世界最大のどうぶつ!シロナガスクジラの大きさはどのくらい?特徴や生息地も紹介

by 佐藤華奈子 2023.05.23

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地球上で最も大きな生き物といえば、クジラ。では、クジラの中でも最大のクジラは? 答えはシロナガスクジラです。最大の生き物であるシロナガスクジラはどんなクジラなのでしょうか。その大きさとともに、特徴や生息地を紹介します。

シロナガスクジラの特徴は?

クジラは海で暮らす哺乳類で、クジラ目という仲間に分類されます。クジラ目はさらに「ヒゲクジラ亜目(あもく)」と「ハクジラ亜目」の2つに分けられます。その違いは口の構造にあります。ヒゲクジラの仲間には歯がありません。代わりに「クジラヒゲ」と呼ばれる毛のような薄い板がいくつもあります。ここで海水中の小さなプランクトンや小魚を濾し取って食べています。一方のハクジラは、歯があり魚やイカを噛み砕いて食べます。濾過(ろか)をする器官はありません。ヒゲクジラの仲間は潮吹きをする噴気孔が2つ、ハクジラの仲間は1つという違いもあります。
シロナガスクジラはヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科ナガスクジラ属の仲間です。口は幅が広めのU字型。体はほっそりとしています。背中の後方には小さめの背ビレが。お腹側には下あごからおへそにかけて畝(うね)があります。体色は灰青色で淡い色の斑点があります。
畝は畝須(うねす)や須(す)とも呼ばれ、この部分が長いことからナガスクジラの名前がつきました。さらに水面に出てくるときに地上から白く見えることからシロナガスクジラと呼ばれています。漢字で書くと「白長須鯨」となります。
最大の特徴は、やはりクジラの中でも最も大きいということでしょう。大きさについては下で詳しく説明します。

シロナガスクジラの大きさ

シロナガスクジラは一体どのくらい大きいのか、見ていきましょう。
まず体長は、およそ24〜30 m!大きい個体では33 mを超えることも。25 mプールと同じくらいか、それを超える大きさということです。建物の高さでいうと10階建のビルに相当します。
そして体重は、約150〜200トン!ゾウの中で最も大きいアフリカゾウのオスが6トンほどなので、シロナガスクジラ1頭の重さがゾウ25~33頭分に匹敵することになります…!舌の重さだけでもゾウ数頭分になるというから驚きです。ちなみに心臓は約180kg。力士1人分より重いことになります。声も大きく、遠くにいる仲間を呼ぶ声はジェット機のエンジン音を超えるのだそう。
何もかもスケールが大きくて、圧倒されてしまいますね。そんなシロナガスクジラは赤ちゃんもビッグサイズ!哺乳類なのでお母さんのお腹で育って生まれてきますが、生まれたての赤ちゃんの大きさはおよそ7~8m、2~4トン。生まれた時点で「トン」という単位です。赤ちゃんは半年ほどお母さんのそばで母乳だけを飲んで育ち、なんと1日に90kgずつ成長します。

シロナガスクジラの食べ物は?1日にどのくらい食べる?

これほど巨大なシロナガスクジラは、何をどのくらい食べているのか気になりますね。シロナガスクジラが食べるのはオキアミという動物プランクトンの一種。エビに似た甲殻類の仲間です。たくさんのオキアミを食べるために時に水深500mまで潜り、大きな口をあけてオキアミの群れに突進して海水ごと口に入れます。このとき畝が開いて膨らむので、大量の海水を口に含むことができます。海水は口を閉じるときにクジラヒゲの間から排出され、濾しとられたオキアミを舌で回収します。こうしてオキアミを1日に4~8トンほど食べているといわれてきました。これでもかなりの量ですが、最近の研究では1日に16トン食べていたという報告も。実は今まで考えられてきた以上にたくさん食べているのかもしれません。

シロナガスクジラがいるところ

シロナガスクジラは一箇所に留まっているのではなく、世界中の海を回遊しています。基本的に外洋(気象や汚染の影響を受けにくい、沖合いの海域のこと)にいて、大きく南半球系と北半球系に分けられ、夏場はオキアミが豊富な北極海や南極海、冬は暖かい海で子育てをするために低緯度の熱帯や亜熱帯の海に現れることがわかっています。群れは作らず、基本的に単独かペアで行動します。
日本近海では見られませんが、親とはぐれて弱った赤ちゃんが浜に漂着したこともあります。日本で見られるクジラはマッコウクジラやザトウクジラ、ミンククジラ、ニタリクジラなど。
ザトウクジラはシロナガスクジラと同じナガスクジラ科の仲間で、体長は15メートル前後、体重はおよそ30〜40トンになります。ブリーチと呼ばれる全身が海面の上に出るほどのジャンプをよく行います。小笠原や沖縄では、オスのザトウクジラが繁殖期に同じフレーズを繰り返して歌う姿がよく観察され、歌うクジラとしても知られています。
国内で本物のシロナガスクジラを見ることは難しいですが、実物大の模型を見ることはできます。東京・上野の国立科学博物館前には、シロナガスクジラの実物大の模型が展示されています。そのサイズは全長30m!海面から深く潜ろうとしている姿が再現されているのだそう。シロナガスクジラの大きさを実感したいときは、足を運んでみては。

シロナガスクジラの寿命

シロナガスクジラは寿命も長く、80〜90年ほど生きるといわれています。110歳になったケースも確認されました。クジラの年齢は、たまった耳垢を割ることで調べます。耳垢の色が夏と冬で異なるため、1年ごとに年輪のように層になることから、層の数を数えると年齢がわかります。

シロナガスクジラの潮吹き

クジラは肺呼吸をしているので、水中に長く潜り続けることはできません。シロナガスクジラは15分程ごとに海面に出て呼吸をしています。このときに頭の上の噴気孔(鼻の穴)から空気を吐き出す行動が潮吹きです。海水を吹き上げていると勘違いされがちですが、空気を勢いよく排出するので噴気孔のまわりの海水が一緒に巻き上げられているだけです。シロナガスクジラの体温で温められた空気が排出されることで白い霧のように見えることもあります。潮吹きの高さは10~15mほどになるそうです。

シロナガスクジラは絶滅危惧種

シロナガスクジラはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでEN(絶滅危惧)に指定されている絶滅危惧種です。その数は5000~1万5000頭と推測されています。かつて脂を燃料として利用するために世界中で何年もの間、捕獲が続けられました。これにより急激に数が減って絶滅寸前となったため、1966年に国際捕鯨条約で捕獲が禁止されました。現在、その数は回復傾向にあるといいますが、まだ充分な数には戻っていません。海洋汚染や気候変動の影響で食料となるオキアミが減少する懸念もあり、これからも注意深く見守っていかなくてはなりません。

まとめ

シロナガスクジラの大きさや特徴を紹介しました。その大きさを想像すると、地球の壮大なスケールにただただ圧倒されますね。シロナガスクジラは絶滅も危ぶまれています。この大きな仲間が地球からいなくなってしまうことがないよう、私たちひとりひとりがきれいな海を守るためにできることを考えていきましょう。

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コメント2

aiueoさん

よく分かった

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陸さん

わかりやすい^_^

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