄腔」と呼びます。腫れや変色が無いか、石が詰まってないか、臓器の脱出がみられないかを確認しましょう。


元気、食欲

【元気】

リクガメの運動量はかなり多く、日中は活発に動き回ります。いつもの行動に変わりがないかを確認しましょう。


【ごはん】

食べた量と、食べたものに偏りがないかを確認しましょう。嗜好性の高い野菜や果物だけ食べて、主食の野菜を食べなくなった場合、食欲の低下や病気が疑われます。


体重

お迎えしたばかりの頃や幼体の頃は週に1回程度、体重と甲長を測りましょう。成体の場合は月に1回測定すると良いでしょう。甲長は、リクガメの頭側の甲羅の端から、尾のある反対側の端までを計測します。体重だけでなく、元気や食欲、排泄の状況など、複数の健康チェックを踏まえて判断することが大切です。


リクガメを診てもらえる病院もチェック!


リクガメを飼育される方は増えていますが、診察してもらえる動物病院は限られます。万が一のときに慌てることが無いよう、わが子が健康なうちから診てくれる動物病院を事前にリストアップしておくようにしましょう。

どうぶつ病院を探すには、アニコム損保の【どうぶつ病院検索】が便利です。

まとめ

ペットとして飼育するリクガメの寿命は、20~50年ほどといわれています。日頃から健康状態に気を配り、大切に飼ってあげてくださいね。


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