身近な野生動物を知ろう!タヌキのマメ知識5選

by 佐藤華奈子 2023.03.03

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昔話によく登場し、古くから人の近くで暮らしてきたタヌキ。現代でも変わらず住宅街に住み着くこともあり、東京でも目撃されるほど身近な存在です。これほど身近にいても、タヌキの特徴や生態などをよく知らない人も多いのでは。そもそもアライグマやハクビシンなど似ている野生動物も多く、それゆえに誤解されていることもあります。ここではその特徴や生態とともにタヌキを知るうえで欠かせないマメ知識を紹介します。

そもそもタヌキって?

タヌキはイヌ科の仲間で、比較的古くから存在している原始的な種と考えられています。漢字で「狸」と書くように人里の近くに住むこともあれば、山奥で暮らしていることもあります。食性は雑食で、果実(カキ、ビワ、ミカン)や種子、虫(甲虫やミミズ、ムカデ)、小動物(ネズミ)、生ゴミなど何でも幅広く食べるのが特徴です。夜行性で家族単位の群れで行動します。縄張りは広くなく、ほかの群れと重なりあうこともあり、食物が多い場所には複数の群れが集まって暮らすこともあります。
体長は約40~60cm、体重は3~10kgほど。足が短くずんぐりした体型のイメージがありますが、実際は季節によって差があります。冬を迎える前の晩秋に最も太り、夏には痩せています。夏にタヌキの姿を見ると、思った以上に痩せて見えるかもしれません。体は灰褐色で、顔には目のまわりに眼鏡のような黒い縁取りがあります。外来種としてヨーロッパの野生にも存在しますが、本来の生息地はアジア東部のみ。日本には北海道にエゾタヌキ、本州・四国・九州にホンドタヌキがいます。

マメ知識【1】本当にタヌキ寝入りをする!

寝たフリを意味する慣用句「タヌキ寝入り」。これはタヌキが捕まりそうになったときや驚いたとき、死んだふりをすることに由来しています。ピンチのときに一時的に気絶状態になるのは生存戦略のひとつで、多くの哺乳類や虫に見られる行動です。天敵に死んだと思わせることで油断させ、一瞬の隙をついて逃げ出すという戦略です。慣用句にタヌキが使われているのは、それだけ身近でその様子が見られる機会が多かったためでしょう。英語では「fox’s sleep」といわれ、同じ意味の慣用句がキツネで表現されています。

マメ知識【2】「同じ穴のムジナ」は巣ののっとりに由来?

「同じ穴のムジナ(狢)」は、一見ちがうように見えても、実は同類という例え。一般に悪いことをする人に使われるネガティブな言葉です。同じ意味合いで「一つ穴の狸」や「一つ穴の狐」という場合もあります。ムジナとは基本的にアナグマのことですが、地域によってはタヌキを指すことも。タヌキは自分で巣穴を掘らず、アナグマやキツネの古巣に住み着いたり、一緒に住んだりすることがあります。こうしてちがう動物種が同じ穴に住んでいる様子から、この言葉が生まれました。悪者を指すようになったのは、タヌキやキツネが人を化かして悪さをするという昔話や畑を荒らすことからきているようです。

マメ知識【3】トイレの場所にこだわりあり!ためフン(糞)という習性

タヌキの特徴的な習性として、群れでトイレの場所を決め、みんなで同じ場所に排泄をすることがあげられます。毎日何頭も同じ場所でトイレをするので、排泄物が山のように積み上がっていきます。これが「ためフン」と呼ばれています。ためフンがあると、タヌキが近くに住んでいる証拠。一度トイレと決められた場所は世代を超えて受け継がれ、何年も使用されることもあるほどです。

マメ知識【4】木登りもできる!

タヌキはイヌ科の仲間では珍しく、木登りができます。得意といえるほどではなく、おぼつかない足取りではありますが、それでもどうにか登ります。降りるときもまた、危なっかしい足取りのことも。もともとイヌ科の仲間は木登りに適した体ではないので、昇り降りができるだけ器用だといえるでしょう。木に登って果実を採ることもあれば、そのまま木の上でくつろいでいることもあります。木登りのほか、泳ぐ姿も目撃されています。ジャンプ力もあり、1メートルほど跳ぶことができます。決して足は速い方ではありませんが、運動能力は侮れません。

マメ知識【5】これを知れば上級者!?ほかの野生動物との見分け方

タヌキは日本に古くから住む野生動物ですが、ハクビシン、アライグマといった外来種に姿が似ているため、間違われることもしばしば。そこで簡単ではありますが、三者の見分け方を紹介します。まずはしっぽに注目。タヌキのしっぽは先端が黒くほかは体色と同じ色で、太くてふさふさです。長さは体長(鼻先からお尻までの長さ)の3分の1程度で短め。ハクビシンは黒く細いしっぽで、体長と同じくらいの長さがあります。もっともわかりやすいのがアライグマで、しっぽに縞があればアライグマです。タヌキとハクビシンの見分け方は、顔もポイントになります。ハクビシンは顔の中心に名前の由来にもなった白い線があります。野生動物の姿は一瞬しか見られないことも多いもの。短時間で見分けるために、しっぽや顔に注目してみましょう。

まとめ

昔話に登場するタヌキは愚鈍に描かれることもありますが、実在するタヌキは食べられるものは何でも食べて、できることは何でもやるというひたむきさを持ち、懸命に生きています。ただ人の身近に暮らしているために、畑やゴミ捨て場をあさったり民家の軒下に住み着いたりして害獣とされることもあります。なかなか良いイメージを持たれないタヌキですが、古くから共存してきた日本の里山を象徴する野生動物にはちがいありません。より良い関係を築いていけるように、考えていきたいですね。

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